東武線・日比谷線直通「THライナー」座席指定券の買い方・乗車レビュー【2023年対応】

THライナー霞ヶ関駅にて 東武鉄道

東武伊勢崎線久喜駅(埼玉県久喜市)から地下鉄日比谷線に直通乗り入れし、上野や銀座といった東京都心に向かう有料座席列車「THライナー」。2020年6月から運行されています。

東武スカイツリーライン・伊勢崎線沿線から東京都心に出るには地下鉄頼みで、地下鉄半蔵門線か地下鉄日比谷線にそのまま乗車します。その中でも「THライナー」は、全車指定で着席が保証されている、東武線と地下鉄日比谷線の直通列車です。

この記事では、「THライナー」座席指定券の買い方を詳しく説明した上で、筆者が実際に乗車した際の体験、THライナーの利用価値について、筆者なりの考えを書きたいと思います。

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「THライナー」の停車駅・料金

東武線と地下鉄日比谷線を直通する「THライナー」は、平日・土休日ともに、1日当たり上り2本と下り5本の、一日あたり合計7本が運行されています。平日は、東武線沿線の駅から東京都心へ座って通勤するための列車として、土休日は都心への買い物などのお出かけ列車として利用すると便利です。

東武鉄道ウェブサイトから引用

「THライナー」を利用できる駅は、東武線内の久喜駅、東武動物公園駅、春日部駅、せんげん台駅、新越谷駅と、日比谷線内の上野駅、秋葉原駅、茅場町駅、銀座駅、霞ヶ関駅(と恵比寿までの各駅)です。北千住駅を含む、その他の駅からの乗降はできません。

地下鉄日比谷線内でこのような列車が走るのは初めてのことで、ライナーのことを知らない乗客が誤乗して、警備員に注意される場面を何件か見かけました。列車の向かう方向によって、乗れない駅、降りられない駅があることを知っておくとよいでしょう。

座席指定券の料金は、乗車する区間によって下表のとおりです。

区間大小料金(東武分)(メトロ分)
日比谷線内-久喜大人680470210
日比谷線内-久喜小児350240110
日比谷線内-せんげん台大人580370210
日比谷線内-せんげん台小児300190110
2023年4月現行の料金

● 上表の「日比谷線内」駅に含まれる駅:上野駅・秋葉原駅・茅場町駅・銀座駅・霞ケ関駅

● 上表の「久喜」駅に含まれる駅:久喜駅・東武動物公園駅・春日部駅

● 上表の「せんげん台」駅に含まれる駅:せんげん台駅・新越谷駅

座席指定券を事前に買わずに乗車してしまうと、車内料金として200円(大人小児とも)が加算されてしまいます。座席指定券を事前に購入してから、乗車しましょう。

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東武線内特急列車との所要時間・料金の比較

東武鉄道ダイヤ改正告知

いまお話ししたように、地下鉄日比谷線直通乗り入れということ以外、「THライナー」のダイヤには決定的な強みがありません。また、「THライナー」の座席指定券の料金は、いまお話しした通り、かなり高めです。

東武線内を走る特急列車「けごん」号「きぬ」号「りょうもう」号と「THライナー」の所要時間・料金を比較して、それぞれの優劣を考えたいと思います。比較する上で、ここでは東武線春日部駅以遠の駅を利用するのを前提にします。

● 所要時間の比較

特急列車に乗車する場合、日比谷線内は各駅停車を利用し、北千住駅で特急列車に乗り換えます。一方、THライナーは途中駅での乗り換えなしで利用できます(北千住駅では乗降不可)。

THライナーは、東武線内は急行運転ですが、日比谷線内は各駅停車と同じだけの所要時間がかかります(停車駅以外ドア扱いしないだけ)。日比谷線内は各駅停車を利用し、北千住駅で特急列車に乗り換えると、THライナーに通しで乗車するよりも、所要時間が短くなります。

駅名列車名標準所要時間備考
霞ケ関-春日部THライナー63分直通
霞ケ関-春日部特急けごん・きぬ号53分北千住駅乗換
霞ケ関-久喜THライナー77分直通
霞ケ関-久喜特急りょうもう号65分北千住駅乗換
2023年4月現在

