「海幸山幸」号(JR九州)乗車体験

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宮崎県のJR日南線を走るJR九州のD&S列車(観光列車)の「海幸山幸」号。

宮崎市の宮崎駅から宮崎県日南市の南郷駅の55.6kmの区間を約1時間40分かけてゆっくりと走る特急列車で、車両のデザインや車内での非日常の体験を楽しめる。日南海岸や飫肥の街並みの観光の移動手段として乗車するだけでなく、列車に乗りに行くこと自体が旅行の目的になるような列車である。

神話に出てくる海幸彦と山幸彦が列車名の由来である。

宮崎に陸路で行くのは遠く、他の地域と合わせて乗り鉄を楽しむのがなかなか難しい。ということで、筆者にはなかなか宮崎を訪れる機会がなかったのだが、今回航空会社のPeachが宮崎線のバーゲンセールをやっていたので、それに乗じて宮崎に出かけることができた。5年来の念願がかなって、この「海幸山幸」号に乗車する機会をようやく得ることができた。

本稿では、JR九州の宮崎地区を走る観光列車「海幸山幸」号に乗車するためのきっぷの手配・購入方法、そして日帰りで往復乗車した体験を、筆者なりに皆さまに共有したい。

海幸山幸号に乗車するためのきっぷの手配

特急列車である海幸山幸号。列車には席数の大半を占める指定席の他に、9席の自由席が設定されている。必ずしも指定席特急券を取る必要がないわけであるが、混雑する可能性を見込んで、指定席を取ると安心だと思う。

列車の定員が40席そこそこなので、混んでいる場合は指定席を確保しにくい列車でもある。そんなわけで、指定席が販売開始になる出発日の1か月前の10時のタイミングで予約購入することをお勧めする。

乗車するには基本的に乗車券と特急券が必要になるわけだが、JRの駅にあるみどりの窓口に行く以外にもきっぷを手配する手段がある。ここでは、その手段をご説明したい。

● 駅のみどりの窓口できっぷを購入する方法

最も単純な方法で、ネット環境も必要ないので、万人向けの方法である。

JR九州管内の駅で購入する場合、以下でご紹介する割引きっぷの「海幸山幸のんびりきっぷ」として購入することも可能である。

JR九州以外の駅で購入する場合は、通常の乗車券と特急券を割引なしとなる。

ネット環境やクレジットカードがない場合でも、現金で購入できるのがメリットである。

● ネットで予約購入する方法

JR東日本の「えきねっと」で出発1か月前から予約購入が可能である。その際、シートマップから座席を指定して予約することが可能である。

JR西日本の「e5489」でも同様である。

いずれも、JR九州の割引きっぷとして購入することはできず、所定の運賃料金で乗車券と特急券を購入することになる。

● JR九州の電話予約サービスを利用する方法

JR九州には、他のJR会社にはない列車予約のサービスがあり、駅に出向いたりネットで予約しなくても、電話できっぷの予約する方法がある。

海幸山幸号に限らず、JR九州のD&S列車(観光列車)を予約する窓口があって、出発日の1か月前に電話して座席の予約をしておく方法である。

この方法のメリットは、JR九州管内に住んでいない場合でも、JR九州の企画割引きっぷとして購入できることである。ただし、予約後決まった期間内にJR九州の駅に出向いて決済購入できない場合、電話した時点でクレジットカードでの決済が必須になるのが注意点になる。予約番号5桁を教えてくれるので、必ずメモしておこう。

海幸山幸号の企画割引きっぷは「海幸山幸のんびりきっぷ」である。宮崎駅から南郷駅までの往復の指定席乗車と、北郷駅から南郷駅までの区間のフリー乗車が付いて、3日間有効の4,070円のきっぷである(2020年10月現在の料金)。所定の運賃料金よりも数百円安く、往復とも海幸山幸号に乗車する場合はおトクである。

海幸山幸号のきっぷを受け取った

筆者が宮崎入りしたのが、海幸山幸号に乗車する前日。宮崎駅に到着したタイミングで駅のみどりの窓口で予約番号を告げて電話予約してあったきっぷを受け取った。

往復のきっぷ2枚と座席指定の席番が記載された指定券2枚、そしてクレジットカードで決済していたのでそのご利用票を受け取った。

筆者は南郷駅での滞在時間約3時間の間、宮崎交通の周遊バス(日南めぐり号)に乗車して近傍の観光をする予定だったが、上記のきっぷを受け取った際、みどりの窓口でそのバスの乗車券を売っていることを教えてくれた。

JR九州の駅で前日までにそのバス乗車券を購入すると、所定の500円から100円引きの400円で購入できるので良いと思う。

海幸山幸号(下り)に乗車!

