2020年7月に初めて発売が始まり、2022年度まで断続的に発売されていたフリーきっぷ「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」。
JR北海道管内の北海道新幹線を除く在来線に6日間乗り放題で、1枚12,000円と激安でした。このパスの最大の特長は、普通列車だけでなく、特急列車の自由席に無制限に乗車可能なことでした。そして、特急列車の指定席に乗車するために、4回まで座席指定を受けられました。
この記事では、現在発売が終了した「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の概要を記録として残します。筆者がこのパスを利用して、5日間にわたって道内をめぐった道中もご紹介したいと思います。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」誕生の背景
2020年、公共交通機関利用促進キャンペーン「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」が、北海道による施策として初めて実施されました。このキャンペーンは、道内の交通事業者に割引きっぷの販売を促すべく、きっぷの割引分を補助金で補填するものでした。
JR北海道ではその補助金を活用して、道内の在来線全線が6日間乗り放題の「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を販売したわけです。
2020年7月17日に初めて発売された時にはとても好評で、2か月と少しの2020年9月29日をもって、販売が終了してしまいました。全道の在来線特急列車が6日間乗り放題だったため、それだけ人気のあるきっぷでした。そんなわけで、北海道からの補助金の上限に達し、2020年度はわずか2か月強で販売予定数を消化してしまいました。

2021年度、2022年度にも、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」が同じ効力で発売されました。2022年度に入ってからは特に、北海道からの補助金投入が強く、準備でき次第積極的に発売されている状況でした。しかし、「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」が2022年度で終了し、このパスも発売終了となりました。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」のお値段

「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」は、連続する6日間にわたって乗り放題です。
JR北海道管内の在来線全線の特急列車(自由席)を含む全列車を自由に乗車できて、価格が1枚「12,000円」という破格のきっぷです。本来24,000円の価値があるきっぷですが、その半分の12,000円分は北海道からの補助金を活用し、実際には12,000円で発売しているわけです。
特急列車の普通車指定席の座席指定が「4回」無料で可能なため、広大な道内の長距離区間を指定席でゆったり旅することが可能です(北海道新幹線は利用対象外です)。
道内の都市間移動は長距離のため、運賃・料金が高額です。それゆえ、有効期間が6日間あって1枚12,000円という価格は、特にインパクトが強いです。
筆者も一発奮起し、このきっぷを利用して北海道での乗り鉄を5日間にわたって楽しみました。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の買い方・券面の説明

「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の発売方法に以下の縛りがあるため、パスを入手するために留意点があります。
● 発売箇所:JR北海道管内の主な駅(*)
● 発売期間:きっぷの使用開始の前日まで
* パスの発売自体は、北海道新幹線の「奥津軽いまべつ駅」および「木古内駅」でも行っています。
そのため、旅行開始の前日までに北海道入りし、JR北海道の駅に行って、きっぷをあらかじめ購入する必要があります。「えきねっと」での販売がないため、ネットで事前に購入しておいて、現地で受け取ることがそもそもできません。
上記の駅であれば、駅のみどりの窓口、指定席券売機、話せる券売機のいずれでも購入できます。参考までに、話せる券売機で購入する際の操作画面を、本記事の最後に掲載しました。
【筆者が購入のため取った行動】
首都圏に住む筆者は、道内周遊の前日、2020年9月21日に東京駅から北海道新幹線で木古内駅に入りました。そのまま木古内駅にあるみどりの窓口に行って、このパスをすぐに購入しました。
2020年9月下旬には販売数の消化がかなり進み、いつ販売が終了になるか、気をもむ状況でした。何とか購入できて、まずは買えて良かったという感じでした。9月29日の販売終了から8日前の購入だったので、かなりきわどかったです。
まずきっぷ本体を12,000円で購入し、その場で特急列車の座席指定を4回分取りました。その時は、道内の特急列車の混雑状況がそれほどでもなく、座りたい席の指定を4列車分難なく受けることができました。
【「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」の券面】
HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パスの券面構成は、以下の通りです。
● きっぷ本体
自動改札を通れるサイズの紙のきっぷです(マルス8.5cm券)。
座席指定を受けた分だけ「★」が券面に記載されます。券面に余白があるので、途中下車印を押してもらうことも可能です。

● 4回分の指定券
きっぷ本体とは別の券が発行される形です(指のみ券)。実際に発券した指定券は、この記事の道中にそれぞれ掲載してあります。
● ご案内の券片
ご案内の券面は、以下の通りです。きっぷ本体に、使用者の名前を記入することになっています。書かなくても、特にとがめられることはありませんでした。


