JR東海管内のJR線と16の鉄道会社の路線に、週末2日間乗り放題の「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」。週末の土日2日間(三連休では連続した2日間)にわたって、JR東海エリア全域のJR線と、対象の私鉄路線に乗り放題です。
そんなきっぷを利用できる機会が、筆者にもついにやってきました!
2018年9月の三連休に名古屋で用事があるついでに、その連休のうちの2日間にわたって東海地区の乗り鉄を楽しみました。
このきっぷでは、フリー乗車区間内に限るものの、別に特急券を買えば東海道新幹線に4回まで乗車できます。
それでいて、大人8,620円(小児4,040円)という格安な料金設定が、なかなか魅力的です。ただし、このきっぷは乗車券部分にすぎず、いまお話しした東海道新幹線や在来線特急列車に乗車するときには、別に特急券が必要です。

このきっぷで東海道新幹線に乗車できるのが大きな利点ですが、使い始めがちょっと大変です。
この記事では、まず「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」の概要をお話しします。そして、このきっぷを事前に購入して、乗り鉄の準備をした段階のお話をしたいと思います。
筆者は東海道新幹線も利用したので、乗車するための乗車券、特急券の組み合わせや条件も詳しく解説します。
「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」の概要

「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」は、冒頭で軽くふれたとおり、週末の2日間、東海道新幹線を含むJR東海全線の他、16社の路線に乗り放題の激安きっぷです。ただし、東海道新幹線の乗車は、条件付きです。
JR東海エリアの東端の熱海駅(静岡県熱海市)から西端の米原駅(滋賀県米原市)までの普通片道運賃は、6,050円です。それを考慮すると、JR東海全線2日間乗り放題で8,620円という価格設定が、かなり割安であることがお分かりになるかと思います。
JR東海エリアの私鉄路線の中でも、大井川鐡道、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、四日市あすなろう鉄道および名古屋市交通局の地下鉄が利用対象外です。その一方、JR西日本エリアの近江鉄道がこのきっぷの対象である点が、特徴的です。
東京にいながらこのきっぷを買えない、泣
「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」は、乗り鉄派には非常にコスパの高いきっぷです。最大のウィークポイントは、東京にいながらこのきっぷを購入できないことでしょうか。
発売箇所は、JR東海フリーエリアの窓口です。東京から最も近いJR東海の駅として思いつくのは、JR御殿場線松田駅(神奈川県松田町)や熱海駅と、東京都心からは決して近いとは言えない場所です。
同じことは首都圏だけではなく、近畿圏でもいえるかと思います。大阪からこのきっぷを買いに行くとすると、近い駅で三重県の津駅や亀山駅、もしくは岐阜県の大垣駅になるでしょうか。
大消費地である首都圏、近畿圏に在住する人たちにとっては、購入までのハードルが高いきっぷです。
東京から三島駅まできっぷを買いに行った、汗
東京から一番近いJR東海在来線エリアの駅は、熱海駅です。東海道新幹線に乗車する場合、一旦熱海駅で下車して、このきっぷを購入する必要があります。
しかし、筆者は東京駅から東海道新幹線のひかり号に通しで乗車したかったので、事前に三島駅まで出かけて、必要なきっぷ一式を購入しました(本当は熱海駅でも用を足せるのですが)。
東海道新幹線に乗車するための条件~ハードルが高い~
「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」を利用して、東海道新幹線に乗車する場合の条件が、非常に細かいです。
どのきっぷを購入すればよいかを自己判断するのが、正直なところ難しいです。JR東海の駅の窓口でこのきっぷを購入する際には、窓口の駅員さんによく相談する必要があります。
その点が、このきっぷを活用して東海道新幹線に乗車するうえでのハードルの高さでしょうか。

