2021年以降、ネット限定で発売されている「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」を、大人の休日俱楽部入会初の機会として、2022年4月に筆者も利用しました。(この記事では「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」を「大人の休日パス」「パス」と略します。)
仙台駅を入口として、北東北地方の太平洋沿岸を走る列車にひたすら乗り続け、青森県を経て日本海沿岸を反時計回りで新潟駅まで向かう経路「東京→仙台→青森→新潟→東京」を、急げばちょうど4日間で回ることができます。

かなりの強行軍ですが、乗り鉄が目的ならば十分可能です。
この記事では、「特別設定 Web限定 大人の休日パス スペシャル」(東日本スペシャル)を活用して、乗り鉄の修行に出かけた4日間の顛末のうち、青森駅から新潟駅に至るまで、後半の2日間分のお話を続けたいと思います。
前半の1日目、2日目の顛末をまだお読みでない方は、まずは以下のリンクから前半編をお読みください。
津軽鉄道が走る津軽半島に寄り道【3日目午前】

北東北海岸周遊の乗り鉄修行、3日目の朝は、投宿していた青森駅前の某ビジネスホテルから出発しました。
パスのフリー乗車区間から外れるものの、青森駅から津軽半島をもっと北上したいと思いました。奥津軽いまべつ駅(青森県今別町)までは、JR北海道の路線である北海道新幹線に料金を別途払って乗車しました。そして、津軽鉄道の津軽中里駅(青森県中泊町)までは乗合タクシーで移動し、最北端の津軽中里駅から津軽鉄道のローカル列車に乗車しました。
(14) 青森駅→新青森駅(奥羽本線)
【乗車列車】普通 642M 青森駅 7:34分ー新青森駅 7:39分
【乗車距離】 3.9km

新幹線が海岸沿いの青森駅まで乗り入れられないため、青森市外の外れに新幹線駅である新青森駅が作られました。新幹線に乗り換えるため、1駅間だけ在来線電車に乗車。
(15) 新青森駅→奥津軽いまべつ駅(北海道新幹線)
【乗車列車】 はやて93号 新青森駅 7:56分ー奥津軽いまべつ駅 8:12分
【乗車距離】 38.5km


青森県内を走る区間ですが、北海道新幹線の一部であるため、JR北海道の運営です。そのため、今回利用している「東日本スペシャル」のパスではフリー乗車できず、別途乗車券と特定特急券を購入しました。1区間で2,190円の出費は大きかったです。
秘境駅ということで降りるのは筆者だけかと思ったら、男性ばかり十数人が他に下車してきて、びっくり。乗合タクシーの運転手さんに聞いたら、彼らは乗客ではなく、JR関係者だそうです。
(16) 奥津軽いまべつ駅→津軽中里駅(乗合タクシー)
34.5km 所要約40分

かつて弘南バスの路線バスが走っていたところでしたが、その路線が2020年秋に廃止され、デマンドタクシーに転換されています。筆者が乗車した時には相客がおらず、貸切だったため、小さいセダンサイズのタクシーでした。4名以上予約がある場合は、大型車両のハイエースで走るそうです。
運賃は全区間乗車した場合、大人一人2,400円です。乗合であるため、タクシーではあってもかなり低廉な金額といえます(予約用ウェブサイトは本記事最後を参照ください)。
新幹線の駅に発着しているためか、乗合タクシーの利用者の大半が観光客で、地元客は現時点では少ないそうです。途中、世界遺産である大平の縄文遺跡を経由して、津軽中里駅までは約40分かかりました。
(17) 津軽中里駅→金木駅(津軽鉄道)
【乗車列車】 津軽鉄道普通 8レ 津軽中里駅 9:49分ー金木駅 10:03分
本州最北の民鉄路線の最北端の駅が、津軽中里駅です。

