新幹線「スマートEX」と「エクスプレス予約」会員区分の解説|運賃・料金の比較【改訂版】

東海道新幹線改札口小田原駅にて デジタル鉄(ネット)

東海道・山陽・九州新幹線に導入されている、会員制のネット予約サービス「エクスプレス予約」。専用のウェブサイトにて予約・決済を済ませてから、専用のICカードでチケットレス乗車します。駅で紙のきっぷを買わずに済み、運賃・料金も所定より割安というメリットがあります。

2017年9月、「エクスプレス予約」非会員の一般乗客にも「スマートEX」として、きっぷのネット購入、交通系ICカードでのチケットレス乗車が開放されました。同時に、従前の「プラスEX」サービスが「エクスプレス予約」に統合されました。

そして、2022年には利用エリアが九州新幹線にも拡大されました。会員区分や利用プランも、最近は多様化されてきました。

この記事では、東海道・山陽・九州新幹線のネット予約サービス「スマートEX」と「エクスプレス予約」(従前の「プラスEX」を含む)の違いについて、主に操作面や運賃・料金面でみていきます。東京駅から新大阪駅まで、東京駅から三島駅までの料金の違いもそれぞれシミュレーションしました。

年会費1,100円がかかる代わり、料金が所定料金と比べて安価な「エクスプレス予約」を利用できれば、旅費の節約やスムーズな移動を実現できます。

「スマートEX」の料金は紙のきっぷベースで、必ずしも安くありません。ネット予約やチケットレス乗車できる手軽さがメリットです。

「エクスプレス予約」のサービスには法人用と個人用がありますが、本記事では個人用にて説明します。また、「スマートEX」もしくは「エクスプレス予約」の入会が済んでいることを前提に、お話を進めます。

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多様な会員区分~クレジットカードの入会・登録が必須~

エクスプレス予約用カード
プラスEXカードは旧デザイン

新幹線のネット予約サービス、大きく分けて会費無料で一般開放されている「スマートEX」と、会費有料で専用クレカの加入が必要な「エクスプレス予約」があります。両者の違いを見る前に、会員区分が多様であることを最初に触れたいと思います。

いずれの会員区分も、ネット予約・決済を利用できる点とチケットレスで利用する点は共通です。

エクスプレス予約

年会費が1,100円かかる有料会員制の「エクスプレス予約」を利用するためには、次のクレジットカードを所持することが条件になります。

● JR東海発行の「エクスプレス・カード」

● JR西日本発行の「J-WESTカード(エクスプレス)」

● JR九州発行の「JQ CARDエクスプレス」

いずれも、クレジットカードに新規入会することになるため、入会審査があります。その過程で、個人信用情報もクレジットカード会社によって参照されます。つまり、「エクスプレス予約」を利用したいと思っても、審査結果によっては誰でも利用できるわけではないことを意味します。

● 「プラスEX」:一部のクレジットカード所持者が入会可能

クレジットカードに新規入会しなくて済むことがメリットですが、「プラスEX」入会に必要なクレジットカードがどれでもよいというわけではなく、一部のクレジットカードに限られることが難点です。

● JR東日本ビューカードの「エクスプレス特約」+「モバイルSuica」

抜け穴的な存在として、JR東日本のビューカードを所持している場合、ビューエクスプレス特約を利用する方法があります。モバイルSuicaを自動改札で使用することで「エクスプレス予約」を利用できます。クレジットカードを多く作りたくない場合、検討したい手段です。

いずれのカードにせよ、審査通過が前提となるクレジットカードの所有が必要です。語弊がありますが、鉄道会社が利用する客を選ぶ印象があります。上記いずれのクレカ会社も審査が厳しめなので、余計にそのように感じます。

スマートEX

クレジットカードの新規入会が必要だったり、一部のクレジットカードを所持していなければならないといった関門があったりと、必ずしも誰でも利用できない「エクスプレス予約」の機能面を一般旅客にも開放したのが、2017年9月から始まった「スマートEX」です。利用するために必要なものは、

● クレジットカード【上記クレカに限定されない】

● 交通系ICカード(モバイルSuicaでも可)

