「大人の休日俱楽部」への入会を果たし、筆者も初めて会員割引きっぷを購入できるようになりました。さっそく、在来線の上越線や飯山線を経路に含む連続乗車券を割引で購入し、日帰りで乗り鉄に出かけました。
記念すべき、初の「大人の休日俱楽部」割引乗車券なだけに、筆者の乗り鉄のキャリアに見合った、こだわりのある経路を考えました。その結果、連続乗車券の経路を組み立て、駅の「みどりの窓口」できっぷ一式を購入したわけです。
今回のきっぷのキーワードは、「連続乗車券」と「通過連絡運輸」です。かなりの乗り鉄経験とノウハウが必要な、マニアックなきっぷができあがりました。
この記事では、「大人の休日俱楽部」の割引を全区間で適用した連続乗車券にて、高崎線、上越線、北越急行線、飯山線および北陸新幹線を反時計回りで周回旅行した道中を披露したいと思います。
この記事は「大人の休日俱楽部」会員向けに書いたつもりですが、かなりマニアックな内容になりました。結局、運賃制度を知った上級者向け記事に仕上がりましたが、こんなきっぷでも割引が効くんだな、というノリで一般の方にもお読みいただきたいと思います。
連絡運輸を含む連続乗車券を購入
「大人の休日俱楽部」会員となってから初めての、記念すべき乗り鉄である今回の周回旅行。筆者ならではのこだわりで、クセのあるきっぷを作ろうと思い立ちました。その心は、
● 連続乗車券
● 通過連絡運輸の適用
● 全区間で「大人の休日俱楽部」会員割引を適用
を同時に満たすことです。
筆者は以前、別の記事にて連続乗車券のメリットについて考えたことがあります。
大人の休日倶楽部の運賃割引において、片道乗車券1枚当たり200km超の距離がない旅程についても、2区間連続(往復を含む)の旅程で200km超となれば、全区間で運賃・料金の割引を受けられる大きなメリットがあります。そのため、連続乗車券(もしくは往復乗車券)で経路を組み立てることを検討する価値が大いにあります。
今回、記念すべき第一弾のきっぷとして作った連続乗車券が、以下の通りです。

【連続1】大宮(高崎線)高崎(上越線)六日町(北越急行線)十日町(飯山線)飯山(新幹線)高崎

【連続2】高崎(新幹線)大宮

連続1の営業キロが411.4kmで6,610円、連続2の営業キロが74.7kmで1,270円。本稿執筆時の割引運賃額は、合計7,880円でした(JR線区間のみ5%割引。北越急行線は無割引)。
北越急行線においては、広範に連絡運輸および通過連絡運輸が適用され、かつ連続乗車券でも適用可能であるため、かなりフレキシブルに旅程を組み立てることが可能です。連絡運輸の初心者向けには格好のケースだと思います。
この連続乗車券の詳細な運賃計算については、以下の記事(↓)で深掘りしました。
読者の皆様には「週末パスを買えばいいじゃん」と突っ込まれそうです。今回は研究目的もあるため、どうぞご容赦いただきたいと思います。
大宮駅から越後湯沢駅までは普通列車の旅
高崎線 大宮駅→高崎駅
825M:大宮駅 6:41分 →(高崎線経由)→ 高崎駅 8:01分
乗り鉄のスタート地点である大宮駅(さいたま市大宮区)から上越線越後湯沢駅(新潟県湯沢町)までは、ひたすら普通列車で移動しました。そのうち、最初の区間である高崎駅(群馬県高崎市)までは、普通列車のグリーン車に乗車しました。

首都圏近郊区間の普通列車グリーン料金にも、大人の休日俱楽部の割引がしっかり適用されます。これが、「大人の休日俱楽部」の公式ガイドや会員用ウェブサイトにも明記されておらず、あまり知られていないのです。
今回購入したのは、土休日用のホリデー料金での事前購入分で、グリーン料金(51km以上)が5%引きの760円。乗車時に乗車駅のホームでSuicaで購入すると、この割引が適用されません。事前に、駅のみどりの窓口でグリーン券を仕込んでおく必要があります。

