「HIGH RAIL 1375 星空(ハイレール イチサンナナゴ ホシゾラ)」号は、JR小海線を夜間に走る観光列車です。JR東日本の観光列車「のってたのしい列車」の一つですが、夜間に走るのは観光列車としては珍しい部類に入ると考えます。
小海線は、全国のJR線の中でも標高が最も高いところを走ります。空気が澄んでいることから、星空観察に適していると言われます。「HIGH RAIL 1375 星空」号は、野辺山高原で夜間見られる星空を、気軽に観察できる列車です。
当日の天候に左右されますが、小海線を走る高原列車の特徴やイメージと、星空観察という観光資源をうまく活かせています。そんな列車に筆者も乗車したので、その様子を皆さまと共有したいと思います。
この記事では、「HIGH RAIL 1375 星空」号に乗車するまでの予約方法・事前準備についてふれてから、筆者が2017年11月に体験した実際の道中をお話ししていきます。
「HIGH RAIL 1375 星空」号~高原を走る夜汽車~

「HIGH RAIL 1375」号は、小淵沢駅(山梨県北杜市)から野辺山駅(長野県南牧村)を経て、小諸駅(長野県小諸市)まで、日中に走る観光列車です。夜の時間帯にも、「HIGH RAIL 1375 星空」号として、同じ区間を同じ車両で運行されています。
標高1300m台の長野県南牧村野辺山高原は、空気が澄んでいるところです。野辺山高原は、国立天文台野辺山宇宙電波観測所があるくらい空気のきれいな場所で、天体観測とは相性が良いです。
そんな野辺山高原で、夜に星空観察ができる列車が、「HIGH RAIL 1375 星空」号です。地域の観光資源をうまく活かした列車かと思います。
乗り鉄目的にプラスして、星空を眺める楽しみもある、なかなか欲張りな列車です。乗り鉄派だけではなく、星好きの人たちにも楽しめるはずです。
「HIGH RAIL 1375 星空」号の予約方法・乗車までの事前準備
「HIGH RAIL 1375 星空」号の予約方法は、日中走る「HIGH RAIL 1375 」1・2号と全く同じです。全車指定席の列車のため、乗車1か月前から「乗車券」と「指定席券」を予約・購入します。
乗車券と指定席券の詳しい買い方については、日中走る「HIGH RAIL 1375」号の記事を参照してください。
筆者は、ネット予約システム「えきねっと」で予約して、指定席券を購入しました。
乗車した2017年当時、ネット予約システム「えきねっと」では、自分の好きな席番を指定できませんでした。ほとんど賭けでしたが、結果的に1号車のペアシートが取れていました(現在はシートマップから自分の好きな座席を指定できます)。

乗車までに済ませておきたい事前準備
星空観察を楽しめることから、通常の観光列車のための準備に加えて、以下のものを準備しておきたいです。
● スマートフォンとモバイルバッテリー
列車車内では、オリジナルのWIFIコンテンツが提供されていて、星座の予備知識を得ることができます。車内にはコンセントがないので、モバイルバッテリーをあわせて持参したいところです。
● 小さな照明器具
暗い夜道を歩くため、足元を照らせる照明器具があると安全です(スマホのライトを使ってもいいと思います)。
● 上着、マフラー、手袋などの防寒対策
標高1300m台の野辺山高原は、どの季節でも平地よりかなり冷えます。夏場でも最低上着は必要で、秋から春にかけては十分な防寒対策が必要です。
● 星座観察のための予備知識(星座のアプリなど、興味があれば)
空気や星空自体はとても澄んでいてきれいですが、肝心の星座は意外と把握しにくいです。スマートフォンの星座アプリなどがあれば、鑑賞の助けになるかと思います。
小淵沢駅出発から野辺山駅に至るまで
8223D:小淵沢駅 18:17分 →(小海線経由)→ 小諸駅 21:02分
※野辺山駅 18:53分着~19:42分発の間が星空観察の時間です
この列車は運転士とアテンダントさんが乗務するワンマン運転の列車です。筆者が乗車した時は、途中の野辺山駅まで車掌さんが乗務して、きっぷのチェックを行っていました。その際、車掌さんが小海線営業所のオリジナルの記念ポストカードを配っていました。

夕暮れの小淵沢駅。改築されたばかりの新しく、きれいな駅舎です。

駅の改札口にはすでに、HIGH RAIL星空号の表示がされていました。列車名の前に寝台特急の記号が使われていて、雰囲気が盛り上がります。

小淵沢駅内に留置されている列車の車両。出番を待っている最中です。

列車の乗車口は、2号車の1か所だけです。この表示がある場所が出入り口になるので、並んで待ちます。

18時ちょうどに列車が入線してきました。これまた発車時刻の10分少し前で、せわしないです。

車体外側の行先表示が、これまた夢のあるものです。
1号車の車内の様子
筆者は、1号車に乗車しました。

1号車には、1人掛けのシングルシート7席、2人掛けのペアシート14席(7組)、4人掛けのボックスシートが8席(2組)があり、定員が29人です。
もっぱら旅行商品用の席かなと思っていたのですが、指定席券が1号車で取れました。つまり、旅行商品専用の号車とは言えないことになります。窓枠のサイズと座席の配置は、2号車と違って最適化されています。ボックスシート席は、窓なしの部分があります。
ペアシートはこのような感じです。見知らぬ人との相席は厳しいかと思います。どうしても2席分まとめて購入せざるを得ないところです。