です。

広く一般開放されたと一見思われがちですが、スマートEXの会員登録には、実はクレジットカードが必須です。事情があってクレジットカードを所持しない場合、スマートEXのサービスさえ利用できず、駅で所定料金の紙のきっぷを買って乗車しなければなりません。

クレジットカードの銘柄が「限定」されないとはいえ、クレカが必須という意味合いでは、ネット予約が完全に一般開放したわけではありません。クレジットカードがない場合、JR東日本の「えきねっと」やJR西日本の「e5489」の利用が考えられます。しかし、JR東海の区間を含むとクレカ決済一択になるため、結局のところクレカなしにはネット予約の利用は難しいです。

いずれの会員区分でもクレジットカードが必須なので、誰でも利用できるとはいえません。率直なところ、敷居の高さを感じます。

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列車の予約操作画面の違い

「スマートEX」と「エクスプレス予約」について、ウェブブラウザの他に「EXアプリ」が利用できることや、それらの操作画面は非常に類似しています。しかし、ウェブブラウザを使用して実際に予約・決済を行う場合、それぞれ別のウェブサイトで操作を行います。

● スマートEX

スマートEX 新幹線のスマホの窓口
東海道・山陽・九州新幹線(東京~鹿児島中央)の新しいネット予約&チケットレスサービス「スマートEX」は簡単な登録操作ですぐに利用できる年会費無料のサービスです。

● エクスプレス予約

エクスプレス予約 新幹線の会員制ネット予約
エクスプレス予約は、東海道・山陽・九州新幹線をスムーズ&スピーディに一年中おトクなおねだんで利用できる、会員制のネット予約サービスです。

いずれのサービスも、それぞれの専用画面にログインしますが、正しいウェブサイトにアクセスする必要があります。ただし、スマホアプリ「EXアプリ」を利用する場合、ログイン画面は共通で、それを意識する必要はありません。

スマホアプリ「EXアプリ」にアクセス

「EXアプリ」を使用すると、スマホで列車の予約と決済を完結できます。アプリをインストールしてから最初に起動すると、利用規約が表示されます。同意すると、予約操作を続けることができます。

ログイン画面が表示されたら、入会完了後に送付されるメールに記載された会員IDと、あらかじめ設定したパスワードを入力します。

以下「EXアプリ」画面より引用

この時、JR東海発行のエクスプレス・カード会員とEXプラス会員、ビュー・エクスプレス特約会員は「エクスプレス・カード会員」を選択、JR西日本発行のJ-WESTカード会員は「J-WESTカード(EX)会員」、スマートEX会員は「スマートEX会員」を選択します。

初期画面が表示されたら、予約操作に進めます。

予約する際に表示される値段は、上述した会員種別で異なります。

スマートEX会員としてログインして表示された値段。駅で購入する紙のきっぷがベースの値段です。

エクスプレス予約会員としてログインして表示された値段。会員専用価格で通年同額です。また、指定席と自由席が同額です。

「スマートEX」と「エクスプレス予約」画面比較【ウェブブラウザ】

ウェブブラウザで予約画面を開く際、スマートEXとエクスプレス予約の画面設計は、ほぼ共通です。それぞれのURLが、上述の通り異なる点には注意してください。

以下「エクスプレス予約」ウェブサイトより引用

スマートEXの初期画面。スマートEXでも、予約条件の設定や簡単ログインの設定ができるようになっています。

エクスプレス予約の初期画面。「グリーンプログラム」が表示されます。

以下は、ウェブブラウザ版の予約画面です。

スマートEXの場合、紙のきっぷに連動した値段が表示されます。繁忙期、閑散期といったシーズナリティも適用されます。早得料金「EXこだまグリーン早得」を購入できます。

