埼玉県秩父市やその周辺の町には多くの観光スポットがあり、鉄道を利用してめぐる方が多いのではないでしょうか。秩父地区内を走る秩父鉄道線が、秩父神社、三峯神社、長瀞などの観光スポットを結んでいます。
この記事では、東京から秩父まで向かうのにおトクなフリーきっぷ、そして秩父地区内をめぐるのに便利なフリーきっぷを紹介し、それぞれの特長を比較したいと思います。
4種類のフリーきっぷからの迷える選択

筆者は、毎年訪れる三峯神社(埼玉県秩父市)や西武秩父駅内にある祭の湯、長瀞町の中心部でみられる秋の紅葉を楽しむために、そして秩父鉄道線の乗り鉄自体にも秩父鉄道線をよく利用します。東京から秩父鉄道線内に入る主なルートとして、次の3つが考えられます。
● 西武池袋線・秩父線を利用して西武秩父駅から入る
● 東武東上線を利用して寄居駅から入る
● JR高崎線を利用して熊谷駅から入る
JR東日本と秩父鉄道がコラボしたフリーきっぷは残念ながらありませんが、西武鉄道と東武鉄道からは秩父鉄道とコラボしたフリーきっぷがそれぞれ発売されていて、おトクに移動することができます。
西武鉄道が発売するフリーきっぷには「秩父フリーきっぷ」と「秩父漫遊きっぷ」の2種類があります。
東武鉄道・秩父鉄道が発売するフリーきっぷは「SAITAMA(さいたま)プラチナルート乗車券」です。
秩父鉄道も独自のフリーきっぷを発売していて、デジタルきっぷ版「秩父路遊々フリーきっぷ」があります。
これらの4種類のフリーきっぷは、それぞれ違った特長があります。それらの中から、読者さまの移動スタイルに合ったものをご自身で選んでいただきたいです。それぞれのきっぷの特長をこれからご説明します。
2023年4月以降、秩父鉄道のフリーきっぷ事情が変わりました。「長瀞秩父おでかけきっぷ」など紙ベースのフリーきっぷの発売が終了しました。「秩父路遊々フリーきっぷ」がデジタル化し、スマホが必携になりました。スマホもしくはクレジットカードを利用できない場合、きっぷを購入できません。きっぷの使い勝手がよくなった一方、きっぷを買えない場合があることに懸念を感じます。
秩父フリーきっぷ(西武鉄道)

「秩父フリーきっぷ」は、西武鉄道から発売されているフリーきっぷです。西武線内の駅からの往復の乗車券部分と秩父鉄道線内の一部の区間が2日間乗り放題になるフリーきっぷの部分から成るものです。
従来からの紙のきっぷに加え、デジタルきっぷ版の発売が開始しました。小田急電鉄が展開する「EMot」アプリから購入可能ですが、スマホ必携でオンライン決済が必須になります。
● 発売日・有効期間:通年発売、2日間有効
● 発売箇所:西武線内各駅(高麗駅とそれより西武秩父駅方の駅を除く)、オンライン購入「EMot」アプリ
● 乗車当日でも購入可能
● フリー乗車区間:西武秩父線 芦ヶ久保駅ー西武秩父駅 / 秩父鉄道線 野上駅ー三峰口駅
● 主な駅からの運賃額
駅名 | 大人金額 | 小児金額 |
池袋 | 2,350 | 1,180 |
西武新宿 | 2,350 | 1,180 |
高田馬場 | 2,350 | 1,180 |
国分寺 | 2,070 | 1,040 |
所沢 | 1,890 | 960 |
飯能 | 1,650 | 840 |
上表の金額は、900円相当の秩父鉄道線内フリーきっぷの部分と西武線の往復の乗車券の部分を加算したものです。

