東京駅・新宿駅から伊東駅を経由して、伊豆急行線の伊豆急下田駅(静岡県下田市)を結ぶ、全車グリーン車の特急「サフィール踊り子」号。サフィール踊り子号の運行のために新造されたE261系車両の車内はとても快適で、上質の空間と時間を楽しむことができます。
2020年3月から運行開始した列車ですが、運行開始からちょうど1年経った2021年3月になって、筆者も念願の「グリーン個室」に乗車することができました。
この記事では、サフィール踊り子号に乗車するために必要なきっぷの買い方、そして伊豆急下田駅から東京駅まで向かうサフィール踊り子4号の「4人用グリーン個室」に通しで乗車した筆者の体験をご紹介したいと思います。

非日常感を満喫できる贅沢列車ですが、お値段も張ります。グループやファミリーで利用する場合、料金単価が一般席と同額の個室利用がおススメです!
なお、E257系車両にて運行される(普通の)「踊り子」号について情報をお探しの場合、以下のリンクから筆者の別記事を是非ご参照ください。
「サフィール踊り子」号の概要

「サフィール踊り子」号には、東京駅から伊東駅を経由して伊豆急下田駅を結ぶ列車と、新宿・渋谷駅から伊東駅経由で伊豆急下田駅を結ぶ列車があります。
この列車は、JR線から伊豆急行線に乗り入れています。JR線の区間だけを利用する場合、JR線と伊豆急行線にまたがって乗車する場合、もしくは伊豆急行線内のみ乗車する場合が考えられます。いずれも座席が指定されますが、それぞれの場合できっぷを購入できる場所が異なります。
「サフィール踊り子」号は全車グリーン車の指定席で、E261系車両にて運行されます。3列シートの一般のグリーン車、2列シートの豪華仕様のプレミアムグリーン車(20席)、そして4人用と6人用のグリーン個室(各4室づつの計8室)で構成された8両編成の列車です。
自由席はなく、全車指定席のため、乗車するためにはあらかじめ特急券・グリーン券を購入しておく必要があります。「サフィール踊り子」号ではない(普通の)「踊り子」号では、座席未指定券を持って列車に飛び乗ることもできなくはないですが、サフィール踊り子号の場合はそれができません。
「サフィール踊り子」号の座席の設備
全車グリーン車の座席ですが、その中でも3種類の座席のグレードがあります。

● プレミアムグリーン車
横2列の座席で豪華リクライニングシートの、一段上級のグリーン車。合計20席の設備です。新幹線のグランクラスに似た座席ですが、アテンダントによる飲食提供は特にありません。
料金体系は、乗車人数分の乗車券および(シーズン変動の)特急券、加えて(固定額の)プレミアムグリーン車のグリーン料金の合計になります。グリーン料金については通年同額ですが、特急料金には[最繁忙期/繁忙期/通常期/閑散期]のシーズナリティがあります。
プレミアムグリーン車は1号車に位置しており、先頭部分は展望車両です。伊豆急下田駅行きの下りの列車において、1号車1番AB席は最前部を眺められる良席です。

● グリーン個室(4人用・6人用)
2号車と3号車にあるグリーン個室、各車両に4人用の個室2室と6人用の個室2室づつがあり、合計8室の設備です。提供座席の数が少ないため、購入はお早めに。
料金体系は、乗車人数分の乗車券及および(シーズン変動の)特急券、そして1室単位でのグリーン個室のグリーン料金(通年同額)の合計になります。1室のグリーン個室料金を出せば、1名でもグリーン個室を利用することが可能です。
グリーン個室では、カフェテリアから飲食物がデリバリーされるので、車内でおいしいものをいただきながらの旅を満喫できると思います(2021年4月から)。

● (一般の)グリーン車
5号車から8号車が一般のグリーン車座席で、横3列のリクライニングシートです。豪華さの中にもカジュアルさが感じられ、気軽に利用できる設備かと思います。
料金体系は、乗車人数分の乗車券および(シーズン変動の)特急券、(通年同額の)グリーン料金の合計です。
東京駅・新宿駅寄りの8号車は、上り列車において最前部の号車で、展望車両です。席番で1番のA-C席は最前部を眺められる展望座席なので、お早目の座席確保をお勧めします。
※ 8号車の席番は、一般的には下り方面(伊豆急下田方)の座席から1番、海側の座席がA席となっていますが、サフィール踊り子号の8号車はその法則が該当しないようです。

