「くしろ湿原ノロッコ」号乗車体験

北海道道東の釧路市の北郊、釧路湿原国立公園の東縁を走るJR釧網本線。普段は1両編成の普通列車が1日数往復するだけだが、春から秋の週末を中心に、釧路湿原を観光する手段としてのトロッコ列車が走る。

指定席車両はオープンエアーのトロッコ車両で、窓際の席を取ると気持ち良い風を浴びながらすがすがしい旅ができるかと思う(雨が降った時はガラス窓で覆われる)。

湿原の中を「ノロノロ」ゆっくり走ることから、列車の名前は「くしろ湿原ノロッコ」号である。通常は、北海道釧路市の釧路駅から標茶町の塘路駅の27.2キロの区間を、日中片道1時間弱かけて走っている。通常の週末は1往復、多客時は2往復運行される。

今般、筆者はこの「くしろ湿原ノロッコ」号に往復乗車する機会を得たので、本稿ではこの列車に乗車するまでの準備や、実際に乗車した体験を皆さまと共有したいと思う。

くしろ湿原ノロッコ号乗車に必要なきっぷの準備

くしろ湿原ノロッコ号は臨時の普通列車で、自由席客車1両と指定席客車3両が連結されている。自由席に乗車するには、乗車する区間の乗車券、もしくはフリーパス類のきっぷが必要で、指定席に乗車する場合はそれに加えて指定席券が必要となる。

筆者はフリーパスの「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を乗車券として使用

この列車自体観光資源になっているためか、結構人気のある列車で、筆者が思っている以上に指定席がとりにくいと思う。乗車日の1か月前10時から全国のJR駅にあるみどりの窓口で指定席券を購入できるが、予定が決まっている限り、その発売されたてのタイミングできっぷを購入したほうがいいと思う。

なお、JR北海道でもネット予約の「えきねっと」が利用されているが、このノロッコ号に関してはえきねっとでは予約できず、駅のみどりの窓口に出向いて指定席券を購入する必要がある。

指定席は2号車から4号車の間の3両で、定員は200名弱である(2020年9月乗車時点では、コロナの影響で座席を間引いて発売されており、フルキャパシティーのおおよそ60%の120席程度が発売されていた)。

シートマップはJR北海道の公式ウェブサイトから参照することができるので、確認してからみどりの窓口に出かけたい。指定席券の購入時に席番を指定すると確実だと思う。席の種類と席番の関係は、後ほど説明したい。

自由席は1両だけで、定員は約70人である。人気のある列車で、乗りきれなくなる恐れがあるので、極力指定席券を確保することをお勧めする。

雨天時はガラス窓が設けられるとはいえ、にわか雨に降られることや風が強いことなど考えられるので、風よけの上着を持っていると安心だと思う。

釧路駅からくしろ湿原ノロッコ2号に乗車!

2号:釧路駅 11:06分 →(釧網本線経由)→ 塘路駅 11:54分

2020年9月末の土曜日の午前中。この日は台風の余波であいにくの大雨だった。宿泊していたホテルから釧路駅に向かい、着いたのが10時過ぎ。発車前の時間を持て余すかと思っていたが、ノロッコ号に乗車しようという人たちが多く駅に入っていた。

釧路駅には自動改札機が設置されており、いつでもホームに入場できる。自由席に乗車する場合は、10時過ぎにはホームに入って、乗車口に並ぶことをお勧めする。駅の待合室が狭いので、指定席に乗車する場合は、発車時刻が迫ってから駅に来てもよいかと思う。

筆者がノロッコ号が発車する3番線ホームに入ったのが10:35分頃だったが、ちょうど車内に入れるタイミングで、自由席に乗車する人の長い列がみられた。

釧網本線の網走駅方にディーゼル機関車のDE10が先頭で走り、1号車の自由席客車から4号車の指定席客車に続く。

列車の最後尾が、釧路駅方の4号車である。ノロッコ号の終点、塘路駅から釧路駅に折り返してくるときには、4号車の客車が先頭になって走るため、客車にもかかわらず運転席がある。

