JR北海道管内のいくつかの小駅では、簡易委託の形態にて手売りのきっぷが発売されています。
この背景として、駅の無人化を避けることがあります。これらの駅では、みどりの窓口が2016年に閉鎖され、JR北海道の職員が引き上げました。そのため、出札業務を地元自治体(市町村)や地元企業・個人が簡易委託という形で引き受け、有人駅という形で存続しています。
JR北海道管内の簡易委託の駅にはマルス端末などの機器が導入されておらず、「北の大地の入場券」や常備券、(一部の駅では)補充券といった乗車券類が手売りで発売されています。
JR各社で購入するきっぷのほとんどが自動化されたマルス券であるため、JRの手売りきっぷは非常にレアです。そのため、きっぷ鉄的にはとても魅力的といえ、収集家には人気があります。
この記事では、簡易委託化されたJR北海道管内の小駅の事情を簡単にお話ししてから、各駅で入手できる主な手売りきっぷを共有したいと思います。
出札業務簡易委託の背景=駅の無人化回避

経営が苦しいJR北海道から、「持続可能な交通体系のあり方について」と題するプレスリリースが、2016年7月に告知されました。駅業務の合理化や廃止、鉄道事業の上下分離などの提案が地元自治体に持ちかけられています。
駅を無人化し、経費を削減したいJR北海道に対し、その駅がある自治体にとっては、出札業務の受託を通じてでも、駅の有人化を保ちたいと考えます。出札業務の簡易委託にかかる人件費が自治体持ちであっても、駅の無人化を避けるためには、後には引けないことでしょう。
JR北海道からの告知があった2016年7月に前後して、地元自治体や地元企業・個人が、簡易委託として出札業務を引き継ぎました。2022年現在では、JR北海道管内の簡易委託駅は15駅を数えます。
実際には、大多数の簡易委託駅での出札業務は、自治体の観光協会や商工会によって運営されています。
それらの駅では、習熟が必要なマルス端末を操作できる人材(人件費)の確保が難しいという理由で、マルスよりも管理コストが低い、手売りの常備券や補充券が復活していると思われます。
従前から出札業務が簡易委託化された駅が存在し、当時は端末券(総販券の前出し)がいくつかの駅で発売されていたようです。
2016年以降、JR北海道運営のみどりの窓口から転換された自治体運営の窓口には端末が設置されておらず、常備券や補充券といった手売りきっぷが発売されています。
自治体にとっては、たとえ人件費が持ち出しであっても、住民サービスのために駅の機能が維持されること、JRにとっては、業務の合理化を図れることがメリットと考えられます。そして、きっぷのコレクターにとっては、レアなきっぷを入手できるメリットが副次的にあります(微少ながら販売手数料を当該自治体に落とせる)。
自治体にとっては負担であるのは確かですが、筆者個人的には、ウィンウィンに思えます。
JR北海道管内 簡易委託駅の2つの形態