「サフィール踊り子」号 きっぷの買い方
それでは、「サフィール踊り子」号に乗車するために必要なきっぷの種類と値段、購入日時や箇所についてお話ししていきます。
特急券・グリーン券の運賃・料金
「サフィール踊り子」号に乗車するには、①乗車券の他に、②特急券・③グリーン券が必要です。実際に利用する一般のグリーン席、プレミアムグリーン席、グリーン個室といった設備によって、必要な運賃・料金の合計金額が異なってきます。
下表①、②のいずれかの時期、そして③のいずれかの設備の金額を加算した合計金額が、この列車に乗車するのに必要な金額です。
代表的な乗車区間である東京駅から伊東駅、伊豆急下田駅までの単価を下表にまとめてみました。
● 2023年4月01日以降の運賃・料金
【①+②+③=乗車に必要な一人当たりの金額】
通番 | 運賃・料金(設備別) | 人数 | 東京駅-伊東駅 | 東京駅-伊豆急下田駅 |
① | 乗車券(所定運賃) | 1人当たり | 2,310 | 4,000 |
②-1 | A特急料金(最繁忙期) | 1人当たり | 2,260 | 2,760 |
②-2 | A特急料金(繁忙期) | 1人当たり | 2,060 | 2,560 |
②-3 | A特急料金(通常期) | 1人当たり | 1,860 | 2,360 |
②-4 | A特急料金(閑散期) | 1人当たり | 1,660 | 2,160 |
③-1 | グリーン料金(一般席) | 1人当たり | * 2,800 | * 3,700 |
③-2 | プレミアムグリーン料金 | 1人当たり | 4,300 | 6,100 |
③-3 | 4人用グリーン個室料金 | 1室あたり | 11,200 | 14,800 |
(人数割り) | * 2,800 | * 3,700 | ||
③-4 | 6人用グリーン個室料金 | 1室あたり | 16,800 | 22,200 |
(人数割り) | * 2,800 | * 3,700 |
例えば、始発の東京駅から終点の伊豆急下田駅まで【通常期】に二人で乗車する場合、
● 一般のグリーン車(③-1):@10,060円 X 2 = 20,120円
● プレミアムグリーン車(③-2):@12,460円 X 2 = 24,920円
● 4人用のグリーン個室(③-3):27,520円【二人で利用する場合の二人分】
となります。グリーン個室の料金は1室あたりの金額なので、何人で使っても変わりません。
このように見てみると、プレミアムグリーン席の料金が抜きんでて高額なことが分かります。グリーン個室の料金は、人数で割ると実は一般のグリーン席と金額が変わらないので、料金面でも個室の良さがお分かりになるかと思います。
2023年4月より、グリーン車を利用する場合にも、JR線特急料金は普通車同様シーズン別になりました(最繁忙期・繁忙期・通常期・閑散期)。伊豆急行線内の料金には、シーズンによる料金差はありません。運賃・料金が毎年値上げになる上に、計算方が大変複雑になりました。
「大人の休日俱楽部」会員割引について
「大人の休日俱楽部」会員の割引について、「サフィール踊り子」号に乗車する場合、細かな条件があります。設備によって割引の有無に差があるため、よく注意してください。
◇ プレミアムグリーン席(1号車)
運賃のみ割引/プレミアムグリーン車用グリーン料金・特急料金には割引なし
◇ グリーン個室(2号車・3号車)
運賃・特急料金のみ割引/個室グリーン料金は割引なし
◇ 一般のグリーン席(5号車ー8号車)
運賃・特急料金・グリーン料金とも割引あり
特急券・グリーン券の購入日時・箇所
他のJRの列車同様、乗車日の「1か月前」「午前10時00分」から列車の特急券・グリーン券の購入が可能です。
● ネット予約「えきねっと」を利用する方法
一般のグリーン車およびプレミアムグリーン車については、ネット上の「えきねっと」で予約購入ができることから、乗車日の「1か月と7日前」の「14時00分」から事前受付が可能です。しかし、後述するグリーン個室についてはネットで購入できないため、JRの駅にあるみどりの窓口(もしくは駅の指定席券売機)に出向く必要があります。
● 駅の「指定席券売機」および有人の「みどりの窓口」を利用する方法
一般のグリーン車およびプレミアムグリーン車、そしてグリーン個室のきっぷは、みどりの窓口の他に駅の「指定席券売機」でも購入可能です。ただし、購入可能な時刻が「10時10分」からとタイムラグがあるため、特に繁忙期は、有人のみどりの窓口で乗車1か月前の「10時00分」ちょうどに購入することをお勧めします。
グリーン個室については合計で8室と数が限られるため(4人用個室4室、6人用個室4室)、有人窓口にて乗車1か月前の10時00分ちょうどに、10時打ちでの購入をお勧めする次第です。
グリーン個室に乗車する場合のきっぷの様式
グリーン個室を利用する場合のきっぷですが、特急券・個室用のグリーン券が1枚にまとまっています。1人1枚づつのきっぷではなく、1グループで1枚だけ個室のきっぷが発行されます。
個室のグリーン料金は何人で乗車しても1室分の料金で、特急券には人数分の合計料金が表示されています。個室のグリーン券に限っては、サイズが大きいマルス12cm券です。

