2021年6月末にシステムがリニューアルされたJR東日本のインターネット予約システム「えきねっと」。従前のものと比較すると、操作感が抜本的に変わっていることを筆者も実感できました。
その中でも、乗車日の1か月と7日前からエントリー可能な「事前受付」サービスに変更点があること、そして従前クレジットカードだけだった決済方法が多様になった点が、注目に値する変更点です。
この記事では、リニューアルされた「えきねっと」を筆者が実際に操作して発見した、「事前受付」と「支払方法」の詳細をお伝えします。公式リソースでは検索しにくい筆者の細かな知見を、ひとつひとつ残しておきたいと思います。
本記事をリニューアル直後に最初に投稿して以来、システムがあちらこちらで時々刻々と改修され続けています。そのため、定石といえるものがなく、話を進めにくいことをご承知いただきたいと思います。

付け焼き刃的な修正が続き、あまりユーザーフレンドリーとは言えません。基本的なきっぷの知識がないと操作が難しい点が、リニューアル前後で変わっていないのが、残念なところです。
事前受付についての詳細・変更点
「えきねっと」にて座席の前売りが始まるのは、乗車1か月前の午前10時です。それより前のタイミングで予約の事前エントリーを行うことができます。それを「事前受付」といいます。
事前受付の処理能力には限界があるため、利用者が増えるにつれて、席が取れないこと(予約不成立)が増えてきました。できるなら、乗車1か月前の10時00分に自分で予約操作を行った方がよいでしょう。

新幹線の「トクだ値」は特に人気があり、予約不成立のことが多くなりました。事前受付を過信せず、発売開始時に自分で操作することも検討してください。
事前受付の受付開始日時
従前のシステムでは、列車の乗車日の1か月と7日前の朝5時30分からの受付開始でしたが、現行のシステムでは、 列車の乗車日の「1か月と7日前」の日中「14時00分」からの受付開始に変更になっています。その点に注意が必要です。
早朝5時30分にえきねっとから事前受付の操作を行える人は、限られていたように思います。日中の14時00分に変更になった分、事前受付を利用するハードルが下がりました(その分人気列車や高割引率の「えきねっとトクだ値」料金の争奪戦が激しくなったかも)。
事前受付エントリーの際の決済手段について
クレジットカード以外の決済手段として、「コンビニ・金融機関でのお支払い」や「駅でお支払い」を指定することもできます。ただし、乗車する区間が属するエリアや券種、決済するタイミングによっては、クレカでしか決済できない場合が多々あります。
例えば、「新幹線eチケット」の場合「駅でお支払い」は指定不可です。また「大人の休日倶楽部」割引適用のきっぷは、当該クレカでの決済が必須です。
支払いをクレジットカードで行う場合、事前受付のエントリーの時点で、あらかじめ登録したクレジットカードを選択するか、新たなカードを登録します。いずれの場合でも、エントリー完了までにクレカのセキュリティコードを入力するよう改修されています。
事前受付で予約が成立した場合の決済方法
従前は、予約が成立した時点での決済ではなく、きっぷを受け取る時点での決済でした。その時点まで列車の予約がキープされていました(「新幹線eチケット」の場合は、予約成立時に即時自動決済)。
リニューアルされた現行のシステムでは、紙のきっぷ、「新幹線eチケット」の区別なく、予約が成立してからの決済期限が設定され、期限までに決済が完了しないと予約が落ちてしまう作りになっています。
支払手段によって、代金が決済されるタイミングが次のように異なっているようです。
● クレジットカードの本人確認サービス(3Dセキュア)が設定されている場合
ビューカードを含むクレジットカードにおいて、本人確認サービス(3Dセキュア)が設定されている場合には、事前受付の予約成立時に代金が自動でオンライン即時決済されることになっています。
ウェブブラウザから事前受付のエントリーをし、「クレジットカードでお支払い」すると、大半はオンラインで即時決済されると思料します。
ただし、以下のようにクレカのセキュリティコードを入力しなければいけない場合があり、対応しないと取れていた席が落ちてしまう恐れがあるのでご注意を。
● クレジットカードでのオンライン決済の場合(即時決済されない場合)
事前受付で予約成立したきっぷについて、登録したクレジットカードで即時決済できない場合は、予約が成立した乗車1か月前の日の当日22時30分が決済期限となり、成立した予約を確認したうえでの決済操作(セキュリティコード入力)が必要になります。
「えきねっと」アプリから事前受付のエントリーをすると、自動的にクレジットカード払いとなります。この場合、3Dセキュア認証の対象外となり、予約成立後の決済操作が必要になる場合があります(会員向けメールより)。
● クレジットカード以外の支払手段の場合
事前受付の予約成立後、設定された期限内に代金を決済する必要があります(コンビニ・金融機関での決済もしくは駅でのきっぷ受け取り)。上記クレジットカード決済の場合とは決済期限が異なる可能性があるので、予約成立画面やメールで必ず確認しましょう。
これらの支払手段を指定した場合、予約成立後にクレジットカードのオンライン決済に変更することはできません。
事前受付で取れたらオンライン決済済みか要確認
お話した通り、クレジットカードのオンライン決済を指定した場合、動作にブレがあります。
事前受付で席が取れた際、徐々にオンライン即時決済される割合が増えていると思われますが、100%そうであるとは限りません。
3Dセキュア認証が必須である以上、代金が自動でオンライン即時決済されるとは断言できないです。予約成立時に代金が自動決済されたかどうか、油断せず当日中に必ず確認しましょう。
きっぷが取れた際の代金決済の挙動が安定しないのが、現行「えきねっと」の弱点です。セキュリティ面から、クレジットカード会社側での承認(オーソリ)が取れずに決済できない事例があるようです。その場合、本当は取れるはずの席が取れなかったということになります。
事前受付における座席指定についての変更点
従前のシステムでも現在のシステムでも、事前受付の段階ではシートマップから自分で席番を選択することはできず、窓側、通路側、デッキの近く、中央寄りなどの属性のみ希望できます(1席で予約する場合)。
大きく変更になったのは、従前のシステムではきっぷを受け取るまでわからなかった座席の席番が、現在のシステムでは予約が成立した時点で表示されるようになっている点です。大きな進歩です。
代金の決済方法についての詳細・変更点
従前のシステムでは、決済方法がクレジットカードに限定されていましたが、現在のシステムではクレジットカード(オンライン決済)の他に、「コンビニ・金融機関でお支払い」、(従来通りの)「駅でお支払い」と多様になっています(「新幹線eチケット」については、「駅でお支払い」はできません)。

