「風っこストーブ」きっぷの準備・乗車体験|冬編【2022/23「風っこストーブ喜多方」号】

びゅうコースター風っこ 東北・北海道

JR東日本版のストーブ列車「風っこストーブ」。東北地方のローカル線を週末に走る臨時列車です。

「風っこストーブ」の車両は、「びゅうコースター風っこ」と名づけられたトロッコ列車風のディーゼルカーです。冬場は目的地●●によって「風っこストーブ●●」号のような列車名が付きます。

車内にはだるまストーブが1台あって、石炭をくべて車内を暖めます。だるまストーブの上に置かれた金網には、食べ物を置けます。焼きあがった食べ物の匂いから、ストーブ列車ならではの風情を感じます。

この記事では、「びゅうコースター風っこ」の車両で、毎年冬場に臨時列車として走る「風っこストーブ」号について、きっぷの準備方法や筆者の乗車体験をシェアします。

各地を走る「風っこストーブ」のうち、この記事では、磐越西線の郡山駅(福島県郡山市)から喜多方駅(福島県喜多方市)の区間を走る「風っこストーブ喜多方」号に焦点を当てたいと思います。

車内に広がる食べ物の匂いを嗅ぎながらお酒を一杯やって、いい気分に浸れる列車です。東北らしい雪国の汽車旅を存分に満喫できます。

春夏秋にかけて走る、オープンエアーのトロッコ列車「風っこ」については、同じ車両でもだいぶ楽しみ方が異なります。そのため、別記事にまとめました。以下の記事(↓)をあわせてお読みください。

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「風っこストーブ」概要・走行区間

びゅうコースター風っこ

まず始めに、臨時列車の「風っこストーブ」とはどんな列車かという概要と、どこを走るのかという走行区間のお話をします。

列車の概要

「風っこストーブ」の車両である「びゅうコースター風っこ」は、気動車のキハ48形がトロッコ列車として改造された2両編成の車両です。2000年から稼働しており、すでに稼働から20年以上が経っています。率直なところ、車両の古さを感じます。

しかしながら、無機質な新造車両が多い中で、使い込まれた木製のボックスシートには独特の親しみが感じられます。一昔前の味のある列車に乗って、懐かしい風情を満喫できます。

「びゅうコースター風っこ」は、宮城県北部の美里町にある小牛田運輸区をベースに、各地に出張して臨時列車として稼働しています。

春から秋にかけての季節には、オープンエアーのトロッコ列車として風を浴びながら乗車します。一方で、冬場は車内を窓ガラスで閉め切って、ストーブ列車として暖を取りながら乗車します。

風っこストーブ喜多方号だるまストーブで温められる食べ物
食べ物を自由に持ち込んで加熱できます

「風っこストーブ」に設置されただるまストーブは、自動制御されるのではなく、人が石炭をくべて火をつけています。石炭ストーブの熱を利用して加熱した食べ物から車内に薫香が広がり、雪国の汽車旅の風情が感じられます。

列車の走行線区・区間

冬場に走る「びゅうコースター風っこ」、単発の臨時列車として走ることは少なく、毎年同じ時期に同じ線区・区間を走る傾向があります。

「びゅうコースター風っこ」が実際に走る際の列車名は、目的地の地名と「冬」の季節を織り込み、「風っこストーブ●●」号と名付けられます。

2019年度から2022年度にかけて定期的に運行された、冬の「風っこストーブ●●」号の運行時期・線区・区間を、この記事の最後に記載しました。

冬場に「風っこストーブ」が走る線区・区間は、次の通りです。

● JR陸羽東線(仙台駅ー鳴子温泉駅)

● JR石巻線(仙台駅ー女川駅)

● JR磐越西線(郡山駅ー喜多方駅)

磐越西線にはしばらく「風っこストーブ」が走っていませんでしたが、2022年から復活しました。

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「風っこストーブ」予約の取り方・きっぷの準備

風っこストーブ喜多方号

臨時列車の「風っこストーブ」は、全車指定席の快速列車です。そのため、乗車するには、「乗車券」の他に「指定席券」が必要です。

トロッコ列車として座席が作られていることもあって、一つ一つのボックスシートは、かなり狭めです。大人が4人で座るにはかなり窮屈で、大人2人と子ども1人程度で利用するのがちょうどよいサイズです。指定席券を購入する際には、このことを念頭に置くと良いかと思います。

指定席券は、1席につき大人530円(小児260円)です。また、指定席券は、駅のみどりの窓口や指定席券売機の他、ネット予約「えきねっと」でも取ることができます。

きっぷの買い方や指定席の券面は、春夏秋に運行される「風っこ」と全く同じです。繰り返しで恐縮ですが、筆者が書いた以下の記事(↓)が大変詳しいです。

乗車券については、紙のきっぷ(普通乗車券)の他、交通系ICカードの利用エリアであれば交通系ICカードの利用が可能です。また、運行区間がカバーされる「週末パス」や、JR東日本東北本部管内の在来線をカバーする「小さな旅ホリデー・パス」といったフリーきっぷも、乗車券として利用できます。

