東京と神奈川県の小田原、箱根を結ぶ「小田急ロマンスカー」。小田急線新宿駅を発着する列車だけではなく、東京メトロ千代田線にも多くの列車が乗り入れています。
東京メトロ千代田線に乗り入れるロマンスカーには、次の3系統の列車があります。
● 「メトロはこね」号:北千住駅ー箱根湯本駅
● 「メトロえのしま」号:北千住駅ー片瀬江ノ島駅
● 「メトロホームウェイ」号:北千住駅・大手町駅ー本厚木駅
これらの列車の乗客層は、観光性の乗客であったり、通勤利用の乗客であったりと、それぞれの系統で明確に異なります。これらのうち、観光スポットである小田原や箱根に向かう観光客が主なターゲットであるのが、この記事で取り上げる「メトロはこね」号です。
小田急ロマンスカーは、小田急線の駅の他に東京メトロやJR東海の駅も発着することから、発売されるロマンスカーのきっぷがとても多様です。
この記事では、そのうち東京メトロ千代田線北千住駅から箱根登山鉄道箱根湯本駅を結ぶ「メトロはこね」号の概要と、列車に乗車するためのきっぷの買い方をご説明したいと思います。

小田急線の駅以外に、小田急トラベルなどの旅行会社、東京メトロ内停車駅の事務所でもきっぷを購入できます。
メトロはこね号に関する2022年現在の最新の概要や乗車した体験とともに、2016年に乗車した際に発売されていた手売りの乗車券類も記録として掲載しておきたいと思います。
小田急ロマンスカー「メトロはこね」号の概要

「メトロはこね」号は、東京メトロ千代田線の北千住駅(東京都足立区)と箱根登山鉄道の箱根湯本駅(神奈川県箱根町)を2時間強で結ぶ特急列車です。小田原や箱根にアクセスしにくい東京東北部やJR常磐線エリアから利用するには、大変便利な列車です。
この列車で使用される車両は60000系MSE車両で、乗り心地が大変優れています。ロマンスカーの車両にはいくつかバリエーションがありますが、筆者個人的にはこのMSEが好みです。
「メトロはこね」号は平日、土休日ともに運行されていますが、平日と土休日で運行パターンや途中の停車駅が若干異なります。
【平日】
1往復2便の運行。メトロえのしま号との併結はなし(号数が20番台)。
車両編成(単独)【1-6号車:メトロはこね号】+【7-10号車:メトロはこね号(*)】
* 7-10号車は連結されない場合あり
【土休日】
3往復6便の運行。そのうち、3便はメトロえのしま号との併結(号数が90番台)で、残り3便は併結なし(号数が20番台)。
車両編成(併結)【1-6号車:メトロはこね号】+【7-10号車:メトロえのしま号】
車両編成(単独)【1-6号車:メトロはこね号】
メトロえのしま号と併結される列車は連結作業のため相模大野駅に停車し、併結されず単独の列車は町田駅と本厚木駅に停車するのが特徴です。
江ノ島線の片瀬江ノ島駅に向かう「メトロえのしま」号の情報や、「メトロはこね」号を含むロマンスカーの車内の様子については、筆者の別の記事をご一読ください。
「メトロはこね」号のきっぷの購入方法
全車指定席のため、小田急ロマンスカーのきっぷは乗車する前に購入する必要があります。購入する方法には、次の通りいくつかの方法があります。
● ネットで予約購入【特急券のみ】
東京メトロ線内から乗車する場合を含めて、小田急電鉄のネット予約システム「e-Romancecar」を利用しての特急券の予約・購入を、乗車する1か月前から行えます。
クレジットカードがあればネット上で決済し、チケットレスで乗車することもできます(駅での決済よりも50円安いです)。また、ネット上では予約だけしておいて、決済と紙の特急券の受け取りは駅で行うことも可能です。この場合、決済までの期限が限られているため、注意してください。
筆者個人的には、事前にネット「e-Romancecar」でシートマップを見ながら座席を予約し、乗車前に駅で決済して紙の特急券を受け取るようにしています(きっぷの受け取りのため、メールアドレスと電話番号を入力する必要あり)。
乗車券については、交通系ICカードを利用するか、駅で購入するかのいずれかです。