タイミングによって決済手段が制限される
ただし、列車の予約を行ったタイミングによって、可能な決済手段が限られています。
筆者が試してみたところ、列車の乗車日の2日前まではすべての決済手段が利用可能で、それより近くなると一部のコンビニ決済とクレジットカードの決済のみ可能になり、乗車当日ではクレジットカードの一択です。
「駅でお支払い」の場合、えきねっと上での予約日を含め3日後、かつ乗車日から3日前の決済完了が必要です(この場合、クレカの決済を駅でのきっぷの受取時まで延ばせる)。この点も覚えておきたいです。

事前受付でも通常の予約期間でも、選択できる決済方法について区別はなく、駅での支払いも従前通り可能です(紙のきっぷの場合のみ)。
コンビニ・金融機関での決済/「駅でお支払い」
現行のえきねっとでは、クレジットカードのネット上での決済に加えて「コンビニ(現金)・金融機関でお支払い」および「駅でお支払い(現金・クレジットカード)」が決済手段として選択できます。
ひとつ留意したい点があります。「駅でお支払い」を決済手段として一旦予約成立した後には、クレジットカードのオンライン決済に再び変更することはできません。この場合、駅の指定席券売機にてクレジットカード決済するか、コンビニ払いにて対応するかのいずれかになります。
利用エリアによってはクレジットカードのみ
乗車区間にJR東海、JR四国、JR九州の区間が含まれる場合、決済手段がネット上での「クレジットカードでお支払い」の一択に変わっています。クレジットカードがなくてもえきねっとを利用できるという触れ込みでしたが、限定的であると認識する必要があるでしょう。

一例として、大宮駅から沼津駅行きのケースを考えてみましょう。この経路上、東京駅(新幹線)から沼津駅まではJR東海の区間です。

予約操作の最後の画面でエラーではねられ、予約が成立しません。率直なところ、あれっ、という感じがしました。
「えきねっと」における不正使用の被害が、多発している状況です。代金決済の挙動が安定しないことに付け込まれている可能性があります。
ユーザー側の対策として、ログインID・パスワードの管理を厳重にし、クレジットカードの不要な登録を避けることをおススメします。
状況改善のため、多要素認証の導入など、運営側によるセキュリティ対策の強化が望まれます。
予約成立から決済期限までの時間が短くなった
従前のえきねっとでは、例えば乗車1か月前に予約した列車の紙のきっぷを乗車前日に決済して受け取ることも可能で、その場合決済までの時間的猶予が長かったです(新幹線eチケットを除く)。
しかし、リニューアル後の現行えきねっとでは、列車の予約成立後の代金決済までの期限が短く設定され、それまでに決済を完了しないと、前述の通り予約が落ちてしまいます。
ここで一つ留意すべきは、一度決済してしまうと、その後旅行をキャンセルする場合に払戻手数料がかかってしまうことです。従来は旅行確定まで予約を保持することができましたが、今日では決済期限が早い分、払戻手数料を支払うリスクが高くなったと言えます。
「えきねっとトクだ値」料金で予約した在来線列車の紙のきっぷの受け取りは、できるだけ旅行直前まで引っ張った方がよいことを以下の記事で述べました。特に在来線列車についてのトクだ値料金の高割引のものについては「駅でお支払い」は避けた方がよいかと思います。駅で紙のきっぷを一度受け取ってしまうと乗車変更ができず、高額のキャンセル料(払戻手数料)を後日支払うリスクが高くなるためです。
このリスクについては、以下の記事に詳しく書いたので、ご一読ください。
新システムで事前受付を行ってみた
紙のきっぷの場合
実際に乗車1か月と7日前の14時に列車の事前受付サービスを利用してみました。まずは、なかなか取れない臨時快速列車の指定席券です。