エクスプレス予約で表示される値段は会員専用の料金で、通年同額です。また、指定席・自由席とも同額です。早得料金の値段は、スマートEXと同額です。

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「スマートEX」と「エクスプレス予約」運賃・料金を比較

東海道新幹線東京駅

「スマートEX」と「エクスプレス予約」の最も大きな違いは、運賃・料金です。

特に、乗車当日でも予約できる基本乗車プランの運賃・料金には、差が際立ちます。この料金設定がかなり複雑なので、裏ワザが発生するわけです。

ただし、早特料金については、スマートEX会員とエクスプレス予約会員共通で、同じプランを購入可能です。

紙のきっぷでは、特定都区市内制度が適用され、当該ゾーンではどの駅で乗降しても運賃は均一です。しかし、スマートEXとエクスプレス予約にはこの制度が適用されません。新幹線駅に接続する在来線に乗車する場合の運賃が別にかかるので、紙のきっぷとの比較をおススメします。

東京都区内から大阪市内ゆき新幹線特急券
紙のきっぷ:2015年3月乗車時の値段

それでは、具体的な実例を挙げて、料金のシミュレーションをしてみたいと思います。

● 東京駅から新大阪駅(大阪市淀川区)までの区間

● 東京駅から三島駅(静岡県三島市)までの区間

をそれぞれ移動する場合を考えます。

東京駅-新大阪駅間の運賃・料金比較

下表は、東京駅(東京都区内)-新大阪駅間(大阪市内)の普通車指定席について、会員種別ごとの料金をまとめたものです。

グリーン車利用の場合、または早特料金を利用する場合、損得計算の感覚が普通車指定席とは全く異なるので、注意してください。

【普通車指定席の料金】

会員種別時期列車名運賃・料金額
【非会員】
所定運賃・料金
(紙のきっぷ)
東京都区内-大阪市内
最繁忙期のぞみ15,120
ひかり・こだま14,800
繁忙期のぞみ14,920
ひかり・こだま14,600
通常期のぞみ14,720
ひかり・こだま14,400
閑散期のぞみ14,520
ひかり・こだま14,200
【スマートEX会員】
会員専用運賃・料金
(交通系ICカードで乗車)
東京駅ー新大阪駅
※非会員より200円安い
※特定都区市内制度は適用されない
最繁忙期のぞみ14,920
ひかり・こだま14,600
繁忙期のぞみ14,720
ひかり・こだま14,400
通常期のぞみ14,520
ひかり・こだま14,200
閑散期のぞみ14,320
ひかり・こだま14,000
【エクスプレス予約会員】
会員専用運賃・料金
(専用ICカードで乗車)
東京駅ー新大阪駅
※会員専用
※特定都区市内制度は適用されない
通年全列車13,620
【エクスプレス予約会員】
会員専用e特急券
(紙の特急券で乗車)
※会員専用
※他に乗車券が必要
通年全列車特急券のみ
4,910

※ 2023年4月現行の料金

東京都区内から大阪市内までのJR駅間の移動の場合、従来の紙のきっぷであれば、各ゾーン内の駅間の運賃が均一なため、当該区間内の在来線を乗車しても追加運賃は発生しません。

(例)新宿駅-(東京駅)-(新大阪駅)-天王寺駅

紙のきっぷであれば、それぞれのゾーン内の在来線の運賃が含まれているため、別に支払う必要はありません(東京都区内-大阪市内の乗車券を使用)。

一方、スマートEXやエクスプレス予約を利用する場合、在来線区間の運賃が含まれておらず、別に支払わないといけません。

この例では、新宿駅-東京駅、および、新大阪駅-天王寺駅のそれぞれの区間の運賃を別に支払うと、スマートEXでのIC乗車よりも紙のきっぷの方が若干安く上がる計算になります(エクスプレス予約は料金そのものが安いので、在来線運賃を別に払っても安くなる場合が多い)。

そのため、特にスマートEXでは、紙のきっぷとの値段差が200円しかありません。次の比較ツールを活用して、損得計算をしっかりと行いましょう。

【運賃・料金総額の比較ツール】

● スマートEX運賃ナビ(公式の試算ツール)

スマートEX運賃ナビ

● エクスプレス予約運賃ナビ(公式の試算ツール)

EX予約運賃ナビ

さらに、エクスプレス予約会員であれば、会員専用の割安特急券である「e特急券」と普通乗車券を組み合わせて、裏ワザ的な節約方法が考えられます(例えば、大宮駅など東京駅から離れた駅から東海道・山陽新幹線の駅まで、e特急券と普通乗車券を併用する)。