チケットレス特急券とPASMOなど交通系ICカードの組み合わせで乗車するとスムーズで、少しだけ安いです。
リピーター向けの「ロマンスカー@クラブ」「EMot」アプリでも特急券を購入できますが、本記事では説明を割愛します。
● 小田急線内の駅で購入【特急券・乗車券とも】
特急券と乗車券を新規に購入することも、ネットで予約した席の決済・受取を行うことも可能です。また、券売機で購入することも、窓口で購入することも可能です。小田急電鉄の場合、乗車券を含めて現金の他、クレジットカードで決済することも可能です。
● 東京メトロ線内の駅で購入【特急券・乗車券とも】
東京メトロ線内から乗降する場合に限られますが、東京メトロの駅でも、小田急電鉄の発券端末(MSR)が置いてあるロマンスカーの停車駅でのみ購入することができます。
小田急線内の駅と同様、駅事務室ではネット予約の特急券の受け取りも可能です。東京メトロの駅ではクレジットカードは使えず、現金のみの決済になります。
列車の始発駅である北千住駅の場合、きっぷを購入できる駅事務室が改札口の中にあるため、駅員さんに断って改札内に入れてもらってください。


● 小田急トラベルなどの旅行会社で購入【特急券・乗車券とも】
新宿駅南口の案内窓口や箱根湯本駅の出札窓口は小田急トラベルの運営で、厳密にはこれに含まれます。小田急線内の駅と全く同じ要領できっぷを購入できます(クレカ決済可能)。
以前は北千住駅にも小田急トラベルの営業所があり、きっぷの購入ができましたが、2021年9月に閉鎖されてしまったのが残念です。
他の主な旅行会社でもロマンスカーのきっぷを購入できます。その場合、各旅行会社の船車券を受け取ることになるかと思いますが、発券手数料を課される場合があるのでご留意を。この場合、東京メトロ線連絡の乗車券は購入できません。
「メトロはこね」号のきっぷの様式
東京メトロ線内と小田急線内の駅から乗降する限りは、現在は手売りのきっぷが発行されることはなく、端末券を受け取って乗車します。
例外として、車内で特急券を購入する可能性はゼロではありません。ただし、車内では座席指定してもらえない上、高額な車内料金が加算されるので、筆者的にはお勧めしません(車内補充券がどうしても欲しい場合はどうぞ)。
【東京メトロの駅発行分】
東京メトロの駅で購入した場合でも、きっぷは小田急電鉄と同じ様式です(使用端末が小田急電鉄と共通)。幅が8.5cm大の青地のきっぷを受け取ります。特急券はオーソドックスなもので、特筆することはありません。

乗車券を合わせて購入することもできます。小田急の場合、乗車券が特急券にまとまって一葉となることはなく、特急券と乗車券が必ず別々に発行されます。また、乗車券も必ず8.5cm券となるのが特徴です。個人的には紛失しにくいサイズで、とても好きです。

【小田急電鉄の駅・小田急トラベル発行分】
古いものですが、小田急トラベルで購入した端末券は、以下のような感じです。東京メトロと異なる点は、乗車券台紙のデザインと色だけです。
(特急券)

(乗車券)

「メトロはこね」号乗車体験(2022年)

初めてメトロはこね号に乗車した2016年に引き続き、6年ぶりに土休日ダイヤのメトロはこね号に、途中の小田原駅まで乗車してみました。
この日は、三連休中日の朝。観光に向かう乗客が多く混雑し、全席満席になる盛況ぶりでした。駅のホームにある発車案内表示が「メトロはこね号・メトロえのしま号」と珍しいので、この表示を撮影する人がとても多かったです。