特急券・個室用グリーン券とは別に、乗車人数分の乗車券も必要です。

伊豆急行線内のみを利用する場合のきっぷ
伊豆急行線の伊東駅と伊豆急下田駅の区間のみ、途中駅で乗車・下車する場合が考えられます。
グリーン個室の場合、残念ながら伊豆急行線の区間のみで利用することはできません。
そのほかの設備であるプレミアムグリーン席および(一般の)グリーン席については、座席指定で利用することができます。
その場合、特急券・グリーン券は伊豆急行線内の列車停車駅で購入することになります。「えきねっと」でネット予約できるのはJR線の区間を含んだ場合になるため、この場合はネット予約はできず、駅に出向いて購入することになります。
伊東駅から伊豆急行線内の駅まで一般のグリーン車に乗車する場合の特急券・グリーン券は、以下のようになります。特急券・グリーン券の料金が表示された本体の券と、座席指定された席番が表示された指定券(指のみ券といいます)がホチキス止めされた状態で受け取ります。


カフェテリアについて
4号車にはカフェテリアの車両があって、ミニラウンジで休息したり、イタリアン料理を予約制でいただくことができます(2021年4月より、従前のヌードルバーからメニューが変わり、イタリアン料理が提供されるようになっています)。食事は「サフィールPay」というウェブサイトから事前に予約して利用できる形です。メニューなどの詳細については、公式の情報を参照してください。
筆者が乗車した時には、ちょうど政府から緊急事態宣言が発出されている時期で、残念ながら食事が提供されない状況でした。


ここからは、筆者がグリーン個室に乗車した時の体験話です。
「サフィール踊り子」4号にいざ乗車!
前置きが長くなりましたが、始発の伊豆急下田駅からサフィール踊り子4号に乗車しました。
4号:伊豆急下田駅 16:34分 →(伊豆急行線、伊東線、東海道本線経由)→ 東京駅 19:20分
乗車したのは、2021年ダイヤ改正の初日で、ちょうど185系踊り子号の運行が終了した翌日でした。ちょうど、踊り子号に自由席がなくなり、全車指定席になったタイミングでした。政府による緊急事態宣言が発出されている中、平素であれば多くの人でにぎわう伊豆急下田駅の改札口も乗車しようとする人が少なく、がらんとしていました。
出発時刻30分前のホームに入場させてもらい、普通列車の車両と並んでいるサフィール踊り子号の車両を撮ることができました。車両自体は早くから入線してましたが、列車のドアが開くのは改札が始まる16:20分頃でした。

伊豆急下田駅改札口の発車案内板。東京に戻る特急列車の最終列車が、今回乗車したサフィール踊り子4号でした。臨時列車がない限りは定期列車の最終列車で、乗り遅れたら普通列車で帰るしかありません。

車体に刻まれたサフィール踊り子号のロゴマーク。塗装がまだきれいで、光に反射していました。

「サフィール踊り子」号の車内探訪
始発駅での発車までの合間を縫って、列車の各設備を探訪してみました。
1号車は、プレミアムグリーン車。グリーン車マークの左側にある宝石のロゴマークが高級感を醸し出しています。

車内の様子。1列2席の座席で定員が20席の至福の空間です。暗色でまとめられた重厚かつ上品な空間です。

伊豆急下田駅方の先頭部分。下り列車で運行される場合、1番AB席からの全面の眺めは最高に違いありません。

各座席はシェル型で、前の人が座席をリクライニングさせても気にならない設計です。

2号車と3号車はグリーン個室。山側に配置された通路には天窓があり、明るいです。

6人用グリーン個室の座席配置。海側に向かっており、相模湾の風景を楽しめるようになっています。壁面には装飾があります。

違うアングルで見た6人用個室。定員の6人で乗車すると、個室内は狭さを感じるかもしれません。

筆者が実際に乗車した4人用のグリーン個室。基本的には6人用個室と同じインテリアですが、座席配置だけ異なっています。

違うアングルで見た4人用個室。オーソドックスな座席配置ですが、本革のシートが高級感があります。

山側には鍵のかからないドアがあり、通路から個室の中をのぞける仕様です。ドア側の壁にあるミニテーブルには、定員分の電源コンセントがあります。衣類をかけるハンガーがないのが残念です。