いよいよ、念願だった海幸山幸号に乗車できる時がきた。

海幸山幸(下り):宮崎駅 10:07分発 →(日南線経由)→ 南郷駅 11:49分着

乗車した2020年10月の週末、あいにく雨に祟られたのであるが、宮崎駅近くのホテルに投宿していたので、列車の出発時刻である10:07分の30分前にホテルを出て、宮崎駅に入った。大雨の宮崎駅の駅前広場、昨日セレモニーで賑やかだったけど、今は人がいなかった。

改札を通ってから、ホームに上がったが、発車30分前ではこれまた人がほとんどいなかった。列車が発車する4番線。

発車20分前の9:47分に、南宮崎駅方から列車が入線してきた。これから列車に乗車するぞと、気持ちが高まる瞬間である。

列車が入線してすぐに、列車の車内に入ることができた。車体の外装には飫肥杉を用いた独特さがあって、普通は冷たく見える車体が暖かく見える。

ここで、車内の様子を見てみたい。

まずは、筆者が乗車した1号車。1列あたり3席のゆったりした席の配置である。海側が2人掛けの座席(A席・B席)、山側が1人掛け(C席)。日南線の道中、海が間近に見えることは意外に少ないのであるが、やはり海側の座席に座りたい。

1号車は「山」がテーマで、車内はえんじ色でまとまっている。車両の連結部にはのれんがあった。

1号車に入るところにお手洗があるが、そこから見る車内がとても美しく、わくわくする。

前から後ろを見ると、このような風景である。整然と座席が並ぶ普通の特急列車のレイアウトである。

1号車の先頭には、サービスカウンターがある。アテンダントさんが忙しく作業をしている空間だが、内装は綺麗である。

自分が座った1号車1番のC席。予約した時にこの席しか取れなかったのであるが、存外良席で、終始前面の眺めを楽しめた。なお、車内のドア寄りにロングシートがあるが、自由席として乗車できる。

海幸山幸号の車内、座席の間隔と窓枠の感覚が一致していなくて、席によっては柱が眺めを邪魔することがあるので、座席を取るときには注意が必要である(宮崎行きは3番の席が柱に当たってしまった)。

2号車の車内。「海」がテーマで、色は青である。車内の入口に「海」と書かれた額があった。

2号車ののれんはこんな感じ。

2号車の宮崎駅方に9席の自由席座席がある。指定席と座席自体差があるわけではないが、早い者勝ちである。この列車、座席指定だと思い込んで、自由席があることが案外と認知されていないので、意外な穴場なのかもしれない。

南郷駅行きの列車が発車!

発車の数分前には大勢のツアー客がどっと乗車してきて、ほぼ満員の乗客を載せて、定時である10:07分に発車した。この日は大雨だったので、直前にキャンセルした乗客がいたようで、満席のはずが若干の空席が見られた。

乗務しているアテンダントさん3人が終始忙しそうに接客に当たっていて、最初に各席を回って、ドリンクやグッズを販売していた。その次に、きっぷ拝見の時に記念乗車証をもらうことができた。

車内販売で、オリジナルのクリアファイル350円を入手することができた。

この日はあいにくの天気であったが、途中2か所の海の見えるスポットで列車が一時停車した。アテンダントさんは忙しそうであったが、その間を縫って、海幸山幸の紙芝居を披露してくれた。子供でも容易に理解できる内容である。

途中の飫肥駅で、15分間停車。飫肥泰平踊の衣装を着た2人の男性が出迎えてくれた。この日は雨で見られなかったが、ホームでは物品の販売もしているようである。

飫肥駅を過ぎてしばらく日南市内を走り、定刻の11:49分に終点の南郷駅に到着した。

南郷駅で日南めぐりバスに乗車

南郷駅がある日南市の南郷は西武ライオンズのキャンプ地で、駅舎もライオンズ一色である。宮崎交通のバス「日南(ひな)めぐり」号が駅の外に停車していて、乗車してすぐに発車した。この日は、筆者以外乗客がおらず、バスが貸し切り状態だった。

かわいい亀さんのシート

観光スポットとしては、マリンビューワー号への乗船と道の駅での食事があるが、食事は港の駅めいつでの魚介がお勧め。全体的に昭和感が漂っていて、微妙な観光スポットだが、帰りの海幸山幸号に乗車する場合には、待ち時間の活動として良いかと思う。

帰りも海幸山幸号に乗車

海幸山幸(上り):南郷駅 15:32分発 →(日南線経由)→ 宮崎駅 17:15分着

南郷での観光が終わってから、早めに南郷駅の駅舎に入って、列車を待った。

南郷駅から海幸山幸号に乗車しようと思って、きっぷを持っていない場合もあろうかと思う。南郷駅は無人駅であるが、きっぷ売り場がある。ただし、JR駅員がいる駅ではなく、簡易委託で女性がきっぷを売っている。端末がないので手売りのきっぷで、指定席の予約はできないとのことである。自由席のきっぷだけを買えるので、指定席特急券は予め大きな駅で買っておいたほうがいいと思う。

ちなみに、自由席のきっぷはこんなものである。

海幸山幸号の車両の入線が意外と早く、発車1時間前には入線して、スタンバイしていた。車内に入れたのが、15:20分頃。

定刻に発車して、一路宮崎駅に。帰りは団体客もおらず、空席も結構多くあって、静かに移動できた。帰りの車内では、アテンダントさんがカードを引いての運試しゲームを乗客一人一人にやらせてくれて、楽しかった。

アテンダントさんは接客がしっかりしていて、プロとしての意識が高いように思える。

海幸山幸号の平日貸切ができる

海幸山幸号が走り始めて、本稿の執筆時点で11年が経っているのだが、車体外面や内装の経年劣化が目立っていた。内装が木材製であることから汚れや擦れが結構目立っていて、ちょっと残念だった。経年劣化のメンテナンスと乗客の集客が、海幸山幸号に限らず今後の観光列車の大きな課題だと思う。

それと関連するかしないか分からないが、週末の本来の運行日以外の平日に車両の貸切ができるというのである。宮崎県からの補助金があるというので、平日に45名集めることができれば、あなたも海幸山幸号のオーナーになれるかもしれない。

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