「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」を利用して、東海道新幹線に乗車するための主な条件としては、
● のぞみ号には乗車できない
● ひかり号、こだま号に4回まで乗車できる
● 熱海駅/米原駅に停車するひかり号・こだま号を通しで利用する場合に限って、指定席を利用可能
● 熱海駅/米原駅に止まらないひかり号利用の場合は、自由席しか利用できない
● 乗車券及び特急券を熱海駅/米原駅で分割して購入する必要がある。(通しの特急券は使用できない)
● 連続して有効な乗車券と特急券を用意すれば、「エクスプレス予約」の「e特急券」を利用することも可能
● グリーン車利用の条件はないので、グリーン券を購入すればグリーン車を利用可能
といったところでしょうか。
条件というか、注意点が大変多くて、改めてびっくりします。
東海道新幹線を通しで乗車するのに必要なきっぷの買い方
東海道新幹線に乗車するために、乗車券と特急券をあらかじめ用意しました。
乗車券としての「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」の有効区間は、熱海駅ー米原駅間です。その区間を越えて乗車するのに、別に乗車券を購入するのは、すぐに理解できます。
しかし、分かりづらいのが、特急券を分割して購入する点です。同じJR東海管内であっても、乗り鉄きっぷの区間内と区間外では、別々の特急券を用意しなければならないことに注意です。
熱海駅までの乗車券:普通乗車券
フリー乗車区間のはじめである熱海駅まで入るための乗車券として、
「東京山手線内→熱海駅」(新幹線経由)
の片道普通乗車券を購入しました。

熱海駅からの乗車券:JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ
熱海駅から有効な「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」本体は、「青春18きっぷ」と同じく、マルス券(12cm券)です。
通常の自動改札を通れるきっぷよりもサイズが大きいため、自動改札を利用できません。そのため、有人改札を通らなければならないのが不便です。
逆に、券面のサイズが大きいだけに、券面に記載すべき事項が見やすく表示されているのが利点です。
● 第1券片:乗車券本券

● 第2券片:新幹線に乗車するときに呈示するもの。乗車するたびに入鋏されます(スタンパー)。

● 第3券片:フリー乗車区間のご案内(文字)

● 第4券片:きっぷのご案内(注意事項)

● 第5券片:きっぷのご案内(注意事項の続き)

特急券の買い方:エクスプレス予約の「e特急券」の併用も可能
東海道新幹線、在来線特急列車とも、自由席、指定席、グリーン車といった設備に関する制約は、特にありません。
ただし、東海道新幹線のひかり号を通しで利用する際、熱海駅/米原駅に停車しない列車を利用する場合、指定席を利用できません。その場合は実質的に、自由席の利用に制約されることになります。
いずれの場合も、在来線特急列車との乗継割引の適用は不可です。
所定料金の特急券か、「エクスプレス予約」の「e特急券」を使用するか、制限は特にありません。したがって、エクスプレス予約会員の人は、「e特急券」を利用するとおトクです。
● 東京駅―熱海駅間のe特急券

● 熱海駅―米原駅間のe特急券

そして、実際に東海道新幹線を通しで乗車した
乗車するためのきっぷが揃い、いよいよ東京駅から米原駅まで、ひかり号を通しで乗車しました。その時の体験は、以下の記事を参照していただきたいです。
Appendix:特急「しなの」号乗車に必要なきっぷの買い方
名古屋駅と長野駅を結ぶ特急「しなの」号においても、名古屋駅ー塩尻駅間のJR東海管内については、乗車券として「JR東海&16私鉄 乗り鉄★たびきっぷ」を使用できます。
塩尻駅を越えて「しなの」号に通しで乗車する場合も、特急券を分割購入しなければならない点に注意が必要です。この場合、JR東海とJR東日本の部分を別々に分割購入すると考えれば、分かりやすいでしょう。

参考資料 References
● JR東海ウェブサイト「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」

改訂履歴 Revision History
2018年10月18日:初稿
2022年5月31日:初稿 再構成
2022年6月22日:初稿 加筆
2022年10月07日:初稿 加筆
2023年01月26日:初稿 修正
2023年4月07日:初稿 修正
2023年7月03日:初稿 修正
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