筆者が簡易委託駅をめぐる中で、駅によって発売する券種に限りがある場合や、逆に限定なく多種のきっぷを発売する場合をみてきました。大きく分けて、券種限定型の駅と限定なしの駅があると見受けられます。
● 発売券種限定型の駅
近傍の駅や札幌駅ゆき、新千歳空港駅ゆきといった、よく売れる駅までの常備式普通乗車券(常備券)のみ取り扱っている駅を指します。また、「北の大地の入場券」を発売する駅が多くあります。地元の土産店や一般の商店、観光協会の案内所が、こちらに該当することが多いです。
常備券の券面上に小児断線がないことから、このことが分かります。また、指定券の取り扱いはありません。
JR北海道の出札窓口の後継というよりは、タバコ屋さんが郵便切手を代売するような感じで、商売の片手間できっぷを売っているような形態です(領収書は当該商店名義)。
かつて、総販システムから前出しした端末券の「総販券」を発売していた駅に該当するかと思います。
● 発売券種の限定がない駅
駅名が印字された常備式普通乗車券(常備券)のみならず、常備式自由席特急券や、企画券の「Sきっぷ」や「Rきっぷ」を扱う駅が何駅かあります。常備券がない駅までの乗車券や料金券については、出札補充券や料金専用補充券が発行されます(発売駅の範囲は道内のみ)。
常備券の券面には、小児断線があります。一部の駅では、指定券の取り扱いがあります(中継発売)。
こちらのタイプが、JR北海道のみどりの窓口の後継といえます。地元自治体の総務部門や観光協会が本格的な体制で代理運営し、JR北海道名義の領収書も発行します。
いずれのタイプの駅も、きっぷが端末での自動発行ではないため、きっぷを受け取るまで時間がかかることを念頭に置きましょう。
JR北海道管内の簡易委託駅では、窓口来訪以外での乗車券類の発売はしていません。通信販売ではきっぷを買えないので、駅に現金書留を送る行為はくれぐれも控えてください。
駅訪問のためのプランニング
窓口の営業時間を把握して、訪問する時間をあらかじめ計画するのが大事です。
簡易委託駅の大半では、JR北海道の入場券「北の大地の入場券」を扱っています。JR北海道の公式ウェブサイトの中に、それぞれの駅の営業時間が記載されているので、大変参考になります。
逆に、当該入場券を発売しない駅の営業時間を把握するのは難しく、自治体のホームページを見ても記載がない場合は、突撃することになります。その場合、TwitterなどのSNSの情報を参考にするのも、一つの手です。
平日日中に駅を訪問するケースが多くなりますが、その時間帯に列車の本数が十分にないのが難問です。特にこだわりがなければ、同じ地区で数か所まとめてめぐることができる場合はレンタカーを利用するなど、鉄道以外の交通手段を考えるのが現実的かもしれません。
収集行脚 第三弾:2022年11月
簡易委託駅の全駅コンプリートが目前になったため、第二弾から2か月後に北海道を再訪しました。この回も、大人の休日俱楽部パスを使用して回りました。
冬が近いこともあり、全駅を鉄道で訪れました。駅が離れているため、一通りめぐるのに足掛け4日間かかりました。
石勝線 占冠駅【再履修】

新千歳空港に近い南千歳駅(北海道千歳市)と新得駅(北海道新得町)を結ぶ石勝線の中間地点に位置する山間部の駅です。占冠駅に停車する特急列車にて、比較的簡単にアクセスできます。

占冠駅は古くからの簡易委託駅で、占冠村が業務を受託しています。駅舎内の窓口にて、土休日含むほぼ毎日営業しています(元日休み)。愛好者だけでなく、実需も多い駅です。

常備券の種類が少なく、乗車券は新千歳空港駅ゆきと札幌駅ゆきの2口座ですが、ともに高額です。自由席特急券も3口座あります(札幌駅からのかえりに使う券もあり)。他の駅については、出札補充券と料金専用補充券にて対応していただけます。指定券の対応あり。
駅へのアクセスも、きっぷ自体も値が張ります。
石北本線 美幌駅

オホーツク地方中部、北見市と網走市の中間にある美幌町に所在する駅。2016年5月2日より、簡易委託による出札業務が開始になりました。
他の駅とは地理的に隔絶していて、訪問するために時間がかかります。普通列車の本数が少ないため、特急列車をうまく利用したいところです。女満別空港が近いので、飛行機で直接美幌入りするのも手です。

2016年の業務開始当初は、美幌駅から約1km離れた美幌商工会議所にて一部の乗車券類を販売していました。駅で販売すると人件費がかかり赤字となるため、このような形態になっていました。2019年4月以降は、美幌観光物産協会運営の駅併設の売店で発売しています。毎日日中営業。

美幌駅で発売されている券種については、美幌町のウェブサイトにて公開されています。常備券は、乗車券、自由席特急券とも種類が多いです。低額券を収集用に買い、Sきっぷなどの高額券を実使用するのもありです。指定券の扱い、補充券の扱いはありません。
留萌本線 石狩沼田駅【再履修】

段階的に路線が廃止されている留萌本線の中間にある簡易委託駅です。古くからの簡易委託駅で、現在は地域おこし協力隊の人が窓口での業務に就かれています。沼田町が運営に関係していると思われます。
営業しているのが平日の朝から午後早い時間帯に限られ、かつ不定休や突発休も多く、石狩沼田駅を訪れるのは、かなり難関です。北の大地の入場券のウェブサイトから、当月の営業日がわかります。