ノロッコ号のエンブレム。走り出してから30年以上経つそうである。

客車側面に掲げられた行先標(サイドボード)。北海道の普通列車ではいまだに鉄板製の行先標がみられて、懐かしさを覚える。

4号車の客室。写真の先のほうが釧路駅方にあたり、運転室がある。釧路湿原側にボックス席があり、逆側にベンチ席がある。ボックス席が良席であることは言うまでもないが、その席番の振られ方が不規則なので、事前にシートマップを参照したい。ボックス席の窓側がA席、その隣がB席(販売中止)、通路側がC席。1つのボックスに6人座るのは正直狭い感じがするので、4人が座るくらいがちょうどよいかと思う。ベンチ席は湿原側にもその逆側にも背もたれの向きを変えられる。

各車両1番からがボックス席、番号が増えるとベンチ席になるので、ご注意を。2人で窓側のボックス席を取る場合、例えば1番と2番のA席を取ると、窓側で向かい合わせで座れる最良のパターンになる。一般的なボックス席では、A席とD席が向かい合わせになるが、ノロッコ号は違うわけである。

公式ウェブサイトの配席図はコチラ。

https://www.jrhokkaido.co.jp/travel/kushironorokko/zaseki.pdf

4号車の車両番号は「オクハテ510-1」。オが客車、クが運転台、ハが普通車、テが展望車の意味であるが、こんな車両形式はよそでは見られないと思う。WIFIサービスもあるようである。

4号車の乗降口。タンチョウとエゾシカがいて、楽しい雰囲気で記念写真を撮れると思う。

2号車には簡易なサービスカウンターがある。

1号車は自由席の客車だが、展望車ではなくて一般の客車である。車両中央がボックス席、出入口近くがロングシートである。発車間際では好きな席に座れないこと必至である。

列車が発車して塘路駅に向かう

11:06分に釧路駅を定刻に出発して、大雨の中一路塘路駅に向けて走り出した。

列車に乗った頃は人が少なかったが、発車時刻には指定席車両にも大勢の人が乗ってきて、指定席として販売されている席がほぼ満員だった。コロナの影響で列車がもっと空いているかと思ったのだが、1か月前に指定席券を買った時でも思ったように席番指定できなかったほど席が埋まっていたので、列車自体は好調だと思う。

途中釧路湿原駅までは通常の速度で走り、釧路湿原駅で乗客を降ろしてからはゆっくりスピードで走った。遠矢駅を過ぎて国立公園に入る頃に釧路川と沿って走るようになり、タンチョウやエゾシカがみられることがあるということだった。雨でなければオープンエアーで風景を堪能できたのだが、この日はガラス窓が上がっていて残念だった。

車掌さんが車内を巡回してきて、ノロッコ号の乗車証明書をくれた。ボール紙でしっかりできている。

終点の塘路駅には、定刻の11:54分に到着した。

塘路駅到着の後

くしろ湿原ノロッコ2号が塘路駅に到着してからとれる行動パターンとして、次が挙げられるかと思う。

● 車に乗って他の目的地に向かう
● そのまま折り返しのくしろ湿原ノロッコ1号に乗車して釧路駅に帰る
● その後続の普通列車で釧路駅に帰る

塘路駅で降りてから後続の網走駅行き普通列車を待つのは時間が長すぎて、現実的ではないような気がする。

塘路駅の駅舎。中に喫茶店が入っているが、撮影はご遠慮くださいということなので、外からの写真である。駅舎の中にはきっぷうりばはないので、指定席券を購入することはできない。

先頭の4号車客車。客車が先頭、ディーゼル機関車が最後尾から押して走行する形になる。

筆者は折り返しの1号で釧路駅まで帰ってきた。

雨に濡れた釧路川の風景である。

帰りの列車の乗車証明書。行きのものとは配色が若干異なるが、同じサイズである。

 
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