● 料金の比較

日比谷線内は各駅停車を利用し、東武線内は特急列車に乗車する場合、特急料金は520円です。一方で、全区間で着席保証のあるTHライナーの料金は680円です。特急料金よりも高いです。

駅名列車名種別料金備考
北千住-春日部THライナー大人680直通
北千住-春日部特急けごん・きぬ号大人550北千住駅乗換
北千住-久喜THライナー大人680直通
北千住-久喜特急りょうもう号大人550北千住駅乗換
2023年4月現行の料金

上表より、東武線内は特急列車を利用するほうに分があります

日比谷線内の区間の着席保証があることにのみ、THライナー利用の強みを見いだせます。越谷市内のせんげん台駅、新越谷駅を利用する場合には、THライナーの利用価値があるといえましょう。

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乗車に必要なきっぷの買い方【東武線内】

全席座席指定の「THライナー」に乗車するには、乗車券もしくは交通系ICカードの他に、座席指定券を購入する必要があります。

なお、座席指定券が必要な有料区間は、東武線の久喜駅と日比谷線の霞ヶ関駅の区間です。上り列車の、日比谷線内霞ヶ関駅から恵比寿駅までの区間には座席指定券の設定がなく、乗車券だけで利用できます。

THライナー座席指定券

東武線内で座席指定券を購入できる場所は、停車駅である久喜駅、東武動物公園駅、春日部駅、せんげん台駅、新越谷駅のホームにある「特急券券売機」と、改札外の「券売機」「出札窓口」です。

これらの駅の周辺にあるの駅の「券売機」「出札窓口」でも購入できます。東武線内では比較的、座席指定券の事前購入がしやすいです。

久喜駅出札窓口

久喜駅では、上りホームにある特急券券売機で、THライナーの座席指定券(当日分)も購入できます。

久喜駅当日特急券売り場

これから、駅の改札口にある券売機で座席指定券を購入する時の主な画面遷移をご紹介します。最初の画面で「THライナー」を選択します(タッチパネルの左下部分)。

券売機操作画面

列車を降りる駅を選択します。霞が関から先の各駅は、座席指定券の設定外の駅となるため、霞ケ関駅以遠まで乗車する場合は「霞ヶ関」を選択しましょう。

券売機操作画面

当日(前売の場合、選択した日)空いている列車が表示されるので、乗車する列車を選択します。

券売機操作画面

座りたい座席の位置を指定します。座席を選ぶ上で留意点は、次の通りです。

● 基本は座席表から選んだほうが良い(戸袋がなく景色がよく見える席は、各号車5/8/11番のA/D席)

● 優先席としても使われる車端部のロングシートも指定席として販売される。有料座席なので譲る必要はないが、ベビーカー、車いすや大きな荷物を持ち込む場合はロングシートを選ぶと便利。

券売機操作画面

シートマップが表示されたら、座りたい座席をタッチして選択します。

券売機操作画面

日付と列車番号、人数と座席位置を確認してよければ、現金または交通系ICカードで決済します(領収書発行可)。

券売機操作画面

きっぷが発券されるので、忘れずに受け取ります。

券売機操作画面
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乗車に必要なきっぷの買い方【地下鉄日比谷線内】

東京メトロ日比谷線内で「THライナー」の座席指定券を購入できるのは、停車駅である霞ヶ関、銀座、茅場町、秋葉原、上野駅の改札外にある券売機(前売可)もしくはホームにある券売機(当日発車直前のみ)のいずれかです。

券売機操作画面

改札外にある券売機では、翌日以降の前売分、そして東武線の駅からの上り列車の分も購入できます。往復で座席指定券を購入したい場合、便利だと思います。

THライナー座席指定券うりば

ホームにある券売機では、乗車当日の次の列車の座席指定券のみ、発車60分前から列車の発車時刻までの間、購入可能です。表示に従って、券売機に向かいます

THライナー座席指定券うりば

発車60分前になると、ホームにある券売機が稼働を始めます。

券売機操作画面

券売機のタッチパネルには、次に発車する列車のみ表示されます。乗車する列車名を押します。

券売機操作画面

降車駅を選択し、次の画面で人数を選択します。

券売機操作画面

発車時刻の15分前までは、座席表が表示されて、自分で席番を選択できます。発車15分前を割り込むと、自分で選択できなくなり、席番は一方的に割り当てられる形になります。

THライナーには、あらかじめ予定して乗車する人よりも、その場で乗車を決める人のほうが圧倒的に多いと思います。そんなわけで、間際で座席指定券を買うわけです。結局、自分で席番を指定できる可能性は少ないのかなと考えます。

東武線からの上り「THライナー」4号に実乗!