窓枠のインテリアは、宇宙や天体を感じさせるこぎれいなデザインです。

シングルシートの座り心地は最高で、まさに「王様シート」といえます。どうやったらこの席をとれるものか。。。
乗客層としては、昼間の列車とはやや違います。乗り鉄目当てというよりは、星空観察を目的にした人たちがターゲットと思います。中には、リピートしている人もいたようです。夜間走る列車ということで、小さな子供連れはさすがに少なかったです。
車内で星空上映会を楽しむ【休止中】
2022年現在、車内での星空上映会は見合わせとなっています。代わりに、星空案内人の解説を車内放送で聞くことができます。

乗車するときには、乗車口のデッキで「ギャラリーHIGH RAIL」映像上映会の整理券を忘れずにもらっておきましょう。乗車する順番に好きな回次を選べるが、ほぼ全員分の整理券があるので、焦る必要はありません。
野辺山駅までの車中で行われます。1回の上映時間は約8分間程度で、星空案内人の男性が場を仕切って解説してくれます。1回目から4回目まであって、各10名の40名分の枠があることになります。

上映会の場所は、2号車にあるギャラリーです。天井にミニプラネタリウムがある円形のギャラリーで、春夏秋冬の季節ごとの星空の様子を解説してくれます。
乗車した晩秋の季節は、一等星が少なくて、特徴がないということでした。それでも、見える星座がたくさんありました。

寒くなるといけないと思って、車内の売店でオリジナルのブランケット@2,000円を購入しました。サイズが小さくて、かぶれるほどのものではなかったです。しかし、デザインがかわいいブランケットは限定品で、在庫限りで再び増産しないということでした。
野辺山駅で星空観察会を楽しんだ

18:58分に野辺山駅に到着して(乗車当時のダイヤ)、いよいよ「星空観察会」が始まりました。観察会は道中のハイライトですが、観察を希望しない場合は駅の待合室で待っていても大丈夫です。

野辺山駅の改札口を一旦出て、駅のすぐ近くにある公園まで歩いていきました。そこで、小淵沢駅から添乗してきた星空案内人の男性が詳しく解説してくれました。
この列車に乗車した日は幸い快晴で、星空がよく見えました。その分、夜冷え込んで、外にいたのが数十分だったにもかかわらず、体がすっかり冷えてしまいました。十分に厚着していった方がよいです。
星空案内人の天体の知識が深くて、星好きには十分楽しめたと思いますが、星の知識がない筆者には、ただ寒さが身体に響きました。。。
野辺山駅を出発してから~帰り方の検討~
星空観察会から列車に戻ったのが19:50分頃で、車内に戻ったら暖かかったです。
日中の列車だったら車窓を楽しめるのですが、夜間に走るこの列車は景色を見られないため、降りる駅までひたすら時間をつぶすだけでした。売店でホットコーヒーを買ってきて、暖をとりました。
【東京方面への帰り方】
佐久平駅で北陸新幹線に乗り換える場合、東京駅行き「はくたか」576号には10分で接続します(「えきねっとトクだ値」料金を利用できません)。以前よりも接続が改善されました。
野辺山駅で小淵沢駅行き普通列車に折り返し乗車して(20:03分発)、小淵沢駅まで乗り換える方法もあります(20:35分着)。小淵沢駅で接続する最終のあずさ60号に乗車して終点の新宿駅まで乗車して帰る手もあります(「えきねっとトクだ値」の料金設定があって、安く移動できます)。
※ 接続ダイヤは2022年3月現行のものです。
【長野・松本方面への帰り方】
長野方面へは、佐久平駅で北陸新幹線に乗り換えるか、終点の小諸駅でしなの鉄道線に乗り換えるかのいずれかになります。
松本方面へは、野辺山駅で折り返して小淵沢駅まで戻り、中央線に乗り換えることになります。
到着が夜遅くなるので、子供連れの場合は十分にご注意を。
参考資料 References
● 「のってたのしい列車」公式サイト「HIGH RAIL 1375」号(JR東日本)

● 「えきねっと」の「のってたのしい列車」予約画面
改訂履歴 Revision History
2017年12月05日:初稿
2022年5月27日:初稿 再構成
2022年6月22日:初稿 修正
2023年3月31日:初稿 修正
2023年8月04日:初稿 修正
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