東武鉄道「SL大樹」号|はじめての乗車体験【2018年版】

SL大樹入線下今市駅にて 東武鉄道

東武鉄道鬼怒川線の下今市駅(栃木県日光市)と鬼怒川温泉駅(栃木県日光市)とを結ぶ、東武鉄道の目玉列車「SL大樹(たいじゅ)」号。2015年からのSL復活プロジェクトが実る形で、2017年8月より運行が始まりました。運行開始当初、週末を中心に1日3往復運行されていました(SL大樹1号ー6号)。

その後、平日にも東武日光駅から「SL大樹ふたら」号が運行されるようになりました。毎日運行されるSL列車に日にちを選ばず乗車し、旅行を楽しめるようになりました。

筆者も、運行が始まってから約半年後の2018年2月、SL大樹号に乗車する機会を得ました。この記事では、夕方に運行される「SL大樹」5号と6号に乗車した時の様子を綴ります。これらの列車の号数と運行時刻は2018年当時のもので、現在は異なることをご承知おきください。

乗車した時の様子と並んで、車内でもらえる乗車証明書と「アテンダント通信」の初期版、そして2列車乗車達成でもらったSL大樹特製お守りといったグッズも紹介したいと思います。

なお、本記事では、SL大樹号に乗車するために必要なきっぷの買い方などの情報は割愛します。

SL大樹号の運行スケジュールは、随時変わります。土休日か平日かによって、また繁忙期か閑散期かによっても運行パターンが変わります。旅行の計画を立てる際には、前もって公式ウェブサイトにて運行時刻を確認しましょう。

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「SL大樹」5号【2018年2月】

5号: 下今市駅 16:32分 →(東武鬼怒川線)→ 鬼怒川温泉駅 17:08分

下今市駅を出発してから途中の東武ワールドスクウェア駅に停車し、終点の鬼怒川温泉駅に着くまでの約35分間。SL列車での乗り鉄を楽しめます。

14系客車3両を牽引する機関車は、蒸気機関車のC11-207号とディーゼル機関車のDE10-1099号です。線内の勾配がきついことから、運行当初は2両の機関車が協調運転していました。

東武鉄道線には、かつて走っていた蒸気機関車が引退してから、電車しか走っていませんでした。それゆえ、蒸気機関車やディーゼル機関車が再び東武線内を走る光景は、大変インパクトがあります。

SL大樹のご案内

各座席には機関車と客車の案内が挟んでありますが、いずれも手書きで温かみがあります。

車窓の景色がいいのは、男体山・女体山と鬼怒川を眺められる西側です。東武鉄道の場合、シートマップなどで座席を指定して購入することが難しいので、JRの列車と違って悩ましいところです。

SL大樹5号にいざ乗車!

下今市駅駅名標

SL大樹5号が出発する下今市駅の駅舎やホームなどの建物が、2017年のSL運行開始のタイミングで改装されて、レトロ風に変わっています。駅名標も木製で、懐かしい感じがします。

下今市駅構内には下今市機関区が誕生し、SL列車運行の管理を行っていると思われます。SL列車運行のために機関区をひとつ作ってしまうくらい、東武鉄道の意気込みが本気なのかなと思わされます。

出発時刻の20分程度前には2番線ホームにいました。列車がそれほど混んでおらず、のんびりした雰囲気で撮影にふけっていました。

SL大樹発車案内表示

発車表示案内板は最新のLED表示で、「SL大樹」の表示がとてもきれいでした。

SL大樹入線下今市駅にて

出発10分前の16:20分になって、下今市駅の浅草駅方から列車がホームに進入してきました。先頭が蒸気機関車、車掌車、14系客車3両、最後にディーゼル機関車の構成です。

