JR中央線を走る特急列車「富士回遊」「あずさ」「かいじ」号の乗車方法が、2019年3月のダイヤ改正から大幅に変わりました。
従前あった自由席の設定がなくなり、全車指定席化されました。それによって、乗車前に指定席特急券を購入するのが原則になりました。特急券を事前に買わないで乗車すると、大人260円の加算料金(車内料金)が課されます。
この記事では、中央線特急として3系統ある列車の中でも、富士急行線に乗り入れる特急「富士回遊」号に特化して、きっぷの買い方や座席の座り方を筆者の体験からお話しします。

週末や連休には混雑することが多いので、早めの座席指定がおススメ。
なお、中央線を走る別の系統である特急「あずさ」号や「かいじ」号の料金体系や乗車システムも、この記事でお話しする「富士回遊」号と全く同じです。参考にされてください。
特急「富士回遊」号の概要・利用パターン

特急列車の「富士回遊」号は、JR中央線から富士急行線に直通する便利な列車で、新宿駅と河口湖駅の間を1日に3往復します。そのうち、河口湖駅ゆきの1本は、千葉駅発です(富士回遊3号)。
朝には河口湖駅行きの下り列車が3本運行され、夕方には新宿駅行きの上り列車が3本運行されています。

目的地が富士山ということもあって、完全に観光性の列車です。富士五湖エリアが文字通り日本一の観光地ということもあり、インバウンドの外国人旅行者にも大人気の列車です。外国人だけでなく、日本人観光客にも多く利用されます。
そんなこともあって、特に土休日には列車が混雑して、満席になる傾向が強いように見受けられます。

富士回遊号で使用される車両は、新しいE353系車両です。座席にはスマホ用の電源コンセントやWIFIが完備されていて、快適に過ごせます。
富士回遊号は、富士急行線内のキャパシティの関係で、3両の短い編成で運行されます(大月駅までは、あずさ・かいじ号と連結)。グリーン車は連結されておらず、全車普通車指定席です。したがって、この記事で扱うのは、普通車指定席になります。
富士回遊号は、JR線から富士急行線に乗り入れるため、乗車パターンとして次の2つが考えられます。これらのパターンのいずれかによって、きっぷの買い方が異なります。
● JR線を含んだ区間を乗車する場合
● 富士急行線内のみ乗車する場合
富士急行線内のみ乗車する場合、特急券や乗車券はJR駅にある「みどりの窓口」やネット予約の「えきねっと」を利用することはできず、富士急行線内の乗車駅で購入します。
JR線区間を含む場合の指定席特急券・乗車券の買い方
富士回遊号の発駅である新宿駅・千葉駅から大月駅までの区間を利用し、この区間内の駅で乗降する場合、普通の乗車パターンとなります。次の方法で、指定席特急券(および乗車券)を事前に購入します。
事前に座席指定された特急券を購入する場合
● JR駅のみどりの窓口・指定席券売機で購入
JR線の区間を含む限り、どの区間のきっぷでも購入できます。駅員さんと相談しながらきっぷを買うことができますが、ネット割引運賃は利用できません。
また、乗車する列車を特定しない「座席未指定券」も購入することが可能です(満席時を除き、筆者的には利用をおススメしません)。

富士急行線内の駅から乗車し、駅の窓口で購入する場合については、この記事の後半で別途説明します。
● ネット予約「えきねっと」を利用
「えきねっと」でも富士回遊号の特急券や乗車券を購入できますが、富士回遊号にはあいにく、ネット割引料金の「えきねっとトクだ値」の設定がありません。したがって、ネット予約でも所定運賃・料金のきっぷを買うことになります。
えきねっとでは、座席未指定券を購入できません。
富士回遊号でも、チケットレス特急券を利用可能です。その場合、えきねっとで予約購入を行います。
座席指定なしに列車に乗車する場合
また、これらの手段で事前に座席指定の特急券を購入する以外に、次の手段もあるといえばあります。
● 座席未指定券(事前料金)を購入しておき、列車に飛び乗る
● 特急券なしで列車に飛び乗り、車内料金で特急券を車内で購入する(無札)