途中の籠原駅まで15両編成で、その先は先頭の5両が切り離されて、10両で終点の高崎駅まで。長丁場の行程なので、いくらかでもグリーン車に乗車して楽をしたいところです。

上越線 高崎駅→水上駅
727M:高崎駅 8:23分 →(上越線経由)→ 水上駅 9:30分
この区間も普通列車で、始発の高崎駅から終点の水上駅(群馬県みなかみ町)まで通しでの乗車でした。高崎支社管内ではメジャーな、211系車両の6両編成でした。

駅のホーム上にある発車案内表示では、終点の水上駅にて長岡駅行きに接続する旨表示されていて、長旅用の列車だと実感しました。

高崎駅からは、多方面に路線が伸びているためか、路線別にカラフルなラインカラーが設定されています。上越線は水色です。車両の行先幕の色も、水色です。

高崎地区の211系車両は、全席ロングシートであるのが、長旅派には辛いところ。乗車時間が1時間強とそれほど長時間でなくとも、非日常を感じにくい空間です。
乗車したこの日は、青春18きっぷの設定期間だったこともあって、水上駅行きのこの列車には終点まで乗車する乗客が想像以上に多かったです。
上越線 水上駅→越後湯沢駅
1731M:水上駅 9:44分 →(上越線経由)→ 越後湯沢駅 10:16分
水上駅始発の長岡駅(新潟県長岡市)行きの普通列車に、途中の越後湯沢駅まで乗車。約30分の乗車でした。車両が新潟支社管内を走るE129系4両編成で、いよいよ新潟県に入る実感が湧いてきました。
水上駅では14分の乗り継ぎ時間がありましたが、乗り換えする乗客が多く、狂騒曲が演奏されるようなわちゃわちゃした雰囲気でした。
何しろ、6両編成の列車から4両編成の列車へと車両のキャパシティーが減少するので、早い者勝ちの席取りレースが繰り広げられるわけです。
乗り換え階段を早く上がった人から先にボックス席を取り、次にロングシートに座るという感じでした。この日は全座席がびっしりと埋まって、席にあぶれた立客が数名いた状況でした。
上越線の清水トンネル越えの区間は、青春18きっぷが設定される期間はもちろん、平時でも供給に対して乗車需要が高そうな区間です。

新清水トンネルを抜け、新潟県に入ってから越後湯沢駅に着くまでの区間の車窓風景が、これまた絶景です。スキー場を縫うように左へ右へと向かうのは、都会では味わえない非日常の風景です。
越後湯沢駅では、自分を含め多くの乗客が降車。改札口を出る時には、駅員さんは見逃すことなく乗車券に途中下車印を押印。越後湯沢駅はSuicaエリア外のためか、関所のような駅です。

長野駅まではゆったりと観光列車の旅
ほくほく線 越後湯沢駅→(北越)十日町駅
840M:越後湯沢駅13:24分 →(上越線・ほくほく線経由)→ (北越)十日町駅 13:59分
越後湯沢駅では約3時間の乗り継ぎ時間があったため、湯沢高原ロープウェイを往復したり、ぽんしゅ館での唎き酒体験を楽しんだりして、時間つぶし。


13時ちょうどに改札口を入ってホームに降りたら、すでに直江津駅(新潟県上越市)行きの列車がとまっていました。
列車は2両編成の電車で、後ろの車両が「ゆめぞら」車両。この日が運よく日曜日で、トンネル内での画像上映を楽しめました。


越後湯沢駅を出発してから、上越線内は全駅スルーして、六日町駅からほくほく線へ。青春18きっぷで乗車できない路線のためか、乗客が少なく、ゆったりと移動できました。
魚沼丘陵駅から長いトンネルに入り、天井にプロジェクターで上映されたのが、花火の映像でした。クラシックのBGMが陳腐ですが、鉄道トンネル内でエンターテイメントを楽しめる、日本でも数少ない場所には違いありません。
北越急行線の十日町駅(新潟県十日町市)に着いてから、次の「おいこっと」号乗車まで約1時間あったので、駅の窓口で鉄印帳を購入。筆者にとって、鉄印帳デビューの地は、十日町駅でした。