青森駅から非常にアクセスしにくい場所に位置しているため、筆者は上記の通り、奥津軽いまべつ駅を経由しました。津軽中里駅では本州最北端の駅ならではのきっぷ類を記念に購入することが可能で、駅舎内には食堂もあります。筆者は、まだ出札窓口が開いていない朝の時間帯に訪れましたが、ストーブ列車に乗車してランチ時に訪れるのがいいかもしれません。
車両の愛称は「走れメロス」。太宰治ゆかりの土地とはいえ、筆者的には一瞬思考停止に陥る名前です。津軽中里駅から金木駅まではすぐです。
4月下旬には、金木駅の1駅北にある芦野公園駅の桜が満開になりますが、筆者が訪れた時はまだつぼみでした。
(18) 金木駅→津軽五所川原駅(津軽鉄道)
【乗車列車】 津軽鉄道普通 152レ 金木駅 11:06分ー津軽五所川原駅 11:32分
【乗車距離】 津軽五所川原駅まで20.7km

金木駅(青森県五所川原市)から徒歩数分の場所には、太宰治ゆかりの「斜陽館」があり、純粋な観光で訪れても楽しめる場所です。
金木駅から津軽五所川原駅までの区間ではアテンダントさんが乗務して、観光案内をしてくれます。北東北地方に所在するローカル鉄道は観光客にかなり依存しているのが現状ですが、津軽鉄道も例外ではなく、観光客に対するホスピタリティを感じました。
「リゾートしらかみ」号に乗車し、日本海沿いを南下【3日目午後】

五所川原駅から、再びJR東日本の区間に戻りました。ここから、大人の休日パスのフリー乗車区間のJR五能線に入り、午後は「リゾートしらかみ」号の車内ですっと過ごして、投宿した秋田駅まで長距離を移動しました。いよいよ日本海沿いの南下が始まりました。
(19) 五所川原駅→青森駅(五能線・奥羽本線)
【乗車列車】 リゾートしらかみ1号 五所川原駅 12:10分ー青森駅 13:29分
【乗車距離】 65.2km

【指定券の券面(2枚目)】

津軽鉄道に乗車して津軽五所川原駅に到着した11時半から、「リゾートしらかみ」4号が秋田駅方面に向けて発車する15時まで、五所川原市内で過ごす時間が約3時間半あります。
五所川原周辺の観光で15時まで過ごすこともできます。筆者は乗り鉄に特化すべく、青森駅行きの「リゾートしらかみ」1号に乗車し、終点の青森駅に向かいました。
この日の「リゾートしらかみ」1号・4号の車両運用は、車両の経年が一番少ない「橅(ぶな)」編成で、秋田駅までの約7時間を快適に過ごすことができました。
(20) 青森駅→秋田駅(奥羽本線・五能線)
【乗車列車】 リゾートしらかみ4号 青森駅 13:51分ー秋田駅 19:01分
【乗車距離】 247.6km

【指定券の券面(3枚目)】

青森駅では約20分間停車し、秋田駅に向けて折り返し乗車しました。
「リゾートしらかみ」号は、土休日だけではなく平日にも多くの便が運行されているのがありがたいところです。青春18きっぷを利用できる時期は乗客が多そうですが、筆者が乗車した日は、大人の休日パスの時期であっても乗客が少なく、静かな車内で過ごすことができました。
五能線は日中列車の本数が少ないため、観光客だけではなく、地元の人にも日常の足として利用されているようです。

川部駅から五能線に入ったところで、進行方向の左手に岩木山が見えてきます。筆者が乗車した日は、この区間で「津軽の語り部」を聞くことができました。乗車する日にちによって、語り部の他にも津軽三味線の演奏を聴くことができるようです。
鯵ヶ沢駅では、進行方向右側に日本海が目の前に見えてきて、ずっと日本海沿いを走っていきます。途中の千畳敷駅では、散策のための停車時間があります。

運行開始から25年経った「リゾートしらかみ」号についての詳細については、筆者の別記事を参照ください。
● 2022年に乗車した「橅(ぶな)」編成(最新の情報です)
● 2016年に乗車した「くまげら」編成(情報が古いことをご承知おきください)
【3日目の乗車距離合計】 375.9km
日本海沿いをさらに南下、由利高原鉄道に寄り道【4日目午前】