富士回遊号の場合は、特急券無札で乗ることはあまり考えられませんが、可能性を完全には排除できません。どちらかといえば、満席で座席指定を受けられず、やむを得ず座席未指定券を購入する可能性のほうが高いです。
無札の場合、車内加算料金260円(大人)が徴収される上に、座席指定も受けられません。いいことがないので、極力座席指定を受けてから乗車しましょう。
乗車券について
富士急行線内では、SuicaやPASMOといった交通系ICカードを使えます。紙のきっぷをあらかじめ買う必要はありませんが、紙のきっぷを買ってももちろん大丈夫です。
富士急行線内発着の紙のきっぷは、JR区間が含まれればJR駅や「えきねっと」で購入することも可能です。
富士急行線内から乗車する場合の指定席特急券・乗車券の買い方
乗車する区間に、大月駅以東のJR線区間を含むか含まないかで、購入できる駅やきっぷの様式が異なります。
富士急行線内の駅発着でJR線の区間を含む場合
この場合、座席指定された特急券を富士急行線内の発駅の窓口でも購入できますし、JR線の他の駅でも購入できます。
JR線にまたがって乗車する場合、どの駅で買ってもマルス券の8.5cm券が発券されます。
「えきねっと」で決済したきっぷを富士急行線内の駅で受け取ることができないので、注意してください。
富士急行線内で乗車が完結する場合
富士急行線内の大月駅と河口湖駅間のみを利用する場合、JRの駅で特急券を購入することはできません。大月駅から乗車する場合であっても、富士急行線の窓口で特急券や乗車券を購入します。

富士回遊号を富士急行線内だけ利用する場合、座席指定を受けられません。赤色ランプ(インジケーター)の空席に座ることになります。

なお、乗車券として、交通系ICカードを使用できます。紙のきっぷも使えますし、富士急行線内のフリーパスを使用することもできます(券面に「特急」とあっても、富士回遊号の特急券を別に購入)。
富士回遊号などで使用する特急券の「座席未指定券」については、別の記事に分割しました。座席未指定券の詳細な情報については、以下の記事(↓)を一読ください。
「富士回遊」号の座席の座り方~ランプの色の意味~

全席指定席の「富士回遊」号の各座席には、当該座席の販売状況を示す3色のランプ(インジケーター)が付いています。このランプの色は、座席の販売状況次第でリアルタイムで変わります。
ランプの色には3つあり、それぞれの意味は次の通りです。
● 赤色:販売される見込みのない席(しばらくの間空席)
● 黄色:販売された席(これから先の駅から間もなく席が埋まる)
● 緑色:販売された席(誰かがすでに座っているはず)
座席指定された特急券を買って乗車し、指定された正しい座席であれば、このランプが必ず「緑色」になっています。万が一他の色になっている場合、間違った席に座ろうとしています。
乗車する前に座席指定を受けられずに座席未指定券や無札で乗車した場合、まだ売れていない「赤色」もしくは「黄色」のランプが付いた座席に座ります。
この場合、いつでも当該座席が販売されて、ランプが突然「緑色」に変わって、座席指定を受けた(特急券を正しく買った)乗客が乗ってくる可能性があります。
臨時で運行される中央線特急の中には、E257系など、本記事で説明したE353系車両ではない車両で運行される場合があります。この記事の最後に実例を載せましたが、座席の上にランプがなく、乗客同士のトラブルの可能性があるように思います。
河口湖駅から「富士回遊」号に乗車!

