この記事は、東京駅から香川県の琴平駅までを結ぶ「サンライズ瀬戸」号のシングルデラックスに乗車した体験をつづった後編である。
個室の寝台券を入手するまでの顛末をつづった前編は、以下をご一読されたい。
「サンライズ瀬戸」号が東京駅に入線!

さて、乗車当日東京駅に着いたのが21時過ぎで、早めに着いてしまったのだが、地下1階にある待合所も混雑していて居場所がなかった。東京駅の在来線ホームはもはや長距離列車が発着する雰囲気ではないので、サンライズ瀬戸号の車両が異質に見える。
筆者が実際に乗車した当時、発車の定刻が22:00分ちょうどだった。当日もサンライズ号の入線が早く、21:35分には入線の放送が流れてほどなく列車が入ってきた。「サンライズ瀬戸」号と「サンライズ出雲」号が連結された状態なので、14両編成と長い列車だ。うち、岡山駅方の前方7両がサンライズ瀬戸号である。
ここでも鉄道人気で、鉄道ファンばかりでなく、多くの一般客も列車の撮影に興じていた。

ここの見どころが行先幕で、ちょうど回送表示から実際の行先に表示が変わる瞬間を見ることができた。かつて走った松山行が一瞬表示されてから今日の「高松・琴平」行の表示が出てきて、拍手ものだった。東京駅で琴平駅行きの表示を見られるのは、確かに珍しい。
乗車後の車内放送でもわかるのだが、瀬戸号の終点はあくまでも高松駅で、その先琴平駅までは「延長運転」とのことだ。
サンライズ瀬戸号の車内の様子(シングルデラックス)
車内に入っての様子だが、この記事では4号車のシングルデラックスを扱う。
車内の設計はミサワホームとのコラボレーションで、鉄道車両らしからぬ木の暖かい雰囲気が感じられる。

通路から階段を上がって2階部分にあるのがシングルデラックス(A寝台個室)、階段を下がって1階部分にあるのが2人用のサンライズツイン(B寝台ツイン個室)である。5号車との境にはシャワールームがあるが、これはシングルデラックスの乗客専用である。

超広角カメラでないと個室の全景が撮れないのが残念なのだが、3畳から4畳半程度の広さの個室の窓側には幅が広めのベッド(B寝台よりも広い)、窓と反対側にはテーブルと椅子がある。
ベッド上にはゆかた、スリッパとアメニティキットが置いてあった。アメニティキットの中にはA寝台専用のシャワーカードが入っていた。
シングルデラックスの部屋は2階に位置するので、ホームからも高い位置で、見下ろし感が最高である。窓は太平洋側に位置し、朝いちで瀬戸大橋を渡るときには季節にもよるが朝日を眺められる。

個室には洗面台があるのだが、トイレはなく、部屋を出て共用のトイレを使用する必要があるのが残念だ。コンセントは1つだけあって便利だが、使用する電気機器によっては、コンセントタップを自前で持参すると便利かもしれない(消費電力の多いドライヤーなどは使用は無理だろうが)。
東京駅をいざ発車!
発車前に流れる車内放送は自動放送だが、サンライズ瀬戸号とサンライズ出雲号の停車駅がすべて流れるので、放送時間が長い。車両の外や部屋の中の写真を撮影しているうちに発車時間となり、東京駅を離れた。
途中横浜駅と熱海駅に停車して、JR東日本の乗務員からJR東海の乗務員に交代。小田原駅を過ぎたところで、本日の放送終了の旨案内があり、途中駅での乗り過ごしがないように注意喚起があった(23:00分過ぎ)。
その後、筆者は眠りに入ってしまったが、乗務員交代などで途中駅での運転停車があった。筆者が分かる範囲では、豊橋駅、名古屋駅、岐阜駅、米原駅、京都駅、大阪駅には停車していたような気がする。念のために申し上げるが、これらの駅で降車することはできない。
翌朝、岡山駅到着20分前の6:07分には車内放送が再開され、自動音声でのおはよう放送があった。岡山駅到着前には乗り換え案内があったが対象列車が多く、岡山駅の奥の深さを感じることができた。
岡山駅では瀬戸号と出雲号が切り離されて別々の列車になるが、岡山駅での停車時間は数分間と短いし、売店もやっていないので降りないほうが良いと思う。
岡山駅発車時点では空がまだ暗かったが、児島駅に着く頃には空が明るくなってきて、瀬戸大橋を渡るときには日の出がみられるはずだが、乗車したこの日は雲に隠れていた。
児島駅で、JR四国の乗務員に交代して、案内放送の音声が変わった。
高松駅に着く直前の案内放送では、琴平延長のはずだが高松駅を車掌が「終点」と言っていて、あれっと思った。高松駅で列車番号が変わるので、それが本当で、琴平駅へはあくまでも「延長」にすぎないのだろう。
高松駅から琴平駅へ
高松駅では27分間の停車時間があるので、ラッチ内にある、讃岐うどんではない普通のうどん屋さんで朝食をとれた。そして、車両の撮影もできた。高松駅のラッチ内にはうどん屋の他にコンビニやパン屋が営業していて、物資の調達ができる(ラッチ外への途中下車はできないはず)。
ホームの電光表示板には、延長運転区間だけの乗車ができないことが表示されていた。

サンライズ瀬戸号は、本州内はスピードを出して運転するが、瀬戸大橋を渡り四国に入るとゆっくりと走るようになる。高松駅を発車して琴平駅まで1時間弱をかけて走って、琴平駅に到着した(JR四国の車掌は児島から琴平まで通し乗務だった)。
琴平駅には「祝琴平運転開始」の看板が貼ってあったが、ここまで乗車してきた乗客の数は多くなく、鉄ちゃんが目立ったような気がする。

琴平駅まで定刻運転されて、東京駅から直通の便利さを味わってきたが、サンライズ号は運賃・料金が結構高額だし、予約も取りづらい場合が結構ある。実は飛行機のほうが運賃が安い場合もあるので、サンライズ瀬戸号などの鉄道利用が結構趣味的だったりする。
サンライズ瀬戸号が非日常の空間が広がる列車ということもあるので、飛行機が嫌いな人にはお勧めである。
改訂履歴 Revision History
2016年01月14日:初稿
2021年11月22日:初稿 修正
2023年4月08日:初稿 修正
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