2016年のゴールデンウィークに運行が開始されたばかりの現美新幹線、越後湯沢駅から新潟駅までを早速乗車する機会に恵まれたので、世界最速芸術鑑賞をしてきた。
※ 本稿では、列車内の芸術コンテンツについてのコメントを行わないので、了解いただきたい。
(引用元:JR東日本新潟支社 乗車券袋)
現美新幹線とは
「現美」とは、現代美術館の略だそうである。運行開始時にはマスコミにも大きく取り上げられたが、山形新幹線における足湯新幹線(とれいゆつばさ号)の次は、この編成ごとミュージアムの新幹線で、JR東日本も奇抜なアイデアを次々に打ち出してくるものである。結構究極のリゾートトレインで、列車乗車自体が目的になっていて、飽きない。
元々リゾートトレインの多い新潟地区に、この強力な列車が追加されて、ますます新潟県に足を運ぶことが多くなった(ただし日帰りが多いが)。
現美新幹線乗車に必要なきっぷ
この現美新幹線は、とき45x号として、越後湯沢駅から新潟駅までを走行する。
2017年以降、現在では、びゅうプラザで旅行商品として購入して乗車する方法と、新幹線の自由席特急券を購入して乗車する方法がある。
ちなみに、2016年6月末までは全車指定席だった。全車指定席の中でも、号車によって座席の販売方法が異なる。デビューしたての2016年5月時点では、次の通りであった。現時点で違う点もあるが、大まかな参考としていただきたい。
11号車(23席):一般の指定席特急券を購入する。
11号車は、一般の座席がある車両で、駅のみどりの窓口やえきねっとなどで購入する(JR東日本の管轄外からも予約可能)。
乗車した列車に関しては、早々と満席になっていた。
12、14-16号車:JR東日本の旅行商品(びゅう)として購入する。
11号車以外の車両は美術鑑賞ができる車両で、ソファでくつろぎながら楽しむ車両であるが、旅行商品としてJR東日本の駅にあるびゅうプラザで申し込む。
列車や日付にもよるが、予約枠は比較的余裕があるようである。正確な空席情報はびゅうプラザや電話予約センターに問い合わせされたい。
価格設定は至ってリーズナブルで、越後湯沢ー新潟間が、記念のグッズ(2,500円相当)を含めて大人5,400円である(一人でも申込可)。同区間の通常期指定席特急券と乗車券の値段が約5,400円になることから、グッズの分だけおトクである。
ただし、週末パスなどの乗車券を持っていてもその分は引いてくれず、乗車券とのセット販売にはなる。
旅行商品として購入し乗車した
旅行商品として受け取る乗車券類は、例によってちょっと特殊である。
乗車票として乗車券部分と自由席特急券部分の2枚が発行される。
このバウチャー券が列車の指定席券に相当するものであるが、乗車時にはノーチェックだった(実際はチェックしようがない)。
オリジナルグッズ
そして、お楽しみのオリジナルグッズの引換券である(個人情報はマスクしてある)。
実際に引き換えて受け取ったグッズは、大き目のスプーンとフォークのセットで、車内のカフェで購入すると2,500円する代物である。おトクに堪能されたい方は、お早めに出かけることをお勧めする。
写真左が記念グッズである。
右側のアイスコーヒーは付いてないのでご注意を(別途400円)。
実際に乗車した印象=走る美術館!
さて、実際に乗車した時の印象をご紹介したい。
とき452号:新潟駅 11:26分 →(上越新幹線経由)→ 越後湯沢駅 12:20分
駅の発車案内では、全車指定席となっている。
車両E3系の外観はラッピングトレインだが、車両側面の片方しか見られず、両面を見られなかったのが残念である。(実は、長岡駅での停車中に見られるタイミングがあったことに後で気づいた。あーあ。)
車内は、車両によってレイアウトと芸術コンテンツが全く異なる。
まず、16号車はモニタが何台か壁にかかっている。
15号車には、巨大なオブジェがある。明るい雰囲気があるので、乗客の人気があった車両である。
14号車は、専ら写真が掲げられている。
12号車には、鏡のようなコンテンツがある。この車両も人気があるように見えた。
一般車両である11号車は、シート配列は変化がないが、シートとシェードの外装デザインが特別なものになっている。この車両には芸術コンテンツはない。
カフェ・キッズスペース
13号車は座席のないこじんまりとしたカフェとキッズスペースであるが、ここもアートな空間である。
カフェではツバメコーヒーなどのドリンクやチーズケーキなどのスイーツを買うことができる。列車限定のオリジナルグッズは、上記のスプーン&フォークのセットとタンブラーだけで、ストラップやクリアファイルなどは販売されていなかった。
キッズスペースは、触れるアート作品だそうである。実際は、プラレールがあって子供が遊んでいた。
キッズスペースがあるにもかかわらず客層には子供連れは少なく、走るミュージアムということから年代を問わない女性(一人、グループ)が多くみられた。うまく男性の鉄道ファン層を遠ざけたような感じにも見える。
普通のミュージアムであれば休憩する椅子はほとんどないが、ここはやはり動く列車ということがあって、多くのベンチがある。列車が動いている間立って芸術鑑賞というのも意外にしづらいので、結局はどこかに座っている人々が多かった。
おわりに
走行時間1時間程度で、終点の越後湯沢駅まで着いた。駅では駅員さんの出迎えがあった。
この列車、世界最速芸術鑑賞がギネスブックに登録されるのかどうか、個人的には見どころである。また、ミュージアムをうたう以上、コンテンツの定期的な入れ替えが必要だと思うが、その管理を今後どうするのかがみものである。
リゾートトレインの枠を超えているこの列車だが、次はどんな列車が誕生するのだろうか。楽しみである。
(2017年11月03日一部修正)