駅舎に乗客が現れるとスタッフの人がきっぷ発売の対応をしてくれますが、すぐにいなくなるので不安に感じるかもしれません。発券業務自体に熟達していない感があります。

常備券が5口座、Sきっぷ2口座および出札補充券・料金専用補充券があります。地元の人の近距離利用が多く、深川駅ゆきの常備券の売れ行きがいいことが、きっぷの券番から推測できます。
なお、沼田町のふるさと納税の返礼品に、常備券3種類とダミーの硬券が台紙にセットされたものがあり、好評とのことです。訪問が難しい石狩沼田駅の常備券を家にいながら入手できるので、なかなか貴重な一品だと思います。

宗谷本線 剣淵駅

上川地方北部、剣淵町にある駅です。宗谷本線の和寒駅と士別駅の中間にあります。特急列車が停車しないため、普通列車で訪れることになります。旭川駅と名寄駅の区間は列車本数も多めなので、訪問はそれほど難関とは思いません。

きっぷを売っているのは、駅前にある個人商店です。日曜日以外の日中、対応してもらえます。

常備券は小児専用券を含め、6口座あります。いずれも、小児断線がありません。北の大地の入場券の取り扱いもありますが、指定券や補充券はありません。
室蘭本線 母恋駅

室蘭市街にある駅で、特急「すずらん」号の直通列車および区間運行の普通列車で訪れることができます。函館市と新千歳空港・札幌市の中間にあるので、ちょっと立ち寄りという感覚で訪問が可能です。

窓口が営業している日中時間帯は、列車の本数は1時間に1本程度です。比較的アクセスは良好です。窓口の営業時間は朝8:30分からということになっていますが、実際に開く時間は少し遅いようです。筆者もあわやきっぷを買いそこなうところでしたが、何とか入手できました。訪問時間には余裕を持つとよいと思います。

北の大地の入場券の取り扱いはなく、常備券のみです。口座数は数多いですが、低額券は欠札の時が多いです。金額式の券と一般式の券の両方が設備されているのが興味深いです。
かつては、総販システムから前出しした「総販券」が発売されていましたが、現在は常備軟券に変わりました。
室蘭本線 豊浦駅

胆振地方の最西端にある豊浦町の中心駅です。秘境駅として有名な小幌駅(北海道豊浦町)に近い駅で、ついでに訪問することもあろうかと思います。特急列車は停車せず、普通列車で訪れます。窓口の営業時間帯に区間運行の普通列車が2往復しかないので、事前のプランニングが大事です。平日しか営業していないため、訪問は難関の部類に入ろうかと思います。
無人駅ですが、出札業務は簡易委託されています。この駅の受託者が特殊で、福祉関係の団体が受託されています。本来は食堂ですが、その片手間にJRのきっぷや小幌駅グッズを販売している感じです。

発売している券種は、北の大地の入場券と、常備券4口座です。低額券ばかりなので、全口座購入しても値が張りません。実需がまずは考えられない、小幌駅ゆき口座があります。明らかにファン向けの口座かと思います。
収集行脚 第二弾:2022年9月
大人の休日俱楽部パスを買える年齢になり、北海道の奥地を安くゆっくり回れるようになったので、6年ぶりの収集が叶いました。
今回は、ほとんどの駅を鉄道乗車でめぐりました。列車本数が少ないため、早来駅だけはレンタカーを使いました。
室蘭本線 早来駅

苫小牧市から東に約20kmに位置する安平町にある駅です。駅舎内にある観光協会運営の土産店にて、JRのきっぷを片手間的に発売しています。

毎日日中営業ですが、営業時間帯の列車本数が少なく、列車で訪れるのが意外に難しい駅です。新千歳空港や苫小牧市に近いので、クルマで向かうのも手です。

発売しているのは常備券の普通乗車券7種類のみです。北の大地の入場券の取り扱いは、ありません。JR北海道の簡易委託駅で見られる常備券の中では非常に珍しい、金額式の乗車券です。
根室本線 幾寅駅

