大阪・京都・名古屋から三重県の伊勢志摩を結ぶ近鉄特急。
その中でも異彩を放つのが、観光列車の「しまかぜ」号です。全席デラックス席およびサロン個室の豪華列車です。週に6日間運行していて、とても人気があります。
近鉄特急には都市間の大量輸送のための特急列車があったり、観光地に向かう特急列車が走ったり、列車によって性格が様々です。その中にあって、しまかぜ号は観光に特化した列車と断言できるでしょう。
この記事では、近鉄名古屋駅ゆきの「しまかぜ」号に乗車するきっぷを準備する方法を説明し、そして実際に賢島駅(三重県志摩市)から乗車した体験をご紹介します。

グループには個室がおススメですが、早い者勝ちです。予約が取りにくい列車ですが、一般の特急列車よりもはるかに快適に移動できます。
しまかぜ号に乗車するまで ~列車の予約~

近鉄特急「しまかぜ」号は、大阪難波駅・京都駅・近鉄名古屋駅から賢島駅までの区間を、それずれ週6日、1往復づつ運行されています。平日のうち1日を除く毎日です。近鉄特急の中でも最豪華列車に位置づけられ、乗車するための料金も一番高額な部類に入ります。

豪華列車であるのと同時に速達タイプの特急列車で、途中の停車駅が非常に少ないのが特徴です。伊勢市駅から賢島駅までの区間は、観光地最寄りの主要駅に停車します。
「しまかぜ」号の設備(座席の種類)
最初に、しまかぜ号の設備についてお話をしたいと思います。
6両編成の列車のうち4両が一般のデラックス席(プレミアムシート)、1両が個室、そしてもう1両がカフェ車両です。これらの車両のうち、予約できるのはデラックス席と個室です。
● デラックス席(プレミアムシート)

1列3席の特別車両仕様の座席です。座席の定員が112名で、しまかぜ号の中では一般席に位置づけられる設備といえます。1号車と6号車はハイデッカーの展望車両で、2号車と5号車は一般車両です。
● サロン席

個室車両(3号車or4号車)に3室あり、グループやファミリー向けの設備です。コンパートメントタイプの各個室の定員は6名で、4名以上で予約できます。
● 和風個室

個室車両(3号車or4号車)に1室だけあります。個室の定員は4名で、3名以上で予約できます。カフェ車両で販売している商品をルームサービスで利用できます。
● 洋風個室

同じく、個室車両(3号車or4号車)に1室だけあります。個室の定員は4名で、3名以上で予約できます。カフェ車両で販売している商品をルームサービスで利用できます。
「しまかぜ」号のきっぷの準備
近鉄特急の中でも最豪華列車の「しまかぜ」号は全車指定席で、乗車するためには乗車券の他、特急券・特別車両券が必要です(特急券・特別車両券はセットで発売)。この列車は人気がある観光地を結ぶ人気列車だけに、予約の取りにくさが乗車するための最たるハードルだと思います。
いま申し上げた列車の定員、一般のデラックス席で112席、個室を含めて138席と少ないです。個室は言うまでもなく早い者勝ちで、一般のデラックス席でも繁忙期は取りにくいことがお分かりになるかと思います。
【特急券の発売開始時期】
近鉄特急の特急券の発売開始が乗車1か月前の10:30分からです。少なくとも、個室はそのタイミングで予約しないと席が押さえにくいと思料します。
【特急券を購入できる箇所】
特急券を購入する手段として、次の3つの方法があります。
● 近鉄線の有人駅窓口で購入
● 近畿日本ツーリストなどの旅行会社で購入
● インターネット予約販売サイトでオンライン決済
近鉄線の駅で購入するのが最も確実な方法なので、近鉄沿線以外に住んでいる場合は予約するのがその分不利かと思います。遠方に住んでいる場合、主要な旅行会社が頼みの綱となるでしょう。
ネット予約「近鉄電車インターネット予約・発売サービス」を利用して予約購入すると、とても便利です。ただし、ネットで決済できるのは特急券だけで、乗車券は現地もしくは旅行会社で購入する必要があります。
会員登録なしでも利用できるようになっており、クレジットカードでオンライン決済するか、近鉄線の駅で決済するか選択できます。ログインなしに席番表を参照できるので、見てから席番を希望してきっぷを買うことも可能です。
ネット予約を活用すると、住んでいる場所を問わず土俵に立つことができます。
筆者が乗車の予定を立てたのは、乗車1か月前の発売開始のタイミング以降でした。それでも、事前にネット予約でチケットレス特急券として運よく席を予約できました。

【乗車に必要なきっぷ】
しまかぜ号に乗車するために必要なきっぷは、しまかぜ特別車両料金を含んだ特急券と乗車券です(和風・洋風個室が取れた場合は個室券も必要)。
乗車券については、交通系ICカードで乗車することもできますし、駅の窓口でも乗車券を購入できます(クレジットカード決済可能)。

いざ賢島駅へ!

