通過連絡運輸の経路を大人の休日倶楽部割引の乗車券に含める運賃計算のワザ【後編】

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本稿は、大人の休日俱楽部会員向けの乗車券及び料金券(特急券、グリーン券など)の割引について、連絡運輸もしくは通過連絡運輸ではどのように適用されるかを考察する記事の後半である。

前半では、運賃計算上の遠距離逓減制の原則を最大限活かすため、なるべく一筆書きの大回りのルートを作成して運賃計算キロを長くし、キロ当たりの運賃単価を低く抑える方法について考えた。その中で、個人的には「連続乗車券」および「通過連絡運輸」を活用することによって、遠距離逓減制の利点を最大限出すことができると考えている。

この運賃計算について、大人の休日俱楽部会員であれば、片道・往復・連続乗車券のいずれかで通算201km以上JR線を利用することで、さらなる大人の休日俱楽部会員割引の適用が可能である

本記事の前半では、 ケーススタディーの1例目として北越急行線の「通過連絡運輸」の経路を含む「連続乗車券」に大人の休日俱楽部割引を適用できるケースをご紹介した。引き続き、ケーススタディーの2例目として、えちごトキめき鉄道の通過連絡運輸の経路を含めて連続乗車券を組むことができるかどうか、考えていきたい。

記事の前半をお読みになっていない読者さまには、以下の前半記事を先にお読みいただければ幸いである。

ケース2:通過連絡運輸を含む経路を連続乗車券として発売できない場合【えちごトキめき鉄道】

2件目のケースでは、連絡運輸および通過連絡運輸の契約自体はあるが、発行できる乗車券の種別が片道乗車券および往復乗車券のみで、連続乗車券が対象外となっている場合を考えたい。

まずは、大宮駅から高崎駅に向かい、反時計回りに周回して高崎駅に戻り、大宮駅に帰る経路である。途中の直江津駅から上越妙高駅までえちごトキめき鉄道線が含まれているが、この経路に対してJR線の運賃を通算できるかどうか考えた上で、運賃計算の試案を作成した。

大宮駅ー(高崎線)ー高崎駅ー(上越線)ー宮内駅ー(信越本線)ー直江津駅ー(えちごトキめき線)ー上越妙高駅ー(新幹線)ー大宮駅

最後の区間である北陸新幹線以外は、在来線の普通列車を利用する前提で運賃計算を行ってみた。

大宮駅から反時計回りに一筆書きの経路を取り、高崎駅で一周となって運賃を打ち切り、別途大宮駅まで運賃計算する、最もスタンダードなパターンで一見うまくいきそうだったのだが。。。

経路の途中に他社線が含まれていなければJR線だけの旅程で、全体が連続乗車券として成立するが、今回は直江津駅から上越妙高駅までえちごトキめき鉄道線が経路に含まれているのがキーポイントである。

この区間が「通過連絡運輸」の区間として設定されているか、JRとえちごトキめき鉄道の間に、連続乗車券を適用できる連絡運輸の契約があるかどうかの2点を、ここで検討しなければならない。

結論としては、通過連絡運輸の区間としてJR線の運賃を通算することは可能であるが、連続乗車券にえちごトキめき鉄道の経路を含めることはできない。

【A案】高崎駅打ち切り:最初に思いついた運賃計算

この案では全体の運賃計算を(経路を一周した)高崎駅で打ち切り、(1)大宮駅から大回り乗車して高崎駅に至る片道乗車券および(2)高崎駅から大宮駅まで戻る片道乗車券の2組の乗車券を購入することになる。(1)の片道乗車券は201kmを超えるので大人の休日俱楽部割引を適用できるが、(2)の片道乗車券は201km未満なので割引を適用できない。

上越妙高駅から新幹線で大宮駅まで戻る際、ベースとなる乗車券には無割引のものが含まれるため、新幹線特急券に大人の休日俱楽部割引を適用できなくなって、うまいこと話がいかなくなってしまったのである。

【片道乗車券(1)】
大宮駅ー(高崎線)ー高崎駅ー(上越線)ー宮内駅ー(信越本線)ー直江津駅ー(えちごトキめき線)ー上越妙高駅ー(新幹線)ー高崎駅

発駅経由路線着駅計算キロ所定運賃適用運賃備考
大宮(高崎線)高崎74.7   
高崎(上越線)宮内162.6   
宮内(信越本線)直江津70.0   
(トキめき)直江津(えちごトキめき線)(トキめき)上越妙高10.4340340通過連絡運輸
上越妙高(北陸新幹線)高崎176.9   
  JR合計484.28,0307,620JR区間通算
  小計(a)494.68,3707,960大休05割引適用