丁寧な装飾が施された壁面。写真右側には2段のトレーがあり、個室の外から飲食物のトレーを出し入れできる仕様になっています。

4号車のカフェテリア。飲食のサービスが提供されていなかったので、厨房はがらんとしていました。アテンダントさんが2名乗務していましたが、サービスが提供されていないので添乗しているだけで、手持無沙汰な感じでした。

カフェテリアのミニラウンジ部分。茶系の落ち着いた色使いがシックです。

8号車の一般のグリーン車車両。1列3席の座席配置ですが、他の列車のグリーン車と比較すれば、サフィール踊り子号の高級感が十分感じられるかと思います。最前部は展望座席です。リクライニングシートには、全席に電源を取るためのコンセントが配置されています。

トイレは最新のウォシュレット付きで、大変清潔です。壁に据え付けられたウォシュレットの操作ボタンもかなり高機能です。

列車は、定刻の16:34分に伊豆急下田駅を発車。伊豆急行線内は特急列車の停車駅にこまごまと停車しながら伊東駅に向けて走っていきました。車両が製造されてから1年少ししかたっていないためか、乗り心地が大変よく、乗車していた3時間弱の時間が短く感じられました。

個室からは、だれにも邪魔されない相模湾の風景を堪能できました。晴れていれば、夕日に映える伊豆大島がきれいに見えるはずです。

伊東駅でJR東日本の乗務員に交代するため、5分間の停車時間があります。その時に一度ホームに出て、外の空気を吸いました。
伊東駅を出発してから途中停車したのは熱海駅、横浜駅、品川駅で、東海道線内は疾走しました。途中熱海駅で乗客の乗り降りがありましたが、概ね静かな車内でした。東京駅に定刻に到着して、上質な空間での乗り鉄の時間が終わりました。
参考資料 References
● 「サフィール踊り子」号 公式ウェブサイト(JR東日本)

● サフィール踊り子号 2023年3月17日までの運賃・料金【参考資料】
通番 | 運賃・料金(設備別) | 人数 | 東京駅-伊東駅 | 東京駅-伊豆急下田駅 |
① | 乗車券(所定運賃) | 1人当たり | 2,310 | 3,960 |
② | A特急料金(通年) | 1人当たり | 1,860 | 2,270 |
③-1 | グリーン料金(一般席) | 1人当たり | 2,800 * | 3,580 * |
③-2 | プレミアムグリーン席料金 | 1人当たり | 4,300 | 5,900 |
③-3 | 4人用グリーン個室料金 | 1室あたり | 11,200 | 14,320 |
(人数割り) | 2,800 * | 3,580 * | ||
③-4 | 6人用グリーン個室料金 | 1室あたり | 16,800 | 21,480 |
(人数割り) | 2,800 * | 3,580 * |
● サフィール踊り子号 2022年3月11日までの運賃・料金【参考資料】
通番 | 運賃・料金(設備別) | 人数 | 東京駅-伊東駅 | 東京駅-伊豆急下田駅 |
① | 乗車券(所定運賃) | 1人当たり | 2,310 | 3,960 |
② | A特急料金(通年) | 1人当たり | 1,860 | 2,270 |
③-1 | グリーン料金(一般席) | 1人当たり | 2,100 * | 2,880 * |
③-2 | プレミアムグリーン席料金 | 1人当たり | 3,600 | 5,200 |
③-3 | 4人用グリーン個室料金 | 1室あたり | 8,400 | 11,520 |
(人数割り) | 2,100 * | 2,880 * | ||
③-4 | 6人用グリーン個室料金 | 1室あたり | 12,600 | 17,280 |
(人数割り) | 2,100 * | 2,880 * |
改訂履歴 Revision History
2021年4月11日:初稿
2021年12月03日:初稿 加筆
2022年02月07日:第2稿
2022年4月26日:第2稿 修正
2022年5月11日:第2稿 修正
2022年5月17日:第2稿 修正
2022年5月21日:第2稿 修正
2022年5月26日:第2稿 タイトル修正
2022年6月21日:第2稿 修正
2022年8月30日:第2稿 加筆
2023年02月13日:第2稿 再構成
2023年4月07日:第2稿 修正
2023年7月04日:第2稿 修正
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