秩父フリーきっぷの乗車券は1枚構成で、出発からフリー乗車区間での乗り降り、そして帰着まで1枚のきっぷを使い続ける形です。特急「ラビュー」や「S-TRAIN」、「SLパレオエクスプレス」号に乗車する場合は、特急券や座席指定券が別にかかります。
フリーきっぷの有効期間が2日間あるため、秩父で1泊して2日間にかけて移動する場合には、断然おトクなきっぷです。西武線内の発駅からの運賃も割引になるため、このきっぷの商品性は高いと思います。
秩父漫遊きっぷ(西武鉄道)

「秩父漫遊きっぷ」も西武鉄道から発売されています。西武線内の駅からの往復の乗車券部分と、西武秩父線高麗駅ー西武秩父駅間のフリーきっぷ部分(2日間乗り放題)、そして秩父現地で使えるクーポンの部分から成るものです。
「フリー乗車区間」の違いと「現地で使えるクーポンが付くか付かないか」の違いが、上述した「秩父フリーきっぷ」との違いです。
● 発売日・有効期間:通年発売、2日間有効
● 発売箇所:西武線内各駅(高麗駅とそれより西武秩父駅方の駅を除く)
● 乗車当日でも購入可能
● フリー乗車区間:西武秩父線 高麗駅ー西武秩父駅
● 現地クーポンが使える主な施設
西武秩父駅にある祭の湯(入浴・食事・買物:大人950円/小児480円分)、秩父地区の西武観光バスフリーパス(2日間有効)、トヨタレンタカー優待
● 秩父漫遊きっぷ 主な駅からの運賃額【通常の値段】
駅名 | 大人金額 | 小児金額 |
池袋 | 2,230 | 1,120 |
西武新宿 | 2,230 | 1,120 |
高田馬場 | 2,230 | 1,120 |
国分寺 | 1,990 | 1,000 |
所沢 | 1,830 | 920 |
飯能 | 1,610 | 820 |
西武鉄道が発売する「秩父漫遊きっぷ」は、期間限定で「秩父市応援 秩父漫遊きっぷ」として発売されます。秩父市からの補助があるため、通常よりもかなりおトクな値段で提供されます(最近の発売は、2022年7月-2023年3月にかけて)。
●「秩父市応援」秩父漫遊きっぷ 主な駅からの運賃額【期間限定】
駅名 | 大人金額 | 小児金額 |
池袋 | 1,590 | 800 |
西武新宿 | 1,590 | 800 |
高田馬場 | 1,590 | 800 |
国分寺 | 1,470 | 740 |
所沢 | 1,390 | 700 |
飯能 | 1,290 | 660 |
上表の金額は、西武線の往復の乗車券の部分、フリー乗車区間の乗車券の部分、そして大人950円/小児480円相当の現地クーポンの金額を加算したものです。現地でクーポン対象の施設を利用する場合は、この秩父漫遊きっぷを購入すると断然おトクです。

秩父漫遊きっぷの乗車券部分は、1枚で構成されています。発駅を出発してからフリー乗車区間での乗り降り、帰着まで同じきっぷを使います。

乗車券部分に付随して、「漫遊○得クーポン」が付いてきます。大人950円/小児480円分の価値がありますが、有効期間が過ぎるとただの紙切れになってしまうので、すぐに使い切りましょう。
「秩父市応援 秩父漫遊きっぷ」 として購入できる期間は、西武線を往復するだけできっぷの元をとれる区間もあります。(池袋、西武新宿など)。西武秩父駅を往復する場合は格安です。
SAITAMA(さいたま)プラチナルート乗車券(東武鉄道・秩父鉄道)
「SAITAMA(さいたま)プラチナルート乗車券」は、東武鉄道東上線・越生線全区間と秩父鉄道線のふかや花園駅よりも秩父寄りの区間のみ1日間乗り放題になるフリーきっぷです。東武東上線も全区間で1日乗り放題になる点が、このきっぷの大きな特長です。
● 発売日・有効期間:通年発売、1日間有効
● 発売箇所:東武東上線・越生線内各駅、および秩父鉄道線ふかや花園駅から秩父寄りの有人駅
● 乗車当日でも購入可能
● フリー乗車区間:東武東上線・越生線全線 / 秩父鉄道線 ふかや花園駅ー三峰口駅
● 運賃額:大人1,900円/小児950円
東武東上線内の全駅が乗り放題の区間です。東武東上線に往復乗車して秩父鉄道線の方面に出かける場合、東京都区内からであれば、往復するだけできっぷの元を十分に取れます。
秩父路遊々フリーきっぷ(秩父鉄道)