大樹ディーゼル機関車

編成の最後尾は、ディーゼル機関車でした。人があまり多くなかったので、撮影に人が群がることもなかったです。

列車運行開始当初は編成の末尾にディーゼル機関車が連結されていましたが、現在ではなくなっています。

発車を待つSL大樹

まもなく客車のドアが開き、車内に入ることができました。客車1両にアテンダントさん1人が付いていて、ドアの前で出迎えてくれます。

SL大樹サボ

車体にある「大樹」号のサボは、往時の国鉄のような感じで、東武らしくないです。

SL大樹行先表示幕

行先表示幕は、きれいに改修されていました。幕の行先は固定表示で、上り下りで表示が変わることはありませんでした。

14系客車の車内、もともと特急用の客車だったので、ボックスシートではなく、簡易リクライニングシートです。SL列車にしては、ちょっと豪華な感じがしました。

SL大樹車内

車内の座席モケットやカーテンなどは改修され、きれいになっています。壁面など他の部分は特に改修されておらず、往時の懐かしさが残っています。

SL大樹車内

簡易リクライニングシートなので、リクライニングしても席を一度立ってしまうとリクライニングが元に戻ってしまいます。

発車してからの車内の様子

列車に乗務しているのは、機関士数名、車掌1名、アテンダントさん3名(各車両1人づつ)と車内販売スタッフ、写真撮影・販売スタッフ2名と、多くのスタッフが乗務していて驚きました。

発車してから車内の案内や指定券のチェックを行うのは、アテンダントさんです。アテンダントさんは数名が在籍し、各列車に乗務しています。地元出身の方が多いようです。

乗車した列車が混んでいなかったこともあって、アテンダントさんはのんびりした感じでした。それで、乗客に優しく対応していました。

指定券のチェックが済むと、1人に1枚記念乗車証をくれます。このカードが大変立派で、3Dホログラムでした。カードを上下にずらすと、カードの中で列車が走る優れものでした。

SL大樹記念乗車証

この記念乗車証、1号から6号までそれぞれ別のデザインで、すべての乗車証を集めると、キャンペーンで素敵な商品がもらえました。

SL大樹記念乗車証

カードの裏面には、当該キャンペーンのことが記載されていました。同じ列車に6回乗車してもらおうという商魂がものすごいです(笑)

他の列車の場合は普通、乗客自身のカメラで写真を撮ってくれるのだが、この列車では車内の撮影スタッフが彼らのカメラで1組づつ写真を撮って、出来上がったものを販売に来ていました。デジタル画像ではなく、紙に焼いてある写真だったので、筆者はパスしました(できれば自分のカメラに残したいところ)。

SLアテンダント通信

この列車のいいところが、手書きの案内書。アテンダントさんたちが制作した「SLアテンダント通信」をもらうことができました。2018年2月で、創刊から第4号になっていました。バックナンバーを下今市駅のSL展示館で入手できましたが、読んでみてアテンダントさんやスタッフのことがよくわかるものでした。

アテンダントさんが対応してくれている間、列車はゆっくりとした速度で走り続けました。途中、東武ワールドスクウェア駅に停車してから間もなく、終点の鬼怒川温泉駅に到着しました。

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「SL大樹」6号【2018年2月】

「SL大樹」号が運転される週末には、鬼怒川温泉駅前にあるSL転車台で蒸気機関車の向きが変わる様子を見学できます。SL大樹5号で鬼怒川温泉駅まで来て、転車作業を見学した後、SL大樹6号に乗車して下今市駅まで戻りました。

6号:鬼怒川温泉駅 18:09分 →(東武鬼怒川線)→ 下今市駅 18:43分

一日のうちでも、最も遅い夕方の時間帯の、最終列車としての運行です。真夏以外の時期は日没後の時刻です。そのため外の車窓を眺めるのは無理で、夜汽車の雰囲気を楽しむような感じです。

鬼怒川温泉駅駅名標

鬼怒川温泉エリアを観光した後、日帰りで東京に帰るのにはいい時間帯です。しかし、日中の観光列車にしては、少々遅い時間設定です。そのため、予約が満席にはなりにくいようで、後述する通り硬券の座席指定券を発売するなど、販売を促進する工夫が必要なのかなと思いました。