それでは、ここからは筆者の道中をお話ししていきます。
1日目(2020/9/22):函館駅→旭川駅

周遊の前日(9月21日)は、函館駅近のホテルに前泊しました。
翌朝(9月22日)の列車で、北海道内の周遊乗り鉄を始めました。
(1) 函館駅→白老駅(函館本線・室蘭本線)
特急北斗5号【指定席】8:55分発→11:37分着

乗り鉄の旅を始めた函館駅からは、特急北斗5号に乗車しました。2020年7月に白老町で開業した「ウポポイ」を訪れるために、途中の白老駅で下車しました。

特急北斗号の車両の先頭部。ここから北海道の旅が始まる、という感じのたたずまいです。

列車の行先表示は札幌行きですが、筆者は途中の白老駅で下車します。

函館駅を定刻で発車してから、3時間弱で白老駅に到着。この日は天気が快晴だったので、途中の駒ケ岳と噴火湾の風景が見事でした。指定席に乗車したため、とても快適かつ平和に移動できました。

白老駅にあるコインロッカーに荷物を入れてから、「ウポポイ」の正面入口までは、歩いて約10分でした。白老駅で列車を降りて徒歩で入る人は少なかったです。
あらかじめ「ウポポイ」の入場券と「国立アイヌ博物館」の入場予約をしていたため、スムーズに園内に入ることができました。

ウポポイに着いて、すぐにフードコートでランチ。
白老町産のポークで作られたカツカレーがおいしかったです。博物館のアイヌの展示と野外ステージでの芸能プログラムを楽しんで、3時間があっという間に過ぎました。

(2) 白老駅→苫小牧駅(室蘭本線)
普通437D 16:15分発→16:39分着

地元の人たちが利用する2両編成の列車。JR北海道管内の普通列車は、どの列車も結構人が多く乗車している印象があります。例によって、この区間も人が多かったです。
苫小牧駅までは、わずか20分強の移動でした。

(3) 苫小牧駅→岩見沢駅(室蘭本線)
普通1473D 17:13分発→18:48分着


筆者は札幌を通らず、スルーする旅程を組みたかったため、室蘭本線の普通列車で岩見沢駅まで直通する列車に乗車しました。
シルバーウィークの4連休の最終日の夕方の列車。1両の列車で、意外にも始発の苫小牧駅から終点の岩見沢駅まで通しで乗車する地元の人たちが多かったです。
途中で日が暮れてしまいましたが、架線が張られていない複線の線路は迫力があって、筆者的には好きです。

(4) 岩見沢駅→旭川駅(函館本線)
特急ライラック35号【指定席】 18:55分発→19:55分着


岩見沢駅ではわずか7分間の接続で特急列車に乗車し、夜の函館本線を1時間走って旭川駅に到着しました。
特急「ライラック」号の車両は、本来はグリーン車が連結した789系0代で、その車両がやってくるはずでした。しかし、銀色の先頭があれっという感じで、789系1000代の車両が到着しました。車両の運用のやりくりがつかず、代走していたとのことでした。それで、グリーン車がドロンと消えていたわけです。こんなこと、本州ならありえないことです。
そのために自由席が混んでいるようだったので、指定席をとっておいてよかったです。

旭川駅に到着後、旭川駅前のホテルに投宿。
ホテルで「旭川飲食おもてなしクーポン」なる食事券をもらうことができました。経済振興のための食事券で、2,000円分もらえました。クーポンを使い、駅前のイオンモールでラーメンをいただきました【2020年当時】。


旭川で1泊し、2日目(9月23日)は、旭川駅から宗谷本線で日本最北端の駅、稚内駅を目指しました。
この記事の続きは、以下のリンクをたどっていただきたいと思います。
Appendix:指定席券売機の操作画面

0.一部の駅では、近距離きっぷモードの画面が表示されています。「乗車券・特急券・おトクなきっぷ」を押して、次に画面に進みます。

1.初期画面にて、「おトクなきっぷ」を押します。

2.方面を選択します。「北海道内周遊型」を押します。

3.「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を押します。

4.使用開始日、人数を選択します(翌日以降の分が購入できます)。
5.内容を確認し、決済します。

参考資料 References
改訂履歴 Revision History
2020年11月08日:初稿
2022年5月26日:初稿 タイトル変更
2022年5月30日:初稿 再構成
2022年6月22日:初稿 修正
2022年7月08日:初稿 修正
2022年8月30日:初稿 修正
2022年9月29日:初稿 加筆
2022年11月02日:初稿 修正
2022年11月25日:初稿 修正
2023年02月07日:初稿 修正
2023年04月07日:初稿 修正
2023年04月28日:初稿 修正
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