「秩父路遊々フリーきっぷ」は、秩父鉄道線内で発売されていて、秩父鉄道線の全区間が1日乗り放題のフリーきっぷです。JR高崎線で熊谷駅を経由して秩父地方に向かう場合、このフリーきっぷがとても便利です。
2023年3月をもって紙ベースのきっぷの発売が終了し、2023年4月以降はデジタルきっぷとして発売されています。従来の紙のきっぷは週末限定でしたが、デジタルきっぷ化されてからは毎日利用できるようになりました。スマホの所持が必須で、小田急電鉄が展開する「EMot」アプリかウェブブラウザからオンライン購入する形です。
● 発売日・有効期間:通年発売(毎日利用可) 1日間有効
● 発売箇所:「EMot」アプリかウェブブラウザからオンライン購入
● 乗車当日でも購入可能
● フリー乗車区間:秩父鉄道線 全線(羽生駅ー三峰口駅)
● 運賃額:大人1,500円/小児500円

熊谷駅から秩父鉄道線に乗車し、秩父方面に向かう場合の運賃が高額なため、単純に1往復すれば元を取ることが可能です。
秩父鉄道線内を走るSL列車「パレオエクスプレス」に乗車し、秩父鉄道線を往復する場合、乗車券部分としてこのフリーきっぷを購入するのが適しています(SL指定券は別料金)。
まとめ

東京から秩父を訪れるには、西武線の「秩父フリーきっぷ」もしくは「秩父漫遊きっぷ」を利用して、2日間乗り放題を楽しむのが最もおトクです。西武線の両フリーきっぷの商品性はかなり高いと思います。
東武東上線沿線から利用する場合、あるいは一日で秩父と川越の両方を観光するような場合に限っては「SAITAMAプラチナルート乗車券」の利用が適しています。
西武線や東武東上線を利用しない場合は、秩父鉄道線内で発売されている「秩父路遊々フリーきっぷ」の利用を検討しましょう。
Appendix-1:埼玉県民の日フリーきっぷ(秩父鉄道)
毎年11月14日は埼玉県民の日で、埼玉県内の鉄道会社からおトクなフリーきっぷが発売されます。
秩父鉄道でも「埼玉県民の日フリーきっぷ」が大人1,000円/小児500円で発売されます。

このフリーきっぷの効力は、前述した「秩父路遊々フリーきっぷ」と全く同じなので、埼玉県民の日には特売で格安でフリーきっぷを購入できると覚えておいてください(埼玉県民でなくてもフリーきっぷを購入できます)。
詳しくは、以下の記事もご一読ください。
Appendix-2:【発売終了】長瀞秩父おでかけきっぷ(秩父鉄道)
「長瀞秩父おでかけきっぷ」が秩父鉄道線内で発売されていました。秩父鉄道線内の一部区間(寄居駅から秩父寄り)が1日乗り放題の区間限定版フリーきっぷです。
2023年3月いっぱいで発売が終了しました。
● 発売日・有効期間:通年発売、1日間有効
● 発売箇所:秩父鉄道線内の有効区間内の各駅
● 乗車当日でも購入可能
● フリー乗車区間:秩父鉄道線 寄居駅ー三峰口駅
● 運賃額:大人1,000円/小児500円

参考資料 References
● 西武鉄道のフリーきっぷ(西武鉄道)2023.3閲覧

● 秩父鉄道のフリーきっぷ(秩父鉄道)2023.3閲覧

改訂履歴 Revision History
2022年01月24日:初稿
2022年5月11日:初稿 修正
2022年5月17日:初稿 修正
2022年6月21日:初稿 修正
2022年11月03日:初稿 修正
2023年5月07日:初稿 修正
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