残念ながら、非会員やスマートEX会員では「e特急券」を購入できません。

「e特急券」はとても奥が深いので、改めて別の記事を書きたいと思います。

東京駅-三島駅間の運賃・料金比較

2例目は、静岡県にある三島駅までの料金比較です。東京駅側は、山手線内のJR駅が均一運賃ゾーンです。最終目的地が三島駅の場合、スマートEXおよびエクスプレス予約を利用すれば、ほぼほぼ間違いないかと思います。

ただし、沼津駅や周辺の駅まで行く場合は、紙のきっぷの利用も検討しましょう。

【普通車指定席の料金】

会員種別時期列車名運賃・料金額
【非会員】
所定運賃・料金
(紙のきっぷ)
東京山手線内-三島
最繁忙期のぞみ5,000
ひかり・こだま***
繁忙期のぞみ***
ひかり・こだま4,800
通常期のぞみ***
ひかり・こだま4,600
閑散期のぞみ***
ひかり・こだま4,400
【スマートEX会員】
会員専用運賃・料金
(交通系ICカードで乗車)
東京ー三島
※非会員より200円安い
※特定都区市内制度は適用されない
最繁忙期のぞみ***
ひかり・こだま4,800
繁忙期のぞみ***
ひかり・こだま4,600
通常期のぞみ***
ひかり・こだま4,400
閑散期のぞみ***
ひかり・こだま4,200
【エクスプレス予約会員】
会員専用運賃・料金
(専用ICカードで乗車)
※会員専用水準
※特定都区市内制度は適用されない
通年全列車3,870
【エクスプレス予約会員】
会員専用e特急券
(紙の特急券で乗車)
※会員専用水準
※他に乗車券が必要
通年全列車特急券のみ
1,760

※ 2023年4月現行の料金

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まとめ

東海道新幹線N700系

「スマートEX」は、会費無料でネット予約とチケットレス乗車のサービスを利用できます。「エクスプレス予約」は、年会費1,100円がかかる有料会員サービスですが、料金が紙のきっぷやスマートEXよりもかなり安価に設定されています。

個々人によってメリットであり、デメリットでもあるので、よく検討して利用しましょう。

スマートEXでは、手持ちの交通系ICカードで全区間乗車できてしまうため、利便性では他の追随を許しません。しかし、実際の乗車区間によっては紙のきっぷより高額になることがあるので、紙のきっぷとうまく使い分けたいところです。

また、本記事では、会費無料のスマートEX会員と、会費有料のエクスプレス予約会員のそれぞれの値段を紹介しました。エクスプレス予約用料金がかなり安価なため、個人的には毎年新幹線に乗車するのならば、年会費1,100円の元が十分に取れるのではないかと思います。特に、早特料金が適用されない基本乗車プランで乗車するのならば、エクスプレス予約がよりおトクと考えます。

余談ながら、従前の「プラスEX」が「エクスプレス予約」に統合されたため、プラスEX会員がエクスプレス会員用の商品を利用できるようになったのは、大きな恩恵です。

参考資料 References

● スマートEX(JR東海ウェブサイト)2023.01閲覧

スマートEX 新幹線のスマホの窓口
東海道・山陽・九州新幹線(東京~鹿児島中央)の新しいネット予約&チケットレスサービス「スマートEX」は簡単な登録操作ですぐに利用できる年会費無料のサービスです。

● エクスプレス予約(JR東海ウェブサイト)2023.01閲覧

エクスプレス予約 新幹線の会員制ネット予約
エクスプレス予約は、東海道・山陽・九州新幹線をスムーズ&スピーディに一年中おトクなおねだんで利用できる、会員制のネット予約サービスです。

● スマートEX運賃ナビ(公式の試算ツール)

スマートEX運賃ナビ

● エクスプレス予約運賃ナビ(公式の試算ツール)

EX予約運賃ナビ

改訂履歴 Revision History

2017年11月12日:初稿

2023年01月13日:初稿 再構成

2023年4月07日:初稿 修正

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