上川地方南部、南富良野町の中心集落にある駅です。駅とはいえ、2022年は列車が走っておらず、一日あたり上下各4便の代行バスが立ち寄るのみです。

幾寅駅の駅舎は、映画「鉄道員」のロケに使用された「幌舞駅」のセットです。駅舎の中には、映画関連の展示があります。

駅の隣にある南富良野町観光協会の窓口にて、富良野駅ゆきの普通乗車券(小児断線なし)と北の大地の入場券が発売されています。この窓口は平日日中の営業ですが、土日祝日は駅から700m離れた道の駅にて同じものが入手できます。
町オリジナルの記念入場券(もどき)が2種類売っていたので、あわせて買ってきました。
宗谷本線 美深駅

上川地方北部、名寄市に北に位置する美深町にある駅です。2016年5月2日より、簡易委託業務が開始しました。JRの手売りきっぷ(常備券・補充券)を購入できる駅では、日本で最北です。

毎日日中営業しています。何しろ地理的位置が遠隔なため、この駅にたどり着くまでが一仕事です。ただし、毎日営業な点と特急列車が停車する点から、それほど難関とは思いません。

発売している常備券の種類は、とても多いです。普通乗車券、自由席特急券の他、指定席特急券(常備券)が旭川駅行きと札幌駅ゆきとあります(一般発売不可な常備券もあるもよう)。出札補充券は道内の他駅発が可能で、料金専用補充券も同様です。高額券としては、音威子府駅発着「Rきっぷ」、名寄駅発着「Sきっぷ」もあります。
室蘭本線 栗山駅

空知地方南部の栗山町にある駅です。札幌市と夕張市の中間にある街です。駅の中にある中央バスの案内所にて、JRきっぷも発売しています。中央バスが撤退してから、栗山町の商工会が業務を受託しているとのことです。

毎日日中営業しています。窓口が開いている日中時間帯に運行する列車の本数が少なく、悩まされます。札幌から直線距離が遠くないので、路線バスで訪れる手もアリかなと。

栗山駅で発売されている常備券は、金額式の普通乗車券ばかりです(種類は結構多め)。文字通りの「簡易」委託駅で、小児断線がありません。他駅でなかなか見られない、小児専用の常備券があります。岩見沢駅からの常備式自由席特急券が1種類あります。高額券がないので、比較的低予算でも全種類入手できます。
函館本線 銀山駅

後志地方北部の仁木町にある、函館本線山線の駅です。小樽駅から倶知安駅に向かう途中の峠にある、人里離れた駅です。お店にダッチングマシンが置いてあったので、古くからの簡易委託駅と思われます。

銀山駅では、個人商店の方がJRきっぷの販売を受託されています。新聞屋さんなので、決まった休みはなく、日中訪れれば大丈夫です。駅から徒歩で4分ほどにあるお店で、すぐにわかると思います。小樽駅から倶知安駅までの区間、列車本数が意外に多いので、それほど難関とは思いません。

2022年現在で発売されているのは、常備券の普通乗車券5種類です。写真にある以下3種類の近距離券の他、小樽駅行きと札幌駅ゆきの5種類です。訪れる人が多いと聞きました。JR北海道の常備券の人気ぶりをうかがえます。
函館本線 蘭越駅

後志地方南部にある蘭越町の中心にある駅です。駅の簡易委託業務は、蘭越町役場の方が対応されています。

営業時間が縮小傾向にあり、2022年現在、土日祝日除く平日の朝一から午後早い時間までの営業です。列車の本数も非常に少なく、訪れるのはかなり難関な部類に入ろうかと思います。

簡易委託業務としては、一通りのきっぷ(常備券・補充券)があります。蘭越駅には、北の大地の入場券がありません。隣の昆布駅ゆきの常備券が売り切れだったので、倶知安駅行きを購入。札幌駅行きはかなり高額です。出札補充券、料金専用補充券ともあります。指定券の取り扱いもありますが、電話中継先の倶知安駅のマンパワー不足で、対応が難しいようです。
函館本線 ニセコ駅

