筆者が2021年にJR東日本の「大人の休日倶楽部」の会員になってから初めて「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」を購入し、利用する機会に恵まれました。そのパスは、2022年度に追加設定されたネット購入タイプの「大人の休日俱楽部パス」で、商品名称だけ異なります。
大人の休日俱楽部の会員になる特典はいろいろあれど、何より醍醐味なのは、破格な大人の休日倶楽部会員専用のパスを購入できることに尽きるのではないでしょうか。
このパスを利用すれば、JR東日本やJR北海道内の新幹線や特急列車に何回でも乗車できるので、驚くほど安価に遠くに移動することが可能です(ただし指定席は6回だけです)。そんなわけで、簡単にきっぷ代金の元を取ることができます。
この記事では、「大人の休日俱楽部パス」がいかに破格で、簡単にパスの元を取るのが可能だということを、筆者が実際に利用した体験からご説明したいと思います。(この記事では「大人の休日俱楽部パス」を「パス」と略します。)
この記事でお話しする「大人の休日倶楽部パス」は、駅のみどりの窓口でも「駅たびコンシェルジュ」でも購入できますし、ネット予約サービス「えきねっと」上でも購入できます。

目的地の周遊だけではなく、単純往復にも十分威力を発揮する破格のパスです!
えきねっとを利用してパスを購入するための具体的な購入手順については、本記事最後のリンクから筆者の別記事を参照してください(お急ぎの方は コチラ から)。
この記事を執筆した2022年度には「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」が追加発売されました。現在発売されている「大人の休日俱楽部パス」と全く同じ内容の商品です。
パスの種類(行先別に3種類)

「大人の休日倶楽部パス」は、JR東日本とJR北海道の全線(※)が乗り放題のフリーきっぷです。このパスには行先によって3種類あり、それぞれ乗り放題になる対象区間と値段が次の通り異なります。
● 「東日本・北海道スペシャル」
JR東日本・JR北海道の両社全線乗り放題(北海道新幹線も乗り放題)
26,620円(5日間有効)
● 「東日本スペシャル」
JR東日本のみ乗り放題(北海道新幹線を含まない)
15,270円(4日間有効)
● 「北海道スペシャル」
JR北海道在来線のみ乗り放題(北海道新幹線を含まない)
17,400円(5日間有効)
このパスを利用すると、普通・快速列車だけではなく、特急列車や新幹線の普通車自由席にも乗り放題です。そして、普通車指定席に乗車する場合、6回までは追加料金なしに座席指定を受けることができます。
「北海道スペシャル」以外のパスでは、JR東日本の他、次の社線についても乗り放題です。
青い森鉄道/IGRいわて銀河鉄道/三陸鉄道/北越急行/えちごトキめき鉄道(一部区間)/富士山麓電氣鐡道/伊豆急行
2023年度の発売スケジュール
「大人の休日俱楽部パス」は、2023年度には次の3回の発売が予定されています。
2022年度には、ウェブ購入タイプの「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」が追加で発売されていましたが、2023年度には発売されません。
● 2023年6月22日(木)~7月4日(火)
● 2023年11月30日(木)~12月12日(火)
● 2024年1月18日(木)~1月30日(火)
いずれの回も「東日本・北海道スペシャル」「東日本スペシャル」「北海道スペシャル」すべて発売
2022年度下期には、会員以外の誰でも買える「鉄道開業150年記念JR東日本パス」「鉄道開業150年記念ファイナルJR東日本パス」が発売されました。それらは大人の休日俱楽部パスと全く同じ商品設計ですが、値段と座席指定を受けられる回数だけ異なりました。
2023年度にも対象制限なしの東日本パスが発売される可能性がありますが、大人の休日俱楽部会員にとっては、値段が高い分デメリットといえます。
【参考:パス類の発売スケジュール(2023年度)】
年月 | 東日本エリア | 北海道エリア |
2023年04月 | ||
2023年05月 | ||
2023年06月 | 大人の休日倶楽部パス(第1回) | 大人の休日倶楽部パス(第1回) |
2023年07月 | 大人の休日倶楽部パス(第1回) | 大人の休日倶楽部パス(第1回) |
2023年08月 | ||
2023年09月 | ||
2023年10月 | ||
2023年11月 | 大人の休日倶楽部パス(第2回) | 大人の休日倶楽部パス(第2回) |
2023年12月 | 大人の休日倶楽部パス(第2回) | 大人の休日倶楽部パス(第2回) |
2024年01月 | 大人の休日倶楽部パス(第3回) | 大人の休日倶楽部パス(第3回) |
2024年02月 | ||
2024年03月 |
「大人の休日俱楽部パス」の発売方法
年3回発売される通常の「大人の休日倶楽部パス」は、駅のみどりの窓口、駅たびコンシェルジュ、指定席券売機で購入できるほか、ネット予約サービス「えきねっと」でも購入できます。
2022年度に発売された「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」は、ネット購入だけでした。今後もネット購入タイプのパスが発売される可能性はあります。
● 「大人の休日倶楽部パス」
インターネット「えきねっと」の他、駅のみどりの窓口・駅たびコンシェルジュでも購入が可能。
【参考】「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」【2023年度は不売】
インターネット「えきねっと」のみで購入可能。
ネットの操作に自信がない方には、JR東日本の主要駅にある「駅たびコンシェルジュ」に出向き、スタッフから操作のサポートを受けながら、購入操作ときっぷの受け取りをするのをおススメします。
「駅たびコンシェルジュ」について情報が必要な場合、筆者が体験した以下の別記事(↓)をご一読ください。
値段のシミュレーション ~ 元を取るのは簡単♪ ~

