千葉県の最東端、銚子市内を走る銚子電鉄。銚子駅から外川駅までの6.4kmのローカル線ですが、経営が厳しいというのは、皆さまご周知ではないでしょうか。状況打破のため、いろいろな話題作りに取り組んでいる姿を、皆さまも報道を通じてご存じかと思います。
本業の鉄道輸送以上にメジャーになった「ぬれ煎餅」の製造販売。地元銚子以外でも購入できる機会が増えました。ぬれ煎餅に引き続き登場したお菓子が「まずい棒」です。筆者も時々銚子まで出かける機会がありますが、いつも買って帰るぬれ煎餅に加え、まずい棒も買ってみました。
本稿は、銚子電鉄さんの「ぬれ煎餅」と「まずい棒」の紹介と、それぞれ食べ比べての食レポです。筆者は食レポのプロではありませんが、銚子電鉄の一ファンとして、筆者の主観で記事を書きました。どうぞ最後までお付き合いください。
目次
「ぬれ煎餅」と「まずい棒」誕生のストーリー

1922年の設立から100年が経った歴史ある鉄道会社の銚子電鉄。千葉県銚子市の地場産業は、漁業(銚子港での水揚げ)や江戸時代から続くしょうゆの醸造と、由緒あるものです。そんな産業に支えられて、銚子の街は以前活気がありましたが、近年は人口減少で中心街はシャッター通りに変わってしまいました。
銚子の街とともに歩んできた銚子電鉄の乗客数も、そのような街の趨勢と連動するように減少しました。2006年に起きた銚子電鉄社内での不祥事もあって、同社は一時倒産の危機に陥りました。
その倒産の危機を救ったのが副業で製造販売していた「ぬれ煎餅」でした。ネットで拡散されたおかげでぬれ煎餅は爆売れし、鉄道車両や施設のメンテナンスの費用を捻出できたとのことです。
「苦しい時に助けを求めることは恥ずかしいことではない」と信じてひたむきに取り組んだ成果としての奇跡のストーリーは、筆者にとってもステキなことと感じます。
売り上げがひと段落した「ぬれ煎餅」に引き続き登場したのが、2018年に販売が始まった「まずい棒」でした。経営状況が「まずい」、運行存続のために販売しないと「まずい」に絡めたネーミングかと思います。
「ぬれ煎餅」と「まずい棒」を買える場所

主力の「ぬれ煎餅」には、「青のうすくち味」「赤の濃い口味」と「緑の甘口味」の3種類があります。いずれもフレッシュな醤油の風味を味わうことができて、いかにも醤油の産地銚子らしいです。
パッケージも、「5枚入りパック」や「箱入り詰め合わせ」があり、1枚1枚のせんべいは個包装です。単価は、1枚90円(税込)です(ただし箱入りものの単価が違います)。
また、訳あり品の「無選別」ぬれ煎餅も発売されています。1パック500円(税込)ですが、パックの中には欠けたものも入っているため、1パック何枚と決まっている感じではないです。
定番のぬれ煎餅の他のバリエーションとして、ぬれ煎餅プレミアム(ひ志お味・カツオ味)もあります。
2018年に登場した「まずい棒」は、ぬれ煎餅味や岩下の新生姜味、コーンポタージュ味、かるいチーズ味など全9種類が発売されています。「うまい棒」のパロディーです。

これらの商品を買える実店舗は結構限られますが、同社のオンラインショップではどの品も買うことができます。
● 銚子電鉄の駅:仲ノ町駅、犬吠駅、外川駅、ぬれ煎餅駅(製造直売所)
通常のぬれ煎餅、無選別ぬれ煎餅、まずい棒のいずれも購入可
● JR銚子駅のNewdays売店
箱入りのぬれ煎餅と5枚入りのパックを購入可
● 各地の催事
地元銚子以外の各地でも、5枚入りパックなど販売しているようです。
● オンラインショップ(インターネット)
いずれの商品も購入可

まずい棒については、卸売には対応していないと告知されているので、銚子電鉄の駅かオンラインショップかのいずれかのみで購入可能です。まずい棒のコーンポタージュ味は好評なのか、筆者が駅の売店に立ち寄った時には売り切れていました。
「ぬれ煎餅」実食後に「まずい棒」ぬれ煎餅味実食!

前置きが長くなりましたが、ここでぬれ煎餅の実食体験です。
まずは「青のうす口味」。ほのかなしょうゆの風味が口の中で感じられますが、薄い味なので後味がありません。
次に「緑の甘口味」。個装を開けた瞬間、醤油の風味が鼻に伝わってきます。醤油そのものの味よりは、甘さが残る味です。
最後に「赤の濃い口味」。醤油本来の味と香りが煎餅にしっかりとしみ込んでいます。甘党の人にとっては、醤油の辛さが強く残るかと思います。塩辛い後味がしっかりと残ります。
この後に「まずい棒」ぬれ煎餅味を実食。
個装を開けた瞬間漂う香りは、せんべいの風味ではなく、コーンパフ(焼きもろこし)の強い香りです。甘い塩味がぬれ煎餅の名残ですが、ぬれ煎餅とは完全に別物です。ぬれ煎餅のクオリティーを期待すると、本当に「まずい」と感じてしまいます。あくまでも「まずい棒」として味わうと良いでしょう。
駅での売れ行きの通り、「まずい棒」のコーンパフに合うのは、コーンポタージュ味やチーズ味だと思います。
おわりに

筆者が銚子電鉄に乗車して、銚子電鉄の駅でぬれ煎餅とまずい棒を買って帰りました。電車に乗車したのが週末ということもあって、思いのほか多くの観光客が乗車していて、にぎやかでした。乗客だけではなく、車内を回る車掌さんや駅員さんの数も多く、活気を感じました。
経営が苦しい地域鉄道のオペレーションは、列車のワンマン運転や無人駅で省人化していたり、スタッフが高齢化していたりと、先細り感を覚えるのが一般的です。それと違って、銚子電鉄には若い世代のスタッフが現場にも大勢いるのが印象に残りました。
銚子電鉄線が長く存続されることを筆者も祈りつつ、本稿をしめたいと思います。
参考資料 References

● 銚子電鉄 公式ウェブサイト
● 銚子電鉄 まずい棒サイト

● 銚子電鉄 オンラインショップ
改訂履歴 Revision History
2022年5月21日:初稿
2022年6月21日:初稿 修正
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