倶知安駅の南西にあるニセコ町にある駅です。従前からある簡易委託駅の駅で、街の観光協会の運営です。

ニセコ駅の駅名標が、全国的にもレアなカタカナ表記です。

毎日日中営業なので、列車の本数は少なくても、比較的訪れやすい駅だと思います。駅舎の建物が、とてもステキです。

常備券の普通乗車券の種類は、思ったほど多くありません。近場では、倶知安駅ゆきがあります。常備券口座が少ないため、実需でも補充券の出番が多いようです。出札補充券では、他駅発の対応も可能です。料金専用補充券の対応も大丈夫で、指定券の扱いもあります。

2022年11月で終売となった普通回数券を、なくなる前に買っておきました。JRで非端末券の回数券は、今ではかなり貴重だと思います。
収集行脚 第一弾:2016年7月

JR北海道管内で簡易委託が本格的に展開された2016年、早速北海道に行く機会が得られました。
本来は鉄道を利用して訪れたかったのですが、JR北海道のローカル輸送体制が崩壊しかかっており、一日ではとても回り切れません。そんなわけで、レンタカーを利用して駅を訪問しました。本末転倒なことです。。。
留萌本線 石狩沼田駅

空知地方北部の沼田町にある駅で、かつては札沼線の終点でした。2016年よりも以前からの簡易委託駅です。
土日祝日を除く、平日日中のみの営業。不定休なので、収集が困難な駅の一つです。
沼田町名義で、窓口の真横に乗車券購入のお願いの告知があります。ある程度窓口利用者がいないと窓口の維持が困難なので、利便性を図るために利用をお願いします、という趣旨です。

常備券の口座が少ない代わり、出札補充券・料金専用補充券の設備があります。他駅発の乗車券類の発券が可能です(道内のみ)。
変わったところでは、深川駅ー旭川駅間「Sきっぷ」の在庫があります。

函館本線 奈井江駅【発売終了】

空知地方南部の奈井江町にある駅です。特急列車が停車せず、普通列車で訪れることができます。2016年5月2日より開始、2022年3月をもって契約終了【閉鎖】しました。
土日祝日を除く平日の、朝夕の時間帯のみ営業でした。

他の簡易委託駅とは、受託形態が一味違った駅でした。受託事業者が自治体ではなく、地元の一民間企業(産業廃棄物処理業者)でした。これこそ、企業のCSRというか、社会貢献という感じがしました。
取り扱うきっぷは、近隣区間への常備券のみです。補充券の取り扱いは、ありません。常備式自由席特急券は、砂川駅発と岩見沢駅発のものがありました。

営業キロが100km以上の途中下車できる乗車券の地紋の色は、青です。ただし、額面が高価で、そうそう買えるものではありません。窓口には、使用されていないマルス端末が放置されていました。
根室本線 赤平駅

空知地方北東部にある赤平市にある駅です。かつての炭鉱の街です。2016年3月28日より、簡易委託にて手売りきっぷの販売が開始しました。
土日祝日を除く、平日日中のみ営業です。不定休ではありませんが、営業時間が短いので、意外と難関です。

駅舎は、赤平市の施設「交流センターみらい」の中にあります。かつてあったみどりの窓口(出札業務)を、赤平市が簡易委託の形で引き継いでいます。
窓口に座っているのが、市の(嘱託)職員の方です。収集のためにきっぷを購入したいと申し出ると、レストランのメニューのような、取り扱い券種の図付きのリストを見せてくれました。収集家に優しい駅だと思います。

常備券の口座数も多く(ただし、多く売れる口座だけ)、滝川駅から札幌駅まで(とみられる)常備指定特急券(地紋は緑色)までありました。筆者は予算オーバーのため、残念ながら購入を見送りました。
もちろん、出札補充券と料金専用補充券が設備されています。ただし、市の広報紙によると、出札補充券については、他駅発着は無理なようです(料補は他駅発が可能)。
根室本線 芦別駅

赤平市の東にある、芦別市にある駅です。ここも、かつての炭鉱の街です。2016年4月1日より、出札業務の簡易委託が開始しました。
土日祝日を除く、平日日中のみの営業です。