ついでに補充券もゲット。

飯山線 十日町駅→(しなの)長野駅
おいこっと号:十日町駅 15:12分 →(飯山線・北しなの線経由)→ (しなの)長野駅 18:07分

乗車2週間前に「おいこっと」号の指定席券が運よく取れたので、「おいこっと」号に乗車して、この区間を移動。
指定席券については、駅の窓口で「大人の休日俱楽部」割引適用の乗車券を見せれば、指定席券についても割引が適用されます。今回は、無割引で。
「おいこっと」号は、途中の豊野駅(長野県長野市)から終点の長野駅 (長野県長野市) まで、しなの鉄道北しなの線を走るため、本来在来線経由の乗車券が必要です。

筆者が所持する連続乗車券は、飯山駅(長野県飯山市)から新幹線経由でした。飯山駅から長野駅までは権利放棄する形で、別途在来線の乗車券を購入。
本当は、大宮駅で事前に購入しようと思っていましたが、この区間の乗車券を発売してくれなかったので、乗車当日に現地の十日町駅で購入。北しなの線に関して40円の乗り継ぎ割引があって、飯山駅から長野駅までの運賃は550円。
ちょっとだけ余談です。JRにおいてはルール上、他駅発の乗車券を発売する義務はなく、売るか売らないかはあたった係員のご機嫌次第です。便宜的に発売してくれる係員が多い中で、大宮駅の係員がルール通り発売しないのは、ちょっと杓子定規なような気がしました(指定席券売機では、どの駅でも購入可能な乗車券です)。
おいこっと号は通常2両編成ですが、この日は運用の関係で、1両編成での運行。偶然ながら、単行のおいこっと号に乗車できた形でした。

十日町駅は小さな駅でありながら、「おいこっと」号と「越乃Shu*Kura」号が発着する。地味ながら、発車時に駅員さんが心暖かくお見送りしてくれました。

以前「おいこっと」号に乗車した時は、車内で野沢菜漬けがふるまわれました。今回は、コロナ禍だったこともあって、「内山手すき和紙」のしおりを乗車記念にもらえました。

飯山駅で20分間停車。本来ここで降りて新幹線に乗り換えるところでしたが、乗り換えのための待ち時間が長いため、終点の長野駅まで乗車。飯山駅のコンコースで行われる「おいこっとマルシェ」がやっていなくて、残念。

旅の終わりは新幹線でさくっと家路へ
北陸新幹線 長野駅→大宮駅
かがやき514号:長野駅 19:04分 →(北陸・上越新幹線経由)→ 大宮駅 20:00分
大人の休日俱楽部割引が全区間で適用される連続乗車券で乗車するため、新幹線特急券も割引適用です。
「おいこっと」号が終点の長野駅に到着してからすぐ、はくたか572号に接続します。今回はその後続の、大宮駅までノンストップのかがやき514号に乗車しました。飯山駅乗り換えに比べ、かがやき号を選択することもできるため、長野駅乗り換えにすると便利かと思います。

長野駅を出発してから大宮駅に到着するまでノンストップで、わずか56分間の旅。飛行機に搭乗しているような気分でした。

連続乗車券に関する他の記事
連続乗車券のメリットについては、こちらの記事もご参照ください。
学割や「大人の休日倶楽部」割引、障害者割引を適用する場合には、連続乗車券を作ると運賃計算面で乗客にとって特に有利と考えます。
参考資料 References
● 「大人の休日俱楽部」公式ウェブサイト 割引きっぷの概要(JR東日本)

● のってたのしい列車「おいこっと」号 公式ウェブサイト(JR東日本)

改訂履歴 Revision History
2021年9月13日:初稿
2022年7月14日:初稿 再構成
2022年7月22日:初稿 修正
2023年4月08日:初稿 修正
コメント