44号:河口湖駅 16:51分 →(富士急行線、JR中央線経由)→ 新宿駅 18:43分
筆者が実際に乗車したのは、日曜日の夕方に河口湖駅から新宿駅まで向かう、富士回遊44号。

発車20分前に河口湖駅に到着した時には、多くの人で混雑していました。駅の出札窓口にも長い列ができていて、窓口をチェックしている場合ではありませんでした。

平素であれば、富士山自体が外国人に人気の観光スポットです。多くの外国人で賑わう場所です。当然、日本人観光客も多いです。そんなことに加え、日曜日の上り列車ということもあって、河口湖駅を出発した時点で座席はほぼ売り切れでした。
日本人観光客だけでも混んでいるのに、外国人観光客が加わったら、どのような混乱がやってくるのだろうと思います。週末は、3両では輸送力が不足していると感じます。

富士回遊号が発着するホームは3番線。ホームに向かう通路は、開放感があります。
発車時刻の16:51分の15分前に車内に入ることができました。

車両に設置された行先表示のLED画面。「富士回遊」と表示される列車名が映えています。

本来の行先表示が明瞭です。自由席はなく、全車指定席です。まずは、日本語。

「富士回遊」号の英語の名称が「Fuji Excursion」であることが分かります。
乗車したE353系の車内座席の上にはランプ(インジケーター)があって、座席の予約状況によって色が変わります。

この日は満席であったため、予約済みの緑色、もうすぐ予約済みになる黄色の表示ばかりでした。河口湖発車時点でまだあった赤色の表示もすぐに黄色に変わりました。
このシステムを外国人観光客がすんなりと理解するのは、正直難しいと思います。以前乗車した時には、実際に予約済みの席に外国人が先に座ってしまったりして、混乱が見られました。
混雑時には、あらかじめ座席指定を受けておかないと、赤色の席を求めて移動を繰り返す流浪の民になります。えらい目に合うこと、間違いありません。
大月駅で「あずさ」号と連結!
河口湖駅を発車してから、大月駅に着くまでの富士急行線内の区間を、数十分かけてゆっくりと走ります。

途中停車する下吉田駅を出てすぐのところに、富士山のビュースポットが一瞬あり、見事な風景です。

大月駅から先は、満席でした。頭上のランプも全席緑色に変わりました。

そして、大月駅で連結作業。作業員や駅員が数人待ち構えていて、あずさ号が到着してから作業が進みました。
大月駅からはJR中央線に走り、高速で疾走します。大月駅で乗り換えなしの直通特急列車は、やはり便利です。願わくは、富士回遊号の運行本数が増えることを。この路線、お客さんはいくらでもいますから。。。
大月駅での「あずさ」号との連結作業
富士回遊号が先に到着し、後からあずさ号がくっつきます。作業はテキパキと行われました。
おまけ:臨時「かいじ」号にも乗車【E257系車両】

新乗車システムが導入されている中央線特急。車両が新しいE353系であることが前提です。
しかし、一部の臨時列車にはE353系車両が充当されず、古いE257系の車両が割り当てられることがあります。それでも新乗車システムが適用されるため、これは混乱するかもという例です。
かいじ73号:新宿駅 7:03分 →(JR中央線)→ 大月駅 8:01分

「かいじ」号には、「えきねっとトクだ値」の設定があります。
臨時のかいじ73号に乗車するのに、えきねっとを利用し「トクだ値」で予約しておきました。乗車14日前までの早割「お先にトクだ値」で、30%引きの運賃・料金です。
このかいじ73号は、新宿駅を7時ちょうどに出発するあずさ1号の続行列車でした。この日はとてもすいていました。

座席の上には、当然予約状況のランプ(インジケーター)はありません。このシステムを知らないで、先に座っている人が存在する可能性が考えられます。幸い、この日はすいていたので、特に問題はありませんでした。

背もたれのテーブルにも注意書きのシールが貼ってあります。それでも、先客が座っていると、譲ってもらうのにためらいを感じそうです。
中央線特急には「自由席」という概念がなくなったのと同時に、事前に指定席特急券を買っておかないと加算料金がかかるというシステムに変わりました。利用者は、よく知っておく必要があります。
参考資料 References
● 富士回遊号(富士山麓電気鉄道ウェブサイト)2023.01閲覧
改訂履歴 Revision History
2019年4月28日:初稿
2022年7月02日:第2稿
2023年01月27日:第2稿 修正
2023年4月07日:第2稿 修正
2023年7月04日:第2稿 修正
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