久喜駅から恵比寿駅まで、全区間乗車しました。この日は日曜日なので、土休日ダイヤでした。

4号:久喜駅 9:23分 →(東武伊勢崎線/スカイツリーライン・地下鉄日比谷線経由)→恵比寿駅 10:53分

THライナー座席指定券

筆者が久喜駅に到着したのは、9時ちょうどでした。

東武久喜駅駅名標

9時過ぎに東京都心へ向かう列車には、THライナーの前に区間急行とりょうもう号の2本があります。始発の久喜駅から、わざわざTHライナーに乗車する人は少ないと思われます。

列車発車案内表示

列車が発車するのは、3番線ホーム。東武線の久喜駅で「恵比寿」駅行きの表示を向かけるのは、新鮮な体験でした。

列車発車案内表示

発車10分前の9:13分頃、東武動物公園方から回送で列車が入線してきました。

THライナー入線久喜駅にて

車両は、東武鉄道が新造した70090系。THライナーのために何編成も投入した東武鉄道の資本力がすごいと思います。

東武70090系

車両は4扉ながら、THライナーとして走行する時、開くのは各車両1か所だけです。ホーム上には、乗車位置の表示があります。

発車を待つTHライナー久喜駅にて

ほどなくドアが開いて、車内に入れました。扉の上にある行先表示は、一般の70000系車両、東京メトロの車両と同じものです。

車内案内表示板

車内の様子。進行方向の後ろから前を眺めます。THライナーとして走る場合、6人掛けのシートがクロスシートとして配置されています(間合い運用の場合、ロングシートの配置になります)。

THライナー車内

こちらは、列車の進行方向の前から後ろを眺めた写真です。

THライナー車内

実際に乗車した座席。リクライニングはできないものの、シートの質感は期待したよりも高く、座席コンセントとドリンクホルダーがついています。車内で、フリーWIFIも利用できます。

THライナー車内

後ろから前を見ても、そこそこのシートピッチが確保されていて、座り心地は悪くなかったです。

THライナー車内

車端部のロングシートの部分。間合い運用の際には、優先席として使われる部分です。ライナー用車両でも日比谷線と共通の規格の車両のため、トイレが設置されていません。これがTHライナーの最大の弱点で、最長1時間20分間乗車するのに、結構プレッシャーを感じます。

THライナー車内

定刻発車後恵比寿駅まで疾走!

運行開始2日目の日曜日ということもあり、乗車する人は列車を試乗するファン層が大半で、久喜駅から乗車する一般の乗客はほとんどいなかったです。

この列車の真価は、もう少し都心に近い駅にあるようです。せんげん台駅と新越谷駅では多くの一般乗客が乗ってきました。車内検札は東武鉄道の車掌ではなく、東武ビルマネジメント委託の警備員が2人組で巡回していました(日比谷線内まで担当)。

THライナー車内

東武線内では、「次の停車駅は上野、途中で降りることはできません」とアナウンスされていました。久喜駅から西新井駅を通過するまでは急行線を疾走し、梅島駅の手前で緩行線に移ってから、ゆっくりと走って、北千住駅で運転停車。

THライナー車内案内表示板

日比谷線に入ってからの停車駅では、ライナーの存在を知らずに誤乗してくる人が複数いました。そのたび、駅や車内の警備員に「乗れないので降りて」と叱られる人を見かけました。霞ヶ関駅以降は座席指定が解かれ、各駅停車列車として終点恵比寿駅まで乗車。中目黒駅まで客扱いしないのが、この列車の不思議です。

日比谷線恵比寿駅駅名標

日比谷線からの下り「THライナー」4号に実乗!

