内方乗車については前稿でご紹介したとおりであるが(コチラ)、往復割引乗車券を利用した賢い内方乗車とは一味違う、別の内方乗車を経験したので、本稿ではそのメリットを紹介したい。
営業キロと運賃計算キロに食い違いが生じないJR幹線だけの経路だと本稿のメリットを享受できることはないのだが、地方交通線を含む運賃計算キロが100km程度の場合、ちょっと面白い現象が起きる。
留萌本線での発券事例
運賃が同額でありながら、乗車券の有効期間が異なるケースがまれに発生することが分かったのだが、今回乗車した旭川駅から増毛駅(留萌本線)までの経路が微妙に該当するのである。一例として、実際の計算結果をご覧いただいたほうが話が早いだろう。
旭川駅から増毛駅までの乗車券の詳細は以下の通りだが、きっぷの有効期間は営業キロで判断するため、微妙に100kmを割ってしまい、有効期間は1日である。つまり、途中下車できない(下車前途無効)。
旭川 → 増毛
経由: 函館,留萌
JR線(鉄道)営業キロ: 97.0km 運賃計算キロ: 103.7km
JR北海道営業キロ: 97.0km 運賃計算キロ: 103.7km
普通片道運賃 :大人 2160円 小児 1080円
普通片道乗車券の有効期間は 1日です (下車前途無効)
ちょっと損した感じである。
そこで、きっぷの区間を東に少し延ばしてみると、営業キロをちょうど100kmに伸ばせる駅が存在するのである。
新旭川 → 増毛
経由: 宗谷,函館,留萌
JR線(鉄道)営業キロ: 100.7km 運賃計算キロ: 107.8km
JR北海道営業キロ: 100.7km 運賃計算キロ: 107.8km
普通片道運賃 :大人 2160円 小児 1080円 学割 1720円
普通片道乗車券の有効期間は 2日です。(途中下車可)
旭川駅発と新旭川駅発では運賃が同額ながらも、営業キロのいたずらで有効期間が2日間に伸びて、それはつまり、途中下車ができるきっぷになるということである(ついでに学割が対象者には適用可能となる)。
筆者は経路途中の深川駅や留萌駅などで途中下車を予定していて、下車前途無効では困ったので、この計算結果はありがたかった。
実際に乗車を開始した駅は旭川駅なので、内方乗車に当たる。途中下車できることが、このケースにおけるメリットになる。実際のきっぷは次のようになる。
※ 注意:この乗車券(補充券)は、券面のいずれの駅でも購入できないので留意されたい。(JR北海道における手売りきっぷについては、別稿を参照いただきたい。)
おわりに
最後にオチであるが、道北一日散歩きっぷ(土休日限定)や青春18きっぷ(期間限定)などのフリーきっぷを利用したほうが金額的には安くつくので、道中特急電車を利用しない限りはフリーきっぷのほうが良いのは確かである。
また、首都圏などの大都市近郊区間では、営業キロが100kmを超えても途中下車が可能とならないので、残念ながらこのワザはあまり意味がない。
実際に乗車する距離が100kmに少し満たない状態であったら、一度計算してみることをお勧めしたい。