「週末パス」で元を取れるか

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JR東日本が発売している、フリーパスタイプの企画乗車券「週末パス」。

土曜・日曜・土日と連続する祝日のうちの連続した2日間、関東甲信越地区と南東北地区のJR東日本線といくつかの社線に乗り放題の乗車券です。それでいて、この週末パスの価格は、大人8,880円(子供はなんと2,600円の激安価格)と、とてもおトクです。

「週末パス」は、あくまでも乗車券です。新幹線や在来線の特急列車、グリーン車や全車指定席の列車に乗車する際は、この週末パスの他に特急券などの料金券の購入が別途必要です。

筆者も、ある三連休を利用して敢行した南東北地方への乗り鉄に利用し、大変興味を持ったきっぷがこの「週末パス」です。このようなフリーパスタイプのきっぷは、いかにしたら元を取れるかが率直なところ、大変気になるのではないでしょうか。

関東地区と信越・南東北地区にまたがる広いエリアを乗り歩くには、最適なきっぷ(乗車券)です。

そこで、この記事では、週末パスの概要について触れた上で、所定運賃・料金やネット限定料金「えきねっとトクだ値」と比較してみます。そして、週末パスのおトクさについて考えていきたいと思います。

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週末パスの概要

上越新幹線E4系MAX

「週末パス」は、大人8,880円、子供2,600円で、 土曜・日曜・土日と連続する祝日のうちの連続した2日間、指定された区間の列車に自由に乗り降りできる乗車券です(2019年10月現行の価格)。

普通列車専用の「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」と違い、特急券を別に購入すれば、新幹線や特急列車にも乗車できます。

「週末パス」の実際の券面は以下の通りで、本券は自動改札を通れる紙のきっぷです(マルス8.5cm券)。

週末パス本券
北東北地区を除くJR東日本営業エリアで利用可能

本券に付属してくるご案内には、JR線以外に乗車できる社線の区間が記載されています。

週末パスご案内券片

週末パスを利用する上ではいくつかの留意点がありますが、それは次の通りです。

● 年齢や属性の制限はなく、だれでも利用できる

● GW、お盆、年末年始のピークシーズンには発売されない

● 飛び石連休には発売されない

● 旅行開始当日には購入できない(前日までに購入)

● 「大人の休日俱楽部」会員割引など他の割引と併用できない

● 「新幹線eチケット」を利用できない(所定料金の紙の特急券を購入)

週末パスのフリー乗降区間は以下の図の通りですが、ざっくり言ってJR東日本エリアのうち、青森県、秋田県、岩手県を除く大半の地域がその対象に含まれています(陸羽西線・陸羽東線・石巻線を結んだ線以南の地域)。また、JR線以外にも関東周辺や信越地域を中心に、(すべてではないものの)いくつかの社線にも乗車可能です。

週末パスフリー乗車エリア
JR東日本ウェブサイトより引用(2022年5月現在)

週末パスのパンフレットには、「列車の旅を楽しむ2日間」と銘打ってあります。想定される客層ターゲットは観光列車などの乗り鉄ファンですが、その中でも子供連れのファミリーをターゲットにしたいのかなと推測します。

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結論=十分元を取れるきっぷ♪

週末パスバナー
「週末パス」販売パンフレットより引用

結論から言うと、2日間かけて長い距離を利用する限りは、乗り鉄に限らず一般の旅客でも、元を取れるきっぷとして活用できます。あくまでも乗車券としての比較にすぎませんが、東京から仙台や山形、新潟まで向かう旅行客はもちろん、逆に仙台や山形、新潟から東京に週末に遊びや買物に出かける人々には最適です。

同じ乗り放題のきっぷでも、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」と違うのは、それらは原則普通・快速列車にしか乗車できないのに対して、この「週末パス」は、特急券を別に購入さえすれば新幹線や特急列車も制限なく自由に利用可能な点に尽きます(週末パスが限定なしの「乗車券」として機能します)。

言い回しを変えて強調するとすれば、新幹線や特急列車に乗れば乗るほど特急料金が別に多くかかるということです。普通・快速列車だけ乗る強者は問題ないので別として、週末パスだけで新幹線や特急列車に乗り放題なわけではないことを改めて留意していただきたいです。

また、大人の場合、「えきねっとトクだ値「料金(特に50%引きの「スペシャル」や「お先にトクだ値」料金)が取れた場合は、乗車券と特急券を合わせた割引のトクだ値料金が、週末パスと割引なしの特急券を併用するよりも安くつく可能性があるので、慎重に比較してみてください。