設例の臨時快速列車「谷川岳もぐら」号は、2022年下期以降特急列車に変わりました。ただし、えきねっとを利用して列車の席をとるための手順には、特に変更ありません。
実際に座席の手配が行われるのは乗車1か月前の10時以降ですが、事前受付の順番が早いほど先に手配が行われるものと推察します。えきねっとの検索画面において臨時列車を一発でスムーズに表示させるのが難しいので、事前に練習しておくことをお勧めします。
現在の「えきねっと」上で列車を予約するには、乗換案内からお目当ての列車を表示させてから予約します。その際、デフォルトでは新幹線が優先されるので、検索オプションの操作でうまく表示させる必要があります。駅にある指定席券売機で「乗換案内から購入」の機能で列車を検索するのと似た、マルスシステム由来のインターフェースです。
乗車日の1か月前10時ちょうどにうまく予約が取れると、予約番号が付番され、指定席の席番が表示されます。また、そのタイミングできっぷの代金が自動でオンライン決済されることが多いです。

ただし、この記事を執筆した時点では、自動で代金の決済が完了するのではなく、その日の22時30分までに決済するようにメールで促されました【前述のようにクレカによって挙動が異なる模様】。
改めてえきねっとにログインして、支払手続を行いました(指定時刻までに決済をしなかった場合、取れていた席が自動的にキャンセルされてしまうので注意しましょう。その場合の代金請求はありません)。

クレジットカードで決済する場合、手元にあるクレカのセキュリティコードを入力してから「この内容で確定」を押すことで、取れている指定席が確保されます。

紙のきっぷの発券が必要な場合は、決済を済ませた上で駅に向かうことになります。

駅に向かう際、QRコードを紙に印刷するかスマホのメール画面に表示されたQRコードを表示できるようにしておくと、指定席券売機での受け取りが一発で行えるようになり、非常に楽です(従来通り決済したクレジットカードでの受け取りも可能です)。

紙のきっぷの受け取りを完了した時点でこのQRコードを表示させることが出来なくなるので、ご注意を。

スマホ上でQRコードを表示するには、QRコードをメールとして送信します。

以上の流れから推察するに、乗車日の1か月前の22時30分に指定席のキャンセルが発生している可能性があります。10時の時点で取れなかった場合、この時刻になったら空席照会する習慣をつけるとよいかもしれません(ただし、この時点では高割引率の「えきねっとトクだ値」利用は難しいと思います)。
キャンセル待ちは従前通り不可能です。飛行機のようにウェイティングとしてエントリーできる仕組みではないため、あくまでも空席を自分で都度確認する必要があります。
いまお話ししたQRコード、東海道・山陽・九州新幹線および西九州新幹線が含まれている場合、2023年5月11日以降は表示されません。紙のきっぷを受け取る際には、決済に使用したクレジットカードが必要です(JR東日本・北海道管内の列車には影響ありません)。
◆ 領収書について
決済方法で「駅でお支払い」以外を選択した場合、領収書はネット上からのみPDFファイルとして発行可能な仕様に変更されています(従前のように、マルス券の「ご利用票兼領収書」が発行されなくなりました)。 「駅でお支払い」 を選択した場合、駅で決済が完了した時点で従来通りマルス券の「ご利用票兼領収書」が発行され、かつPDFファイルもダウンロードが可能です(乗車日から6か月間)。

「新幹線eチケット」の場合
新幹線の事前割引料金であるトクだ値で取った「新幹線eチケット」でも、紙のきっぷの場合と流れは基本同じです。
「コンビニ・金融機関での決済」の場合、予約が成立した(=席が取れた)後に改めての決済手続が必要です。決済を行わないと自動キャンセルされてしまう点は同じです(予約が流れてしまった場合の課金はありません)。
また、「新幹線eチケット」の領収書については、紙のきっぷと同様、PDFファイルにて取得可能です。




改訂履歴 Revision History
2021年9月20日:初稿
2021年12月23日:初稿 本文加筆・修正
2021年12月31日:初稿 本文修正
2022年02月08日:初稿 本文加筆・修正
2022年3月03日:初稿 本文加筆・修正
2022年3月26日:初稿 本文加筆・修正
2022年5月11日:初稿 本文加筆・修正
2022年5月17日:初稿 本文修正
2022年5月21日:初稿 本文加筆・修正
2022年5月26日:初稿 タイトル修正
2022年5月26日:初稿 本文加筆
2022年6月21日:初稿 修正
2022年8月08日:初稿 修正
2022年8月18日:初稿 修正
2022年10月05日:初稿 修正
2022年10月19日:初稿 修正
2022年12月05日:初稿 修正
2023年4月07日:初稿 修正
2023年4月10日:初稿 修正
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