鬼怒川温泉を発車してから東武ワールドスクウェア駅に停車し、下今市駅に向かう約35分の行程です。蒸気機関車のC11、車掌車と14系客車3両、最後尾にディーゼル機関車のDE10という編成は、さきほどの列車と変わりありません。

鬼怒川温泉駅での転車台体験

鬼怒川温泉駅転車台

2月の土曜日であるこの日の夕方、真冬で冬型の気圧配置が強く、鬼怒川温泉でも大雪が降ってきて寒かったです。それにもかかわらず、多くの人たちが転車作業を見学していました。

鬼怒川温泉駅前の広場に新設されたSL大樹のための転車台は、もともとJR西日本の三次駅(広島県)にあったものです。JR西日本から譲り受けたものとのこと。転車台を移設、新設すること自体、鉄道会社の並々ならぬ意気込みを感じます。

筆者はSL大樹5号で鬼怒川温泉駅までやってきて、その足で転車台での作業を見学しました。駅の改札口を出て左手すぐにあるので、誰にでもわかります。

17:25分になって、蒸気機関車と、連結された車掌車が転車台に入ってきました。この時は特に放送などはなく、淡々と作業が進むだけでした。夕暮れの蒸気機関車は、絵になるものでした。

SL大樹6号に乗って、鬼怒川温泉駅をあとに

鬼怒川温泉駅列車案内表示

転車台を後にして、すぐに駅の改札口へ。SL大樹6号の発車案内が表示されていました。

SL大樹14系客車

列車が止まっている3番線には、14系客車が止まっていました。SL大樹号のヘッドマークも、手抜きなくちゃんと準備されています。

SL大樹連結作業

発車15分前の17:55分頃にホームに向かったら、ちょうど客車に蒸気機関車を連結する作業を行っていました。車掌車で作業している姿は、タイムスリップしたような感じがしました。

発車を待つSL大樹

連結作業が完了した蒸気機関車。雪の降る夜で寒々していたものの、力強い姿でした。

SL大樹14系客車

そして、客車の中に。ブルートレインの14系客車はまさに、夜汽車のイメージにぴったりです。

SL大樹車内

簡易リクライニングの座席が前近代的ながら、布製のヘッドカバーなど手入れはしっかりしています。

2列車に乗車して、賞品のお守りをゲット!

SL大樹記念乗車証

車中では、アテンダントさんから大樹6号の記念乗車証をもらいました。これも、3Dホログラムの立派なカードでした。

SL大樹記念乗車証

裏面には、キャンペーンの内容が書いてありました。

SL大樹特製お守り

いまさっき、大樹5号に乗ったことをアテンダントさんに告げたら、下今市駅にあるSL展示館のインフォメーションで賞品がもらえるという話を聞きました。実際に行ったら、立派なお守りをもらうことができました。「今市報徳二宮神社」という神社の特製のお守りで、学業成就や商売繁盛などのご利益があるそうです。SL列車に乗車した人に多くの幸せがありますように、という粋な計らいです。

SLアテンダント通信

最後に、車内でアテンダントさんからもらえるアテンダント通信を(バックナンバーは、下今市駅でゲット)。後発の観光列車なりに、サービス内容がよく練られています。

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おわりに

SL大樹号がデビューしてから、東武鉄道の職員の雰囲気が全体的に変わってきたな、という印象を持ちました。

つい最近まで、駅員の対応や車掌の放送がいまいち冴えないと感じていたのですが、最近は対応がずいぶん丁寧になってきました。他の鉄道会社の接遇と遜色ない程度まで変わってきた印象です。

こんなプロジェクトで会社の雰囲気ががらっと変わるんだなという、ちょっといいお話のように思えました。

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参考資料 References

● 「SL大樹」公式ウェブサイト(東武鉄道)2023.01閲覧

SL大樹公式サイト | 東武鉄道
日光・鬼怒川エリアを走る東武鉄道SL大樹の公式サイトです。SL大樹に乗って旅に出かけよう!

改訂履歴 Revision History

2018年02月25日:初稿

2023年01月31日:初稿 再構成

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