小児の場合、週末パスの価格設定がとても低額なため、大人と違い「トクだ値」利用よりも週末パスを利用した方が安く収まる可能性が高いです。

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諸料金との比較・検証

筆者は南東北と群馬県をそれぞれ日帰りでまわり、2日間分フルに週末パスを活用できたので、大いに元を取れました。

しかし、普通に1泊2日で目的地を単純往復する場合は、果たして元を取れるのでしょうか。筆者も興味があったので、検証してみました。

次の表は、東京駅発で主な駅まで往復した場合の所定運賃額を一覧にしたものです(特急料金が含まれていない点を注意)

東京駅から新幹線・特急列車で単純往復した場合の運賃・料金一覧(2022年5月現在)

目的駅名線区名運賃計算キロ所定運賃週末パス②所定料金トクだ値③
郡山(福島)東北新幹線226.7km8,1408,8808,54011,360
福島東北新幹線272.8km9,6808,8808,54012,440
仙台東北新幹線351.8km12,1008,88010,80015,220
会津若松(福島)磐越西線291.3km10,3408,8808,540***
新庄(山形)山形新幹線421.4km14,3008,88011,90018,020
長岡(新潟)上越新幹線270.6km9,6808,8808,54012,440
新潟上越新幹線333.9km11,4408,88010,80014,760
長野北陸新幹線222.4km8,1408,8808,54011,360
松本(長野)篠ノ井線235.4km8,1408,8805,1009,240
信濃大町(長野)大糸線274.0km9,6808,8805,10010,320
河口湖(山梨)富士急行線114.4km5,3808,8803,240***
伊豆急下田(静岡)伊豆急行線167.2km7,9208,8804,2008,480

※ 運賃・料金は普通車指定席の通常期分を往復分で記載。トクだ値(乗車券+特急券)は「お先にトクだ値」30の往復分を記載

※ 会津若松駅まで、郡山までは東北新幹線、磐越西線は普通列車に乗車

※ 中央本線方面の特急料金は新宿駅から

目的地との単純往復ベースで比較する限り、「えきねっとトクだ値」料金(30%引きの場合)の優位性は揺るぎがありません。週末パスを利用するのが有利に働くのは、単純往復の旅行ではなくて、周回経路を乗車する場合や途中下車を多くする場合であろうと考えます。結果的に、乗り鉄旅行向けの企画乗車券という性格が強く出ているといえます。

普通旅客運賃で541km乗車する場合の片道運賃が8,910円で、週末パスの料金とほぼ同額です。旅行全体で540kmを超えて乗車する場合は、乗車券には週末パスを利用するのがお得だと確実に言えるでしょう。

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週末パス利用上のポイント

● 土休日に乗車すること

● 乗車券として機能する

● 東京駅から概ね250km離れていること

● 伊豆や富士山へは発駅によっては価値あり(関東からは割高) ※

● 当日購入不可能

● えきねっとトクだ値料金と価格を比較検討

※ 仙台や新潟等、信越地区や東北地区発で伊豆や富士山が目的地ならば、十分元が取れます。

多くの観光列車がが信越地区を中心に走っていますが、そのエリアが東京駅から250km以上離れているため、十分に活用できます。また、日帰りまたは1泊2日で立山黒部アルペンルートを、信濃大町をベースに回るのならば、かろうじて使えます(富山から北陸新幹線を利用する場合は使えないです)。

一方で、関東の近場、伊豆や富士山といったところは東京駅から近いので、全然元が取れないといえます。長野や松本といったところも、もう一歩というところでしょう。

もちろん、近距離でも東京から2往復以上すれば、元がとれる場合があることには留意してください。土日の2日間とも電車にずっと乗車している限り、大幅に損することはないはずです。ただし、繰り返し申し上げますが、新幹線の特急料金は意外に高額なので、新幹線に何回も乗っているとお金が想定以上にかかると覚悟しましょう

おわりに

臨時列車のサボ

週末パスは、上述した特性をよく把握したうえで上手に活用すると、大変おトクなきっぷです。ただし、JR東日本の方針に乗車券類のチケットレス化があるため、今後駅のみどりの窓口では紙のきっぷである週末パスを積極的に案内してくれるとは限らないように思えます。このきっぷに価値を感じられるようであれば、指名買いするようにしていただきたいです。

週末パスを利用したモデルコースについては、以下の記事もご一読ください。

改訂履歴 Revision History

2015年7月29日:初稿

2021年10月28日:第2稿

2022年3月31日:第2稿 再構成・加筆修正

2022年5月11日:第2稿 修正

2022年5月18日:第2稿 修正

2022年6月22日:第2稿 修正

2022年12月22日:第2稿 修正

2023年4月08日:第2稿 修正

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