隣の市である赤平市にある赤平駅に比べるとかなり質素な感じの駅舎です。富良野駅ゆきの臨時特急列車が、芦別駅に停車する日があります。
簡易委託の体制は赤平駅と類似していますが、芦別駅のほうが数日業務開始が遅かったです。芦別駅については情報が少ないのですが、やはり市の職員が業務を担当しているものと思われます。そんなわけで、市役所の窓口のような雰囲気でした。

常備券の口座数は普通券だけでも10種類程度あり、近距離から売れるところまで用意されています。常備式の自由席特急券も本来は設備されているのだが、訪れた時はたまたま在庫切れで、購入することができませんでした。
出札補充券は芦別駅発限定、料金専用補充券は任意の駅(道内のみ)発が可能です。芦別駅発の料補が珍しいので、購入してみました。
石勝線 占冠駅

上川地方南部の占冠村にある駅です。2016年以前からの簡易委託駅です。毎日日中に営業しています。

この駅の出札業務は、国鉄分割民営化直前に簡易委託化され、現在は占冠村が受託運営しているとのこと。したがって、かなり長い期間、村の職員が出札業務を行っていることになります。
この駅を訪れる上のネックが、地理的位置の奥深さです。窓口が開いている日中時間帯の特急列車の停車本数は、上下線あわせてわずか7本です。車で来るにも、最寄りの街、富良野市から約40km、1時間ほどかかります。どこからアクセスしても、遠いです。。。
ただし、訪問が難関な駅というわけではないです。

かつては、簡易委託駅では非常に珍しい、硬券の入場券に出会うことができました。無人駅の入場券なので、収集家向けです。

常備券は、
新千歳空港駅ゆき普通乗車券1,590円
札幌駅ゆき普通乗車券の2種類、
自由席特急券100kmまで1,130円
自由席特急券150kmまで、
札幌駅から150kmまで(帰り用)の3種類がありました。
その他のニーズには、補充券が使用されます。最低区間が、隣のトマム駅行きが450円、自由席特急券の最低金額が100kmまでの1,130円(小児560円は補充で)と、かなりお高いです。常備券の口座が少ないため、補充券も収集用発券に対応していただけます。
番外編:復路専用乗車券
JR北海道管内では、苫小牧駅と釧路駅の2か所で、復路専用乗車券が生き残っています。これは、自治体への簡易委託ではなく、JR北海道直営駅で提供を受けたものです。
苫小牧駅


釧路駅


まとめ

駅によって取り扱い券種は様々ですが、バリエーションに富んでいることがお分かりいただけたと思います。
簡易委託では、販売収入の一部(数パーセント)が販売者の手元に残り、それが地元自治体の財源になります(人件費が収入を上回ってしまうように思えます)。JR直営駅では、地元自治体に収入をもたらすことがない一方、簡易委託ではわずかながら地元にお金を落とすことができます。
ただし、自治体が人件費を負担して受託しているということは、本来地元住民のための行政サービスの一つです。きっぷの趣味購入にあたっては、節度を持って臨みたいところです。
多くの駅では、土休日が休業です。そのため、平日日中に訪れる必要があり、収集家にとってはハードルが高いです。それにもかかわらず、毎日多くの収集家がこれらの駅を訪問しているといいます。JR北海道の手売りきっぷは、根強い人気があるように見受けられます。
マルス端末が地元からなくなり、住民にとっては指定券がリアルタイムで買えなくなった不便がある代わり、珍しい手売りきっぷの販売で、遠方の観光客を多く受け入れられる結果になりました。意外な副作用が発生したのが、皮肉な結果といえるのではないでしょうか。
Appendix:簡易委託駅 乗車券類収集リスト
参考資料 References
● 「持続可能な交通体系のあり方について」プレスリリース(JR北海道)2016.7
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160729-2.pdf
● 「北の大地の入場券」ウェブサイト(JR北海道)

● 北海道赤平市 広報あかびら平成28年3月号
http://www.city.akabira.hokkaido.jp/docs/2016022600010/files/28-03-02.pdf
● 北海道美幌町 美幌駅の案内
改訂履歴 Revision History
2016年7月31日:初稿
2022年9月30日:第2稿
2022年12月03日:第2稿 加筆
2022年12月04日:第2稿 加筆
2023年3月02日:第2稿 修正
2023年4月28日:第2稿 修正
コメント