「大人の休日倶楽部パス」の有効期間内に新幹線に数回乗車する場合、パスの価格優位性には揺らぎがありません。特に、通常のきっぷの割引率が低いミドル会員にとっては、このパスを利用するが一択と考えます。年会費を支払っても、年に1回でもパスを利用すれば十分にペイできます。
比較検討すべき他のきっぷについて
目的地にもよりますが、パスの元を取る上で比較検討したいのは、次のきっぷや割引です。それぞれのきっぷには下記の通り、非常に分かりやすい特長があります。
● 「大人の休日倶楽部」ジパング会員の30%割引
JR東日本・北海道エリアおよび日本全国のJR線の運賃・料金がピークシーズンを除き、30%引きなのは非常に強力です。
● ネット購入の「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」
目的地への単純往復であれば非常に安価なきっぷですが、割引率が高くなるほど予約を取りにくくなるのが難点です。
● 「北海道&東日本パス」【期間限定】
大人11,330円(7日間有効)
フリー乗車エリアが、乗車できる他社線を除いて、「大人の休日倶楽部パス」と重なります。ただし、乗車できるのは普通・快速列車のみです。特急列車や新幹線に乗車しようと考えている場合は「大人の休日倶楽部パス」がおススメです。
2020年度から2022年度にかけて、北海道による施策として、北海道公共交通機関利用促進キャンペーン「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」が事業化されました。この事業を活用し、JR北海道によって「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」が12,000円にて発売されました。当該事業が終了したことにより、大人の休日俱楽部パスの比較対象となっていたこの周遊パスも、発売終了となりました。
代表的な一部区間の値段の比較
いま述べたこれらのことを証明するため、主な目的地までの運賃・料金をざっくりと比較したいと思います(トクだ値は「お先にトクだ値」にて)。
◆ 東京ー札幌【通常期】
乗車券には往復割引が適用され、新幹線と接続する北斗号の特急券にも乗継割引を適用できます。パスの指定席の枠は、4回分消化することになります。
ジパング会員が片道利用する場合の値段19,900円、およびトクだ値の合算23,070円は、パスの値段26,620円を下回りますが、それ以外はパスのほうが断然低額です。
【片道】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券 | 14,850 | 14,100 | 10,390 | 0 | |
特急券:はやぶさ | 11,330 | 10,760 | 7,930 | 17,410 | トク25 |
特急券:北斗(乗継割引) | 1,580 | 1,580 | 1,580 | 5,660 | トク40 |
合計 | 27,760 | 26,440 | 19,900 | 23,070 |
【往復】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券(往復割引) | 26,730 | 25,380 | 18,700 | 0 | |
特急券:はやぶさ | 22,660 | 21,520 | 15,860 | 34,820 | トク25 |
特急券:北斗(乗継割引) | 3,160 | 3,160 | 3,160 | 11,320 | トク40 |
合計 | 52,550 | 50,060 | 37,720 | 46,140 |
◆ 東京ー八戸(青森県)【通常期】
乗車券には往復割引が適用されます。パスの指定席の枠を2回分消費します。ジパング会員が片道利用する場合の値段11,610円、およびトクだ値12,290円は、パスの値段15,270円を下回りますが、それ以外はパスのほうが断然低額です。
【片道】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券 | 9,790 | 9,300 | 6,850 | 0 | |
特急券:はやぶさ | 6,800 | 6,460 | 4,760 | 12,290 | トク25 |
合計 | 16,590 | 15,760 | 11,610 | 12,290 |
【往復】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券(往復割引) | 17,620 | 16,730 | 12,330 | 0 | |