【片道乗車券(2)】
高崎駅ー(新幹線)ー大宮駅

発駅経由路線着駅計算キロ所定運賃適用運賃備考
高崎(新幹線)大宮74.71,3401,340 
  小計(b)74.71,3401,340無割引

【特急料金(3)】

発駅経由路線着駅計算キロ所定料金適用料金備考
大宮(高崎・上越線)越後湯沢530500指定席券:大休05割引適用
上越妙高(北陸新幹線)大宮 4,0604,060新幹線特急券(指定席)無割引
  料金合計 4,5904,560

【運賃料金総計(1)+(2)+(3)】

13,860円

上越妙高駅ー大宮駅の新幹線特急券は通しで無割引

【B案】井野駅打ち切り:運賃計算の打ち切り地点を変更

最後の乗車区間である上越妙高駅から大宮駅までの全区間で大人の休日俱楽部割引を適用させる必要があることから、当該区間は運賃を通し計算とし、他のどこかの駅で運賃計算を打ち切る必要があった。

いろいろと打ち切り方はあるのだが、今回は通過連絡運輸を含んだ大人の休日俱楽部割引適用の乗車券を作るというこだわりがあったので、高崎駅から直江津駅までのいずれかで運賃を打ち切ることを考えた。

大宮駅から高崎駅まで74.7kmで、80kmまでに含まれる駅に上越線の井野駅(群馬県高崎市)があるので、そこに焦点を当てて運賃を打ち切ってみた。

(1)大宮駅から井野駅までの片道乗車券および(2)井野駅から大回り乗車して、一筆書きの経路で大宮駅に至る片道乗車券の2組の乗車券を実際に購入した。(1)の片道乗車券については201km未満で無割引の乗車券で、新幹線乗車区間が含まれる(2)の片道乗車券は201km以上になり、割引が適用となる。

したがって、新幹線特急券に関しても大人の休日俱楽部割引をうまく適用できる形になる。

【片道乗車券(1)】
大宮駅ー(高崎線)ー高崎駅ー(上越線)ー井野駅

発駅経由路線着駅計算キロ所定運賃適用運賃備考
大宮(高崎線)高崎74.7   
高崎(上越線)井野4.01,3401,340 
  小計(b)78.71,3401,340無割引
途中下車もできないし、割引も適用できないし、払戻手数料的にも不利

【片道乗車券(2)】
井野駅ー(上越線)ー宮内駅ー(信越本線)ー直江津駅ー(えちごトキめき線)ー上越妙高駅 ー(新幹線)ー大宮駅

発駅経由路線着駅計算キロ所定運賃適用運賃備考
井野(上越線)宮内158.6   
宮内(信越本線)直江津70.0   
(トキめき)直江津(えちごトキめき線)(トキめき)上越妙高10.4340340通過連絡運輸
上越妙高(新幹線)大宮251.6   
  JR合計480.28,0307,620JR区間通算
  小計(a)490.68,3707,960大休05割引適用

【特急料金(3)】

発駅経由路線着駅計算キロ所定料金適用料金備考
大宮(高崎・上越線)越後湯沢530530指定席券:無割引
上越妙高(新幹線)大宮 4,0603,850新幹線特急券(指定席・通常期)
  料金合計 4,5904,380大休05割引適用

【運賃料金総計(1)+(2)+(3)】

13,680円

運賃および料金は、3案の中で最も低額である。

このB案にて購入した乗車券と新幹線特急券で日帰りの乗り鉄を楽しんだこちらの記事もご一読いただきたい。

【C案】直江津駅打ち切り:通過連絡運輸ではないシンプルな運賃計算方

みどりの窓口であれこれ検討した際に駅員さんに提案されたのが、直江津駅で運賃計算を打ち切るパターンだった。(1)大宮駅から直江津駅までのJR線だけの片道乗車券および(2)連絡運輸の乗車券として直江津駅から上越妙高駅を経由し、大宮駅まで新幹線で戻る片道乗車券の2組の乗車券になる。(1)(2)ともに201km以上の経路であるため、それぞれ大人の休日俱楽部割引適用となり、経路の全区間で料金も大人の休日俱楽部割引が適用になる。

通過連絡運輸を含まない形になる分、JR線の通算キロ数がA案、B案よりも短くなることから、運賃の総額がどのようになるかの懸念があったので、新幹線特急券を含め総額を比較計算した。

計算結果は以下の表通りとなるが、このC案が全区間大人の休日俱楽部割引であるにもかかわらず最も割高となってしまい、先のA案、B案の総額の方がいくらか安くなった。通過連絡運輸をうまく活用することによってJR線の運賃通算キロを長くすると、運賃金額を抑えることが可能であることをお分かりいただけただろう。