始発駅である北千住駅から乗車する人々が多かったですが、発車時刻の3分前に余裕をもって入線したため、定刻通り出発しました。メトロ線内からかなり混雑しましたが、途中の成城学園前駅でほぼ満員になりました。
過去の追憶:2016年に乗車したVSE「はこね」号
ここからは、本題の「メトロはこね」号に関する情報ではありませんが、2016年当時運行していたVSE車両の「はこね」号に手売りの乗車券類で乗車した体験になります。
以下の文章が、初稿当時のままの文体・体裁であることをご了承ください。
VSE「はこね号」に乗車
ロマンスカーの代表格の特急電車である。新宿駅と箱根湯本駅を結ぶ電車で、最新鋭の50000系、VSEも走っている。筆者は箱根からの帰りに、VSEに乗車して帰ってきた。
はこね30号:箱根湯本駅 15:20分 → 新宿駅 16:58分(乗車時点のダイヤ)
予定が決まらずに、帰りの特急券を現地の箱根で購入するニーズが存在するかと思うが、その場合普通は箱根湯本駅で買うことを考えるはずである。
しかし、それに加え、登山電車の強羅駅や芦ノ湖の海賊船のきっぷ売り場でも特急券を扱っているので、特に混雑期は箱根湯本駅に着く一足早く、特急の座席指定を得られる。
筆者は芦ノ湖のほうで購入してみたが、小田急電鉄のホームページでもその発売箇所がささやかに掲載されているので、本稿でも紹介する。
手売りのきっぷを買える時代があった
VSEはこね号に乗車した2016年当時、箱根海賊船が運航する元箱根港にある元箱根案内所で、手売りのロマンスカーの特急券と乗車券を購入することができました。
残念ながら2018年に業務が終了し、現在手売りのきっぷを入手する手段は完全になくなりました。

ここで硬券の乗車券と特急券が発売されていることは通には有名なようで、筆者が知らなかっただけなのだが、窓口で購入を申し出たところ、手慣れた感じで処理してくれた。(あまり売れないのか、なぜか端末発券がされていない場所である。)
ただし、時間を下さいということで、筆者の場合は約20分ほど待って購入することができた。その間、カウンターの前に拘束されず、周囲の散策ができるので待つのは苦にならないと思うが、手作業で発行されるきっぷで、発行に時間がかかるので待てない場合は避けたほうが良い(まあ、この券目当ての人ならば待てるはずなのだが)。
2016年7月現在取り扱っていた券種をすべてご紹介する。
まずは、実際に箱根湯本駅から乗車したはこね号の特急券と乗車券である。電話して席を押さえ、硬券を発券する時代錯誤のきっぷである。昭和時代のノスタルジックなスタイルのきっぷのためか、旅行終了した新宿駅南口の職員が、このきっぷを見て、一瞬固まっていた。

双方ともエドモンソン券のA型券。
硬券の売上集計で、その日の一番最初に売れる券片の券番には普通鉛筆でチェックが入っているものだが、この券片にはチェックが入っていなかったので、この日に同じ硬券を買った先客がいたということである。恐るべし。。。
写真右方が、ついでに発券してもらった硬券。小田原駅発の硬券も存在した。こちらは、小さなエドモンソン券のB型券である。
こちらの券はあまり売れていないようで、裏面の券番にチェックが入っている。
新宿駅以外の途中駅への硬券設備はなく、すべて出札補充券発券となる(はずである)。こちらの発券もお願いしてみた。このきっぷ売り場には券売機はないので、一応正当事由の発券ではある。

首都圏では入手しにくい貴重な補充券の一枚である。
裏面の注意書きはJR線連絡運輸を意識しているようだが、実際の駅での発券は難しそうである。
そんな感慨にふけりつつ、最新の電車に乗車。
メトロはこね号は、途中の町田駅で多く降りたように観光色が意外に強くないが、こちらのはこね号VSE車両は完全に観光性の電車。新宿駅までの全区間を乗り通す観光客が多かった。
途中、小田原駅で8分間程度停車したり、速度を緩めたり、結構余裕のあるダイヤだが、裏返せばあまり早く疾走する電車ではないともいえる。



参考資料 References
● ロマンスカー予約ウェブサイト「e-Romanscar」
● 小田急電鉄 ロマンスカー
改訂履歴 Revision History
2016年7月17日:初稿
2016年8月12日:初稿加筆
2022年3月25日:第2稿
2022年5月18日:第2稿 修正
2022年6月22日:第2稿 修正
2022年10月05日:第2稿 修正
2022年12月22日:第2稿 修正
2023年4月06日:第2稿 修正
2023年7月04日:第2稿 修正
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