3日目に「リゾートしらかみ」号で到着した秋田駅に投宿し、4日目の乗り鉄は秋田駅から始まりました。パスを利用しての乗り鉄も、4日目で最終日です。
4日目は秋田駅から羽越本線をひたすら南下し、途中由利高原鉄道に寄り道して、新潟駅を経由して上越妙高駅まで向かいました。秋田駅から村上駅までは日本海の間際を走る区間が続き、本来景観が秀でたところですが、この日は終日雨にたたられました。
(21) 秋田駅→羽後本荘駅(羽越本線)
【乗車列車】 普通 536M 秋田駅 9:11分ー羽後本荘駅 9:55分
【乗車距離】 42.8km

普通列車で、由利高原鉄道が発着する羽後本荘駅(秋田県由利本荘市)まで向かいました。通勤時間帯が過ぎたばかりの静かな時間帯で、車内もとても空いていました。
秋田地区を走る普通列車の車両は経年劣化が進んだ「701系」電車で、車内の座席はロングシートです。旅行者が長時間乗り続けるには、体力的につらいのが確かです。
(22) 羽後本荘駅→矢島駅(由利高原鉄道)
【乗車列車】 由利高原鉄道 普通 7D 羽後本荘駅 10:43分ー矢島駅 11:22分
【乗車距離】 23.0km

由利高原鉄道線は、旧国鉄矢島線が第三セクターの鉄道として転換された路線です。JR線ではないので、別途運賃を支払う必要があります。乗車したのが平日午前中ということもあり、車内は閑散としていました。
この列車(7D)は、車内が改装された、水戸岡氏監修の「おもちゃ列車」で運行されています。そして、秋田おばこに扮した女性のアテンダントさんが全区間で乗務しています。車内の半分はキッズスペースで、木のおもちゃがたくさん置かれています。
晴れていれば車窓から鳥海山が眺められるそうですが、この日は雨だったので代わりに写真を見せてくれました。40分ほどで、終着の矢島駅に到着。
(23) 矢島駅→羽後本荘駅(由利高原鉄道)
【乗車列車】 由利高原鉄道 普通 12D 矢島駅 11:55分ー羽後本荘駅 12:36分
【乗車距離】 23.0km

折り返し駅の矢島駅では30分強の時間があり、駅舎で過ごしました。
由利高原鉄道でも、終点の矢島駅で鉄印をいただけます。書き手によって料金が違い、「まつ子」さんに書いてもらうと料金がプラスになりますが、鉄印帳に直接書いてもらえます(差額は売店の商品代に充当可)。作り置きの鉄印がほとんどの中、直筆は貴重です。

矢島駅構内の売店の店主の「まつ子」さんのことは、以前から話を聞いて知っていましたが、実際に会ってみると、とてもオーラを感じる方でした。まつ子さんとアテンダントさんに見送られ、羽後本荘駅まで帰りました。
由利高原鉄道に関する詳しい記事を、別に投稿しました。以下の記事も、是非ご一読を。
(24) 羽後本荘駅→酒田駅(羽越本線)
【乗車列車】 普通 542M 羽後本荘駅 12:56分ー酒田駅 13:58分
【乗車距離】 62.0km

従前、この時間帯には特急「いなほ」10号が走っていて、快適に移動できる区間でした。2022年のダイヤ改正で臨時列車に格下げされてしまい、乗車機会がなくなったために、再び普通列車での移動となりました。
元々特急列車が走っていた時間帯のためか、普通列車の車内には旅行かばんを持った多くの長距離客が乗車していました。彼らは全員終点酒田駅まで乗車し、そのうちの多くは酒田駅始発となった前述の特急「いなほ」10号に乗り継いでいきました。
この区間も座席はロングシートで、乗車していた1時間が大変長く感じました。この日は雨が降っていたので景色がほとんど見られませんでしたが、天気が良ければ日本海と鳥海山の眺めが美しい区間です。
「海里」号に乗車し、新潟駅に向かう【4日目午後】

大人の休日パスを利用した4日間の旅も大詰め。最終日のラストコースは、ずっと乗りたいと思っていた観光列車「海里」号での新潟駅までの移動です。
(25) 酒田駅→新潟駅(羽越本線・白新線)
【乗車列車】 海里号(上り) 酒田駅 15:00分ー新潟駅 18:31分
【乗車距離】 168.2km