特急券:はやぶさ | 13,600 | 12,920 | 9,520 | 24,580 | トク25 |
合計 | 31,220 | 29,650 | 21,850 | 24,580 |
◆ 東京ー新潟【通常期】
ジパング会員ではジパング割引を利用した方が低額です。また「お先にトクだ値」が取れた場合はその方が低額です。新潟までの単純往復では、パスの元を取れるか微妙なところです。
【片道】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券 | 5,720 | 5,430 | 4,000 | 0 | |
特急券:とき | 5,040 | 4,780 | 3,520 | 7,380 | トク30 |
合計 | 10,760 | 10,210 | 7,520 | 7,380 |
【往復】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券 | 11,440 | 10,860 | 8,000 | 0 | |
特急券:とき | 10,080 | 9,560 | 7,040 | 14,760 | トク30 |
合計 | 21,520 | 20,420 | 15,040 | 14,760 |
◆ 東京ー松本(長野県)【通年】
所定運賃・料金ベースで往復しても、パスの値段よりも大幅に低額です。松本への単純往復や長野県近辺の周遊では、パスの元は取りにくいです。
【片道】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券 | 4,070 | 3,860 | 2,840 | 0 | |
特急券:あずさ | 2,240 | 2,120 | 1,560 | 4,620 | トク30 |
合計 | 6,310 | 5,980 | 4,400 | 4,620 |
【往復】
きっぷ | 無割引 | ミドル05 | ジパング30 | トクだ値 | トク割引率 |
乗車券 | 8,140 | 7,720 | 5,680 | 0 | |
特急券:あずさ | 4,480 | 4,240 | 3,120 | 9,240 | トク30 |
合計 | 12,620 | 11,960 | 8,800 | 9,240 |
ここで見てきた料金比較のシミュレーションの結果からは、関東地方と東北・北海道地方の間の遠距離移動にはパスの元を取ることができて、断然威力を発揮すると言えます。ただし、ジパング会員の場合、パスを買うかどうかは慎重に考えた方が良いでしょう。
パス購入の手順・指定席6枠のうまい消化方法
「大人の休日俱楽部パス」をインターネットの「えきねっと」上で購入する場合、パスの購入操作を自分で行います。えきねっとでパスを購入する場合、座席指定も自分でできて、とても便利です。
「えきねっと」を使ったパスの購入方法に関する詳しい内容については、以下のリンクの記事に記載しました。本記事の続きとしてご一読ください。
そして、このパスには6回分の指定券を受けられる枠があります。筆者は、そのうまい消化方法についても考えてみました。別の記事に詳しく書きました。以下のリンク(↓)からどうぞ。
東日本スペシャル、北海道スペシャル、東日本・北海道スペシャルとも、座席指定を受けられる回数は6回までです。JR東日本とJR北海道にまたがって遠距離区間を利用する場合、率直なところ6回では少ないと感じます。
例えば、東京駅から札幌駅まで、はやぶさ号と北斗号を普通車指定席で乗り継ぐ場合、往復で4回分を消費してしまいます。
パスを活用したモデルコース
筆者も早速このパスを購入し、実際に4日間旅立ってきました。
4日間普通列車を中心に列車を乗り継ぎ、日本列島の東半分を海岸沿いに約2,000kmを移動しました。かなりの強行軍でしたが、こんな究極な乗り鉄もできるという例を別の記事におさめました。こちらもお読みください!
参考資料 References
● 「大人の休日俱楽部」会報誌(JR東日本) 2023.2

● 「大人の休日俱楽部」公式ウェブサイト

改訂履歴 Revision History
2022年4月10日:初稿
2022年4月18日:初稿 修正
2022年4月22日:初稿 加筆
2022年5月16日:初稿 修正
2022年6月21日:初稿 修正
2022年7月08日:初稿 修正
2022年8月08日:初稿 修正
2022年8月30日:初稿 修正
2022年9月19日:初稿 修正
2022年12月26日:初稿 修正
2023年4月07日:初稿 修正
2023年4月28日:初稿 修正
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