伊勢志摩国立公園に位置する賢島駅に降り立ちました。

賢島駅のある地域は、かつて伊勢志摩サミットも行われた高級リゾート地です。駅前には特にこれといったものはありませんが、駅ナカには伊勢志摩サミットの資料館があります。

賢島駅には、列車の発車時刻の1時間以上前に到着しました。しまかぜ号の空席案内ボードには、大阪・京都・名古屋行きとも満席である旨が表示されていました。この列車の人気ぶりをうかがい知ることができます。

発車時刻の30分前の賢島駅の改札口。10分刻みで特急列車が発車する中で、名古屋行きのしまかぜ号が3本目の発車でした。改札口を通して、中には普通列車の車両としまかぜ号の車両2編成分が見えました。
しまかぜ号の車両とご対面!~車両外装について~

早めに改札口からホームへ。3番線にはすでに名古屋行きの編成が入線していて、車内の準備中でした。改札口から見る列車は、進行方向の最後尾です。

しまかぜ号の編成の最前部。発車20数分前では人がほとんどおらず、静かでした。
1号車は客室がハイデッカーになっていて、大変眺めの良い座席です。運転席の前面デザインも、特別感があります。

ホーム上にあるしまかぜ号の乗車位置の案内。きれいな状態で、これから乗車しようとすると、心が小躍りします。

車両の側面に描かれたしまかぜ号のロゴマーク。リアス式海岸の伊勢志摩地域に合った海風をイメージさせるデザインです。

4号車の側面。カフェの車両のみブルーの塗装になっています。

5号車の側面。一般の車両は白の塗色です。お世辞にも外見が良くない近鉄特急の車両の中では、際立ってデザインが良いです。
車内の様子

車内の準備ができて、ドアが開いてから車内へ。
5号車は一般車両で、横3列のデラックス席が並んでいます。座席の後ろから見ると、座席の背もたれにテーブルがついています。

座席を前から見たところ。飛行機のビジネスクラスの座席のような感じです。

1号車のハイデッカー座席の入口にあるデッキ。段差があるので、高齢者にはあまり向かないかと思います。

同じ車両のデッキには、無料で使えるロッカーがあります。中型のキャリーバッグであれば、鍵付きのロッカーに入れられます。大型のものは鍵のかからないところに置けますが、使用するにはいずれも早い者勝ちです。

1号車の最前部。しまかぜ号の場合、最前部が共用ラウンジではなく、いきなり展望座席です。
名古屋行きの列車の場合、1号車1番の座席がとれれば、2時間にわたって最前部の展望を独占できます。

展望座席から見た運転席。眺めは抜群です。

個々の座席をみてみたいと思います。一人掛けの座席には、電動のリクライニングとフットレストが付いていて、飛行機のビジネスクラスのような豪華な設備です。シートピッチも125cmと、余裕で足を組める足元の広さです。

こちらは二人掛けの座席。

各座席に付いているのは、電動で動く座席のコントローラー。リクライニングの調整とレッグレストの出し入れができます。

3号車の個室、サロン席にまだ人がいなかったので、撮った写真を共有します。
1編成で1室しかない和風個室。取れれば極楽の旅間違いなしです。

こちらも1室だけの洋風個室。さながらカラオケボックスのような雰囲気です。

コンパートメントのサロン席は3室あるので、個室よりはいくらかは取りやすいと思います。大きなテーブルがあって、使いやすい座席です。

4号車のカフェ車両はダブルデッカーになっています。カフェスペース入口の階段。

1階のカフェの座席は赤色。狭い空間です。

2階のカフェの座席は緑色。開放感がある空間です。

発車前の物販カウンターは、まだ準備中でした。
夏休み期間だけしまかぜ号のクリアファイルが売っているとのことでしたが、すでに品切れとのことで、残念でした。
近鉄名古屋駅に向けて発車!
賢島駅 15:40分 →(近鉄鳥羽線・名古屋線経由)→ 近鉄名古屋駅 17:44分
賢島駅での発車時刻が迫るにつれて、乗客が列車に乗ってきました。まだ満席にはならない状態で発車。伊勢市駅で多くの乗客が乗ってきて、予約状況通り満席に。
伊勢市駅までは多くの駅に停車していたが、そこからは近鉄四日市駅のみに停車して、終点の近鉄名古屋駅まで疾走。

各車両にアテンダントさんが車内販売に回ってきて、しまかぜ号の特製のおしぼりと記念乗車証を配ってくれました。

終点の近鉄名古屋駅には、定刻に到着。多くの人がホームに降りて、混雑していました。
まとめ
しまかぜ号は速達性のある列車で、ゆったりと非日常空間を愉しむのはもちろん、飛行機の快適性を追求できる列車に感じました。一般の特急列車と比べて乗り心地がまるで違うので、人気を保つのではないでしょうか。
乗車するまでに特急券・特別車両券を準備する必要がありますが、人気列車だけに予約が取りにくいです。ネット予約や旅行会社をうまく活用したいです。
参考資料 References
● 「しまかぜ」公式ウェブサイト(近畿日本鉄道)2023.02閲覧
● 近鉄電車インターネット予約・発売サービス
改訂履歴 Revision History
2019年9月16日:初稿
2023年02月02日:初稿 再構成
2023年4月07日:初稿 修正
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