チケットレスでJR東日本管内の新幹線(*)に乗車できるサービス「新幹線eチケット」が、2020年3月に始まりました。
新幹線に乗車する際、主な「交通系ICカード」や「Androidスマホ」(モバイルSuica)、「iPhone」(Apple PayのSuica)を、「えきねっと」での予約内容と紐づけて利用します。
現行の「えきねっと」では、決済したきっぷの領収書について、ネット上で「PDFファイル」として発行することが可能です。自分のプリンターで印刷すると、領収書として利用できます。PDFをそのまま電子領収書(データ)として保存することも可能です。
PDF形式の領収書は、スマホやPCの「ウェブブラウザ」からだけではなく、スマホの「えきねっと」アプリから出力することも可能です。
この記事では、PDF形式の「領収書」を自分でダウンロードして利用する方法と、「新幹線eチケット」の情報が記録された「紙のきっぷ」を、駅の指定席券売機等で発券する方法を、実際のサンプルをお見せしながら説明します。

えきねっと上で取得するPDF領収書(電子データ)は、インボイス制度における適格請求書の要件を満たしています。領収書発行の操作方法は、スマホでもPCでも同じです。
* 東北・(JR北海道)北海道・秋田・山形・上越・(JR西日本区間を含む)北陸新幹線
駅では紙媒体の領収書は発行されない~紙のきっぷは発行可能~

「新幹線eチケット」を利用する際、領収書として提供される媒体は、PDF形式のファイルだけです。現在、駅では紙の領収書(現物)は発行されません。
余談ながら、2021年6月以前の「旧」えきねっとでは、駅で紙のきっぷを受け取る際に、紙の「ご利用票&領収書」も一緒に発行されました。
領収書については、紙媒体では一切発行されなくなりました。しかし、「新幹線eチケット」の情報が記録された紙のきっぷ「そのもの」を駅の指定席券売機等で発券し、引き取ったきっぷで自動改札を通ることは可能です。
本来はチケットレスで自動改札を通りますが、「交通系ICカード」を用意できない場合や忘れた場合、スマホの電池切れやシステムエラーなどの不具合がないとも限りません。そのようなケースではチケットレス乗車ができず、困るかもしれません。
転ばぬ先の杖として、「新幹線eチケット」を紙のきっぷとして発券して利用する方法についても、あらかじめ知っておきたいものです。その方法も、この記事で詳しくご説明します。

「紙のきっぷ」を知っておくと、いざという時安心ですね。
「新幹線eチケット」サービスを初めて利用する場合の「交通系ICカード」の登録・新規予約方法については、以下の記事をあわせて参照してください。
筆者が「新幹線eチケット」サービスを実際に利用した体験に関しては、以下の記事もあわせてご一読ください。
PDF領収書の発行方法・手順
会社の出張旅費などで経費精算をする際、領収書が必要な場合があろうかと思います。ここでは、新幹線にチケットレス乗車した場合の領収書の発行方法・手順を説明します。
JR東日本管内の新幹線にチケットレス乗車した場合、東海道・山陽新幹線と違って、ご利用票や紙の領収書といったエビデンス(乗車した証拠)になるものは一切発行されません。
「えきねっと」ウェブサイト上から「PDFファイル」として保存した領収書を自分で印刷して、エビデンスとして提出することになります。
【PDF領収書を発行する手順】
以下の画面はPCで表示したものですが、スマホでも同じ画面を表示することが可能です。
(1) 「えきねっと」のマイページ上に表示された直近の乗車予定、もしくは申込履歴から該当する予約を表示します。

※ 乗車した日から概ね6か月前まで遡って、PDF領収書の発行が可能です。
(2) 「ご利用票兼領収書を発行する」をタップします。「申込内容の確認に進む」をタップし、詳細を確認した上で「ご利用票兼領収書を発行する」でも大丈夫です。

※ 決済後、乗車前でも乗車後でも、PDF領収書の発行が可能です。筆者が検証した限り、乗車した日から概ね6か月前まで遡って発行できます。
(2-1) 詳細表示をする場合、予約内容を確認し「ご利用票兼領収書を発行する」をタップします。

(3) 領収書の宛名を自分で入力して「領収書を発行する」をタップします。1行目、2行目とも入力することも、2行目だけに入力することも可能です。

(4) 領収書がPDFファイルとして、PCもしくはスマホに保存されます。PDFファイル「そのもの」を送信することも可能ですし、PDFファイルを印刷して「紙」として提出することも可能です。