THライナーのデビューから2年経った2022年7月に、地下鉄日比谷線霞ケ関駅から平日の下り列車に乗車しました。下り列車は、夕方から夜にかけて運行される、通勤帰りの人にとって便利な列車です。

1号:霞ケ関駅 17:02分発 →(地下鉄日比谷線・東武伊勢崎線/スカイツリーライン経由)→ 久喜駅 18:19分着

THライナー座席指定券

17時前後に、夕方の通勤ラッシュが始まります。通勤ラッシュのピークからまだ早い時間から、1時間ごとにTHライナーが走ります。

平日の17時前の霞ケ関駅ホーム。THライナー待ちの人はあまりいませんでした。この時間帯は2分ごとに列車が発車するため、気ぜわしい雰囲気がありました。

THライナー霞ヶ関駅にて

THライナー1号は、17時00分に入線。すぐに発車しました。

THライナー行先表示板

THライナー1号の行先表示。新しい車両なので、表示がとてもきれいです。

THライナー車内案内表示板

車内の行先案内。

列車が発車してから途中の駅に停車し、ぼちぼちと乗客を拾っていきます。最後の乗車駅である上野駅を発車した時の席の埋まり具合は、クロスシート6か所中4か所程度でした。乗車率にして、20%前後でしょうか。筆者が思った通り、とても空いていました。

THライナー車内

日比谷線内は前の列車を追い抜くことなく、ゆっくり走り、北千住駅で運転停車。梅島駅まで緩行線を走り、西新井駅の手前で急行線に。

急行線に入ってから思いっきり速くなり、先行列車を追い抜いただけではなく、草加駅では急行列車を追い抜き。新越谷駅とせんげん台駅でほとんどの乗客が列車から降りて、その先はほとんど空気輸送。終点の久喜駅まで乗っていたのは、筆者だけだったと思います。

東武動物公園駅や久喜駅まで乗車する乗客が少ないので、春日部駅発着でも良いのかな、と思います。

THライナー、思うに

都心に向かう上りの列車の行先はなぜか、恵比寿駅。霞ヶ関駅でもなければ中目黒駅でもありません。東武線に向かう下り列車は、すべて霞ヶ関駅の始発です。THライナーの七不思議といったところでしょうか。

春日部駅以遠の乗客が日比谷線経由で終点まで乗車するというよりは、霞ケ関駅方面への通勤や、上野や銀座にお出かけという乗客が主流と思われます。久喜駅から渋谷駅や恵比寿駅までの移動であれば、JR湘南新宿ラインのグリーン車で移動したほうがずっと快適です。

春日部駅以遠の遠距離客ではなく、新越谷やせんげん台といった近場からの利用客には利用価値があるような気がします。ただし、座席指定券が高く、毎日気軽に利用できるものではないように思います。

2020年のデビューは、大変時期が悪かったといえます。今後テレワークが進んで、通勤客が減少する可能性があるし、外出する人々も減ったら、この列車の利用が伸びないのかもしれないと思いました。

THライナーはあくまでも、東武線沿線の越谷市民のための御用列車といったところだと思いました。日比谷線のユーザーにとっては、次の各駅電車までの待ち時間が長くなってしまい、メリットはありません。

参考資料 References

● 東武鉄道 THライナー公式サイト

THライナー|東武鉄道公式サイト
THライナーに関するご案内です。THライナーの各種情報を確認いただけます。

● 東武鉄道 旅客営業規則

運送約款|東武鉄道公式サイト
乗車券・定期券・特急券に関するご案内です。各種乗車券に関する情報、特急券・TJライナー・THライナー着席整理券のご購入・予約方法、PASMOオートチャージサービスに関する情報などを確認いただけます。

● 東京メトロ 旅客営業規則

運送約款 | PASMO・定期・乗車券 | 東京メトロ
東京メトロのPASMO・定期・乗車券「運送約款」をご案内します。

改訂履歴 Revision History

2020年6月07日:初稿

2022年7月28日:第2稿

2022年7月29日:第2稿 修正

2023年02月06日:第2稿 修正

2023年02月13日:第2稿 修正

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