小さな旅ホリデーパス

ここからは、筆者の乗車体験です。

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快速「風っこストーブ喜多方」号|下り列車乗車【2022/23】

臨時快速列車として運行される「風っこストーブ喜多方」号は、冒頭でお話しした通り、磐越西線郡山駅から会津若松駅(福島県会津若松市)を経由し、終点の喜多方駅まで向かうストーブ列車です。全区間の所要時間は、約2時間です。

「風っこストーブ喜多方」号は毎年冬場に運行されますが、2022/23冬季は、2023年2月11日-12日にかけて運行されました。筆者も、この列車に7年ぶりに再び乗車しました。

◆ 下り列車(9225D):
郡山駅 9:04分発 →(磐越西線)→ 喜多方駅 11:26分着

風っこストーブ喜多方号指定席券

筆者は運行初日の11日に乗車しましたが、発車寸前に郡山駅で停電が発生した影響で、発車が40分余り遅れました。実際は郡山駅を9:47分に発車し、終点喜多方駅には12:04分に到着しました。

リゾートみのりイベントカー
かつて連結されていたイベントカー(今はありません)

筆者が2016年2月に乗車した時には、当時活躍していた「リゾートみのり」号用のキハ48形車両がイベントカーとして連結されていましたが、今回は連結されていませんでした。

風っこストーブ喜多方号発車案内表示郡山駅にて

列車が出発する郡山駅2番線ホームには「風っこストーブ喜多方」号の発車時刻が表示されていましたが「この列車は、団体専用です」との表示が。いやいや、本当は指定席券を買えれば誰でも乗車できる臨時列車(多客臨)です。

風っこストーブ喜多方号郡山駅にて

停電していた郡山駅の機能が回復し、先発の普通列車をさばき終わってから、風っこの車両が入線。定刻からすでに30分余り過ぎていました。

風っこストーブ喜多方号だるまストーブ

入線してすぐにドアが開き、車内へ。2号車に設置されただるまストーブの上には、すでに他の乗客が持ち込んだ干いもといかのスルメが。車内には、その匂いが充満していい雰囲気が出ていました。

風っこストーブ喜多方号車内

元々トロッコ列車の風っこの座席は、4人掛けのボックスシートです。夏場にはない座布団が、冬場には各座席に設置されています。

定刻から43分遅れの9:47分に、郡山駅を出発。特に、お見送りはありませんでした。磐越西線が一時不通で列車の運行が乱れていたため、途中の磐梯熱海駅では列車の交換待ちで長時間停車したり、その先の信号所では後続の快速列車に追い抜かれたり、普段味わえないような運行でした。

風っこストーブ喜多方号

磐梯熱海駅を過ぎると何か所かトンネルを通りますが、その時車内を照らす白熱灯の明かりが美しかったです。車内はほぼ満席で、ほとんどのボックスが相席でした。風っこのボックスシートは狭いので、随分圧迫感がありました。

風っこストーブ喜多方号会津若松駅にて

途中の会津若松駅には11:42分に到着し、ここから列車の進行方向が逆に。JRの駅員さんたちが出迎えてくれました。

喜多方駅駅名標

終点の喜多方駅までは高速で疾走し、定刻から約40分遅れの12:04分に到着。

喜多方駅

喜多方駅でも、観光協会の人たちがお出迎え。

観光パンフレット配布喜多方駅にて

例によって、ポストカード入りの観光パンフレットが配布されました。喜多方ラーメンの「老麺会」の加盟店が載った地図が入っていて、参考になりました。

喜多方ラーメン支那そば

ちょうどお昼時だったので、駅チカの食堂で喜多方ラーメン「支那そば」を実食。

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快速「風っこストーブ喜多方」号|上り列車乗車【2022/23】

喜多方駅を出発し郡山駅に帰る「風っこストーブ喜多方」号の上り列車にも、筆者は乗車しました。喜多方駅で車内をじっくり見られたので、車内の設備について詳しくお話ししたいと思います。

◆ 上り列車(9226D):
喜多方駅 14:08分発 →(磐越西線)→ 郡山駅 16:12分着

風っこストーブ喜多方号指定席券

午後には磐越西線のダイヤが正常に戻り、「風っこストーブ喜多方」上り列車は定刻で走りました。

びゅうコースター風っこ喜多方駅にて

喜多方駅の2番線ホームには、風っこの車両がすでに止まっていました。

風っこストーブ喜多方号サボ

「風っこストーブ喜多方」号の行先表示板(サボ)。観光列車でもLED表示が多い中で、風っこは昔ながらの鉄板で、いい雰囲気が醸し出されています。

風っこストーブ喜多方号車内

13時50分過ぎ、車内の準備ができてドアが開きました。だるまストーブが設置されている2号車の車内では、JRの社員さんが3名添乗していて、ストーブの点火作業を行っている最中でした。