【指定券の券面(4枚目)】

「海里」号は、JR東日本の観光列車「のってたのしい列車」の中でも新参の列車です。従前運行していた臨時列車「きらきらうえつ」号の後継として、2019年から新造車両にて運行されています。
海里号の車両4両編成のうち、指定席券840円を購入して乗車できるのは、1号車のリクライニング席と、2号車のコンパートメント席(半個室)です。4号車にも造りの良い座席がありますが、食事付きの旅行商品として高価で販売されているので、乗車できる機会はなかなかないと思われます。
筆者も4日間の旅の締めくくりとして海里号に乗車しようと思い、座席の予約状況を調べたら、「海里」はあいにく満席。一旦は乗車をあきらめたのですが、ふと調べなおしたら「海里コンパートメント」はたくさん空きがあるではないですか。
ということで、コンパートメント席をとって、今回乗車することができました。約3時間半の乗車時間、フルフラットのシートでのんびり休みながら移動できました。

海里号には食事付きの旅行商品として乗車できると申し上げましたが、一般の指定席に乗車していても、海里特製の弁当が数量限定で車内販売されています。筆者も例によって、上り列車で販売されている「庄内弁」を実際に購入して味わってみました。
今回初めて乗車した「海里」号については、列車の予約の取り方や実際の乗車体験の詳細を別記事として共有しています。以下のリンクから是非ご一読ください。
最終目的地、新潟駅に到着!

大人の休日パスの有効期間である4日間をまるまるかけて、最終目的地である新潟駅までようやくたどり着きました。
ここで旅を締め、首都圏に戻るには、上越新幹線の
とき344号 新潟駅 18:54分→東京駅 20:56分
を利用することができます。新潟駅ナカには、筆者も好きな「ぽんしゅ館」があり、食堂もあるので、一休みしてから新幹線に乗車するのもアリかなと思います。
(26) 新潟駅→上越妙高駅(信越本線・えちごトキめき鉄道)
【乗車列車】 特急しらゆき8号 新潟駅 20:02分ー上越妙高駅 22:01分
【乗車距離】 146.7km

【指定券の券面(5枚目)】

筆者はもう一日、西に旅を続けるべく、新潟駅から在来線特急列車「しらゆき」号に乗車し、上越妙高駅まで向かいました。
4日目は移動距離が長く、体力的にも直通の特急列車を利用することにするため、在来線特急列車のしらゆき8号の指定席を取って乗車しました。大人の休日パスで、えちごトキめき鉄道線の上越妙高駅まで乗車することができます。
特急しらゆき号は新潟地区のホームライナー的な役割があり、通勤客がそこそこ利用している様子でした。一方で、新潟駅から上越妙高駅で北陸新幹線に乗り換えて、金沢駅方面に向かう一定の交通需要があることをうかがうことができました。筆者は指定席枠が余っていたので指定券を取りましたが、それほど混む列車ではないので、自由席でも良いでしょう。
4日間の修行を無事完了!

いずれにしても、上越妙高駅で大人の休日パスの旅はおしまいとなりました。
4月中旬というのに、南岸を台風が近づいていました。本来気候が良い時期にもかかわらず、今回は長期間雨にたたられました。
とはいえ、来年もこの時期にこのパスが発売されたら、東北地方に向けてお花見に出かけようかなと思います。
【4日目の乗車距離合計】 465.7km
【全期間の通算乗車距離】1,659.5km
参考資料 References
● 大人の休日俱楽部 ウェブサイト

● 奥津軽いまべつ駅 乗合タクシー

● 五能線の旅 ウェブサイト(JR東日本)
● のってたのしい列車(観光列車) ウェブサイト(JR東日本)

改訂履歴 Revision History
2022年4月23日:初稿
2022年5月05日:初稿 加筆
2022年5月08日:初稿 加筆
2022年5月16日:初稿 修正
2022年5月26日:初稿 タイトル修正
2022年6月21日:初稿 修正
2022年6月29日:初稿 修正
2023年4月08日:初稿 修正
コメント