なお、駅で紙のきっぷを発券した場合であっても、現在は「ご利用票兼領収書」が紙で発行されません。あくまでも、自分でPDF領収書をPC・スマホ上で保存する必要があります。
電子領収データとしてのPDF領収書(適格請求書)
「新幹線eチケット」の予約システムである「えきねっと」を、業務出張などビジネスで利用する場合、領収書のフォーマットが気になるのではないでしょうか。
上述の手順にて「えきねっと」のマイページからダウンロードしたPDF領収書は、電子領収書データとして利用できます。
当該領収データには、2023年10月から始まるインボイス制度における適格請求書に必要な登録番号および消費税率が記載されています。公共交通機関にあっては、3万円未満の取引には適格請求書の発行は義務ではありません。しかし、えきねっと利用の取引では、金額を問わず適格請求書の取得が可能です。
えきねっとからダウンロードしたPDF領収書の様式自体は至ってシンプルですが、「発行日」には日時が分単位で記録されています。また、「発行番号」も一意であると推測します。

PDF領収書のファイル名は、下図から「(日時14桁の数字)_ryoshu.pdf」と規則的なのがわかります。領収書のPDFファイルに付されたタイムスタンプも、上記の発行日やファイル名と一致します。そのタイムスタンプにより、改ざん防止措置が施されているといえます。

したがって、えきねっとからダウンロードしたPDF領収書は、紙の領収書としてプリントするだけではなく、電子データとして保存できます。電子帳簿保存や適格請求書の関する詳細については、国税庁のウェブサイトなどで確認してください。
紙のきっぷの発行方法
交通系ICカードやスマホを忘れた場合、スマホの電池切れの場合、Suicaアプリが突然使えなくなった場合、交通系ICカードを用意できない場合、困りますね。そして、乗車した証拠として、使用済みの紙のきっぷが必要なこともまだまだ多いと思います。
そのような場合、決済したクレジットカードがあれば、「紙のきっぷ」を発行して自動改札を通ることができます。ここでは、その手順をご説明します。
なお、紙のきっぷではいくつか制約が発生します。そもそも、スムーズにチケットレス乗車できる「新幹線eチケット」サービスの醍醐味を味わえません。
あくまでも、何らかの事情がある場合の代替手段であり、本来の「新幹線eチケット」利用方法ではないことを、先にお断りします。
【一部区間が在来線の場合】
新幹線の区間を「新幹線eチケット」で、接続する在来線区間を「紙のきっぷ」で、あわせて1件として予約した場合、在来線区間の紙のきっぷを必ず受け取ります。その場合、紙のきっぷを受け取った時点で新幹線eチケットの変更が一切できなくなります。
(1) 駅の指定席券売機で「えきねっと予約の受け取り」を選択します。

(2) クレジットカードかQRコード(受取コード)を要求されたら、決済したクレジットカードを券売機に挿入します。

「新幹線eチケット」では、引き取りのためのQRコードが発行されません。そのため、紙のきっぷの引き取りには決済したクレジットカードが必要です。
(3) 紙のきっぷを発券する必要がない旨表示されますが、今回は発券するので「同意する」を選択します。

一度紙のきっぷを受け取ると、チケットレス乗車に戻ることができず、列車の乗車変更も一切できなくなります。慎重に受け取り操作をしてください。
(4) 内容を確認して「この予約を発券する」を選択します。クレジットカードの暗証番号の入力は不要です。

(5) 発券された紙のきっぷの様式は、以下の通りです。このきっぷを自動改札機に挿入して乗車します。

【参考】「ご利用票兼領収書」の様式(2021年6月以前のもの)
2021年7月以降は、このご利用票が指定席券売機から発行されなくなったため、PDFファイルを領収書として利用します。


紙のきっぷをよく見ると、「新幹線eチケット」での利用条件の制約がよくわかります。
● 新幹線のみ有効=途中下車不可、在来線乗車不可
● 受け取り後の乗車変更に制限がある
● 新幹線と在来線特急の乗継割引が適用されない
「新幹線eチケット」サービスの特長をもう一度復習

● 「えきねっと」を利用してネットで予約・決済を行う
→ インターネット環境と事前の決済が必要
● Androidスマホ、iPhoneもしくは主要交通系ICカードのいずれかが必要
→ 座席番号のメールでの確認など、スマホ利用者に最適なサービス
● 列車の発車時刻の寸前まで予約の変更が可能(紙のきっぷの受取前)
→ 予定変更が多い業務利用者には最適なサービス
● 大人の休日倶楽部割引や株主優待割引には対応。学生割引や障害者割引には未対応
→ 特定属性の乗客にとってはリーチしにくいサービスといえる
参考資料 References
● 「えきねっと」JRきっぷご利用ガイド

● 国税庁ウェブサイト 電子取引データ
改訂履歴 Revision History
2020年3月22日:初稿
2021年10月22日:第2稿
2022年02月10日:第2稿 修正
2022年5月11日:第2稿 修正
2022年5月17日:第2稿 修正
2022年6月03日:第2稿 修正
2022年6月21日:第2稿 修正
2022年6月28日:第2稿 加筆
2023年02月04日:第2稿 修正
2023年4月08日:第2稿 修正
2023年4月18日:第2稿 加筆
コメント