風っこストーブ喜多方号2号車車内

トロッコ列車の「風っこ」車内は、カントリー風です。どこか古さを感じますが、それで列車のいい味がにじみ出ています。ボックスシートの各席には、座布団が敷かれています。木製の座席のため、長時間乗っていると座り疲れます。

真冬のストーブ列車のため、窓には全面ガラスがはめられています。それで、車内は保温されています。特に、ストーブがある2号車の車内は、かなり暖かくなります。

風っこストーブ喜多方号1号車車内

1号車の車内レイアウトも2号車とほぼ同じですが、トイレがある代わりにストーブはありません。1号車にはストーブがないので、2号車よりも寒いです。きっぷを買うとき席に余裕があれば、2号車を取ることをおススメします。

風っこストーブ喜多方号だるまストーブ

これが、だるまストーブの全貌です。煙の配管が屋根まで伸びていて、列車の走行中は風がよく入って火の勢いが強くなるとのこと。

風っこストーブ喜多方号だるまストーブ

だるまストーブの脇には、石炭が置いてありました。その石炭をストーブの中に注入して、火をつけます。

風っこストーブ喜多方号だるまストーブ

食べ物を持ち込んでストーブで加熱できることを、行きの車内で知りました。さっそく、筆者も喜多方で酒のつまみにあたりめを仕込んできて、さっそくストーブの上にある網に乗せてみました。列車が発車してからストーブの火が強くなり、イカが焼けた匂いがしてきました。

酒とあたりめ
少し焦げ目が入ったあたりめ

あたりめがちょうど焦げそうになった頃合いでストーブから引き上げ、酒のつまみとして一杯やりました。

そんなこんだでいい気持ちになってきたところで、会津若松駅に到着。列車の進行方向が再び逆になり、多くの乗客が車内に入ってきました。ツアーの団体客も乗車してきて、車内はほぼ満席に。

郡山駅まで1時間強疾走し、終点には定刻の16:12分に到着。シートの狭い風っこで、他の客と相席だったので、降りた時には疲れを感じました。

まとめ ~風っこストーブの魅力~

びゅうコースター風っこ

車内に設置されただるまストーブに持ち込んだ食べ物を加熱して、酒の肴として一杯やりながらの乗り鉄は、「風っこストーブ」でしか味わえない非日常の体験でしょう。ストーブ列車は、雪国東北ならではの冬の楽しみ方だと思います。

そんな魅力があってか、「風っこストーブ」には鉄道ファン以外にも多くのリピーターがいるように感じます。そのためか、筆者の肌感覚では、夏場の「風っこ」よりも席が取りにくいような印象を持ちました。

自動化や省人化が進む鉄道業界の中にあって、乗務員以外にJRのスタッフが3名も付いて、だるまストーブのケアをする光景。JR東日本らしからぬ人海戦術ならではの暖かさやホスピタリティを感じます。

快速列車としての運行のため、乗車券に追加して指定席券さえ買えば、リーズナブルに素晴らしい体験ができるのは有難いことです。風っこのデビューから20年以上経っていることから、車両の経年劣化が課題でしょうか。

東北地方の魅力が詰め込まれた「風っこ」、永く走ってほしいと思います。

Appendix-1:「びゅうコースター風っこ」運行実績(2019/20冬~)

ここでは、単発で走る列車ではなく、毎年定期的に走る列車を記載しました。

【JR陸羽東線を走る「風っこストーブ」】

● 「風っこストーブ湯けむり」号:仙台駅ー鳴子温泉駅

【冬】2020年01月25-26日

【冬】2021年01月30-31日

【冬】2022年01月29-30日

【冬】2023年01月21-22日

【JR石巻線を走る「風っこストーブ」】

● 「風っこストーブ女川」号:仙台駅ー女川駅

【冬】2020年01月11-13日

【冬】2021年02月13-14日

【冬】2022年02月19-20日

【冬】2023年02月18-19日

【JR磐越西線を走る「風っこストーブ」】

● 「風っこストーブ喜多方」号:郡山駅ー喜多方駅

【冬】2022年02月11-12日

【冬】2023年02月11-12日

Appendix-2:「びゅうコースター風っこ」席番表

(2号車)

風っこストーブ2号車席番表

(1号車)

風っこストーブ1号車席番表

参考資料 References

● JR東日本 ニュースリリース(臨時列車の運行計画が発表されるところ)

ニュースリリース|企業サイト:JR東日本
JR東日本のニュースリリース(プレスリリース)をご案内しています。

改訂履歴 Revision History

2016年2月15日:初稿

2022年7月21日:第2稿

2022年12月22日:第2稿 修正

2023年02月13日:第3稿

2023年4月08日:第3稿 修正

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