本稿は、花嫁のれん号に関する記事後編である。花嫁のれん号の車内の様子から話を続けよう。
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車内の様子:続き
車内に入ると、旅館の女中風のアテンダント3名と、臨時にJR西日本の職員さんが添乗していた。アテンダントは、和倉温泉の旅館加賀屋で研修を受けているという。JR西日本がこの列車にかなり力を入れている姿勢を垣間見れた。
1号車は、2人から4人掛けの個室になっていて、団体に割り当てられることが多いと思われる。菊の間などすべての客席が仕切られていて、名前が付いている。
列車ではなく、レストランと勘違いする。
2号車には仕切りはなく、オープンな空間になっている。カウンター席も6席ほどあるが、2人がけと4人掛けのテーブルが多い。
床のじゅうたん、天井の照明、妻面の金沢金箔装飾とも豪華で見事なのだが、ビジュアルにこだわり過ぎなのか、肝心の座席の座り心地がよろしくない。座席のサイズも狭めだし、足元も狭い。リクライニングもできないので、長時間は座っていられない。テーブルも狭い。
また、座席のシートピッチと窓の間隔が一致していないので、席によっては柱を見ることになるだろう。
いずれにしても、2人・4人掛けシートが多いので、一人だと若干窮屈に感じるかもしれない。
ちなみに、2号車にある身障者対応お手洗いがきれいで、洋式のウォシュレット付きの快適なものだ。
金沢駅を発車:おもてなしで勝負
定刻に金沢駅を発車してからの車内アナウンスは、多くが車掌からのもので、車内サービスに関するアナウンスはアテンダントからされる。この日の列車は乗客が少なかったので、車掌やアテンダントからのサービスは、まさに「おもてなし」だった。
七尾線の沿線は特に景勝地があるわけではない平凡な路線なので、おもてなしで勝負するのだという。
途中、羽咋駅で約10分間停車したのだが、駅のホームで宇宙人のようなサンダーくんが出迎えてくれて、ちょっとしたアトラクションだった。顔が緑のスライムのようできもかったのだが(笑)
その後、車内では、羽咋市にある能登国一宮の気多大社の簡素なお札が、乗車証明書とともに乗客全員に配布された。神社のお札をくれる列車も花嫁のれん号が初めてだった。
1号車には車内販売カウンターがあって、飲み物や食べ物が多く売っているのだが、列車のオリジナルグッズは、クリアファイルとストラップと金箔のしおりくらいしかなかった。
到着した和倉温泉駅の駅前には何もないのだが、七尾駅まで戻ると駅前の商業施設もあって、ランチをとるところには困らない。七尾駅から約700m離れた海岸沿いにある能登食祭市場には多くの店舗とレストランがあるし、市内には多くのお鮨屋さんがあって、おいしいお鮨を味わえると思われる。
また、観光ボランティアの人が待機していて、都合が合えば当日でも街歩き同行で市街の観光案内をしてくれるとのこと。事前に問い合わせしたほうがいいが、詳しくは七尾市観光協会のHPを参照されたい。おもてなしのある街だと思った。
車内での食事はこんな
お待たせしたが、花嫁のれん号の車内での食事はこんな感じだ。
まず、1号と3号のスイーツセット。2,000円の食事券を乗車4日前までに必ず購入しておく。
抹茶ケーキ、焼き菓子の詰め合わせ(サブレ・バウム:ル ミュゼ ドゥ アッシュ製)とコーヒーor加賀棒茶のセットである。
まず、飲み物とケーキを持ってきてくれる。
これだけかなぁ、と思ったが、その後、焼き菓子の大きな箱を持ってきてくれた。
写真ではバウムが3つだが、実際は4つである。
まず、4号のほろよいセット。2,000円の食事券を乗車4日前までに必ず購入しておく。日本酒が含まれるので、未成年者は利用できない。走行時間帯が夕方なので、晩酌にはいい時間帯だ。
4号のほろよいセットには、お品書きが付いていたので、ご紹介しておく。旅館の加賀屋監修だそうである。
(引用元:花嫁のれん号 ほろよいセットお品書き)
日本酒は、石川県珠洲市(奥能登)にある宗玄というブランドの1合酒が花嫁のれん号のラベルで提供される(売店でお土産として購入もできる)。それと加賀棒茶が付いてくる。
おつまみの金時草、はたはたとさざえの3点セットはおいしいのだが、使い捨てのウレタン・プラスチック容器で出てくるのは安っぽくて残念だった。
これらの食事だが、当日販売はされないのだが、アテンダントの言い訳が、社内規定で当日はお出しできないということを言っていた。スタッフのホスピタリティがJR西日本の社内規定で台無しになっていたように見えていたのは気になった。