もしも、えちごトキめき鉄道で連続乗車券が利用可能であれば、運賃計算の打ち切り方をあまり気にする必要がない。そして全区間で大人の休日俱楽部の料金券も割引になるだけに、通過連絡運輸の契約がある社線に関しては連続乗車券の発券も可能な契約とすることが望ましいように考える。

【片道乗車券(1)】
大宮駅ー(高崎線)ー高崎駅ー(上越線)ー宮内駅ー(信越本線)ー直江津駅

発駅経由路線着駅計算キロ所定運賃割引運賃備考
大宮(高崎線)高崎74.7   
高崎(上越線)宮内162.6   
宮内(信越本線)直江津70.0   
  JR合計307.35,1704,910
  小計(a)307.35,1704,910大休05割引適用

【片道乗車券(2)】
直江津駅ー(えちごトキめき線)ー上越妙高駅 ー(新幹線)ー大宮駅

発駅経由路線着駅計算キロ所定運賃割引運賃備考
(トキめき)直江津(えちごトキめき線)(トキめき)上越妙高10.4340340連絡運輸
上越妙高(新幹線)大宮251.6   
  JR合計251.64,5104,280
  小計(b)262.04,8504,620大休05割引適用

【特急料金(3)】

発駅経由路線着駅計算キロ所定料金適用料金備考
大宮(高崎・上越線)越後湯沢530500指定席券
上越妙高(新幹線)大宮 4,0603,850新幹線特急券(指定席・通常期)
  料金合計 4,5904,350大休05割引適用

【運賃料金総計(1)+(2)+(3)】

13,880円

結論としては金額的にどんぐりの背比べ程度の差しかなかったが、通過連絡運輸を活用した方が遠距離逓減制の作用で運賃料金の総計が最も安かった。

週末パスもあるけれど。。。

週末(土休日)に旅行する場合には、週末パスを活用するのもありである。全旅程で概ね600km以上乗車する場合は、所定運賃ベースの大人の休日俱楽部割引乗車券よりも週末パスを購入したほうが低額になる傾向があると思われる。

その場合、

● 週末パスなど所定運賃でない乗車券には、料金券に大人の休日俱楽部割引を適用させる力がない

● 30%もの運賃料金割引を受けられるジパング会員の場合、割引率が大きいだけに週末パスと比較するのがナンセンス

という2点を考慮しなければならないため、単純な話ではない。週末パスを買えばいいじゃん、と簡単に話を片付けるわけにはいかないのである。

全体の旅程に含まれる運賃計算キロによって、

● 1-200km:無割引の所定運賃を利用

● 201-600km:所定運賃に大人の休日俱楽部割引を適用させる

● 601km-:ミドル会員は週末パスの利用を検討(料金は無割引で)

※ ジパング会員はどこまでも大人の休日俱楽部割引を活用

を使い分けるといったところだろうか。

ちなみに、今回のケースでは週末パスと所定料金の新幹線特急券を購入するのが、実はわずかながらも最も低額であった(13,470円)。

参考資料 References

● 旅客営業規則から一部を抜粋

(214)えちごトキめき鉄道

直江津 (片、往)
上越妙高 (片、往)
糸魚川 (片、往)
長野 (片、往)[しなの鉄道線長野・妙高高原間経由・通過連絡運輸]

連絡運輸区域
(直江津接続)[東]信越本線(黒井・新潟間)、上越線(越後湯沢・越後滝谷間※)、 飯山線(十日町※)各駅 と [えちごトキめき]各駅
(注)※の区間は、えちごトキめき鉄道では発売しない。(JR側だけでの発売)
(備考) 定期旅客の場合は、JR・えちごトキめき鉄道ともに、黒井・長岡間が直江津接続の連絡運輸区域です。
(糸魚川接続)[東]大糸線(南小谷)、[西]大糸線(中土・姫川間)各駅 と [えちごトキめき]各駅
(上越妙高接続)[東]東京都区内、東北本線(大宮)、高崎線(熊谷、本庄早稲田、高崎)、 北陸新幹線(安中榛名・飯山間)各駅、[西]北陸新幹線(糸魚川・金沢間)各駅 と [えちごトキめき]妙高高原・北新井間及び南高田・直江津駅各駅

通過連絡運輸設定区域
(1) 直江津-糸魚川間、又は、直江津-上越妙高間を経由して、JR6社各駅 と JR6社各駅 の相互間
(2) 直江津-妙高高原-(しなの鉄道)-長野間を経由して、[東]信越本線黒井・新潟間各駅 と [東] 篠ノ井線松本・稲荷山間、信越本線篠ノ井・安茂里間各駅 の相互間

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