毎年4月下旬から5月初旬にかけて見頃の、ネモフィラの花が咲く国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)。ネモフィラの花が見頃の時期に国営ひたち海浜公園に向かうための列車には、東京都心を発着する特急「ひたち」「ときわ」号の他に、臨時特急列車「青の絶景ネモフィラ」号があります。
また、10月中旬には、コキアの紅葉が見頃になります。その時期にも、臨時特急列車「海浜公園コキア」号が走ります。
春の「青の絶景ネモフィラ」号や、秋の「海浜公園コキア」号は、大宮駅(さいたま市大宮区)や八王子駅(東京都八王子市)を発着する他、内房線方面や東海道線方面からも土日に週替わりで運行されます。運行日はあらかじめ発表されますが、その年の天候いかんでは見頃の時期から外れる場合があります。
大宮駅発着の列車では、さいたま市や埼玉県越谷市近辺から、国営ひたち海浜公園の最寄り駅である勝田駅(茨城県ひたちなか市)まで、片道135.5kmの距離を乗り換えなしで移動することができ、とても便利な列車です。
この記事では、国営ひたち海浜公園に向かう足としての特急列車「青の絶景ネモフィラ」号および「海浜公園コキア」号の概要や必要なきっぷの購入方法を説明します。その上で、筆者自身の往復の乗車体験をご紹介したいと思います。

乗り換えなしでひたち海浜公園の最寄り駅、勝田駅に向かえるラクラク列車です!
この列車の情報に加えて、勝田駅からひたち海浜公園までの交通手段や、おススメの見どころを若干、皆さまと共有します。
「青の絶景ネモフィラ」号の概要

「青の絶景ネモフィラ」号は、臨時で運行される特急列車です。大宮駅の他、蘇我駅、八王子駅、大船駅から武蔵野線や常磐線経由で、国営ひたち海浜公園の最寄り駅である勝田駅まで向かいます(2023年春季ダイヤ)。
列車には自由席は設定されておらず、全席指定席で必ず座って快適に移動できます。使用される車両は「ひたち」「ときわ」号で使用されている新車両ではなく、E653系電車という古めの特急用車両が充当されます。
武蔵野線から常磐線に向かうには通常、新松戸駅で乗り換えますが、実は両駅近辺に渡り線があり、直通運転できるように線路が敷かれています。そのため、このような直通列車を走らせることができます。
時期的には、ネモフィラの花が満開になる見頃を見計らっての運行です。毎年4月後半から5月初めにかけて運行されると思われるため、時期が近くなったら国営ひたち海浜公園のウェブサイトやJR東日本のニュースリリースをチェックしましょう。
2023年の運行スケジュール
臨時列車用に充当される「E653系」という特急列車用の車両が週替わりで、勝田駅まで向かいます。2022年は大宮駅発着のみでしたが、2023年は4駅に拡大しました。
● 蘇我駅発着
海浜幕張駅・西船橋駅停車
2023年4月15日(土)16日(日)
● 八王子駅発着
立川駅・新秋津駅・北朝霞駅・南浦和駅・南越谷駅・吉川美南駅停車
2023年4月22日(土)23日(日)
● 大船駅発着
横浜駅・川崎駅停車
2023年4月29日(土)30日(日)
● 大宮駅発着
南浦和駅・南越谷駅・吉川美南駅停車
2023年5月3日(水)4日(木)
「海浜公園コキア」号の概要

ひたち海浜公園にてコキアが紅葉になる10月中旬に合わせて、勝田駅まで「海浜公園コキア」号が運行されます。大宮駅の他、高尾駅、君津駅、平塚駅から、土休日に週替わりで運行されます(2023年秋季ダイヤ)。発着駅に合わせ「海浜公園コキア●●」号と、駅名が入ります。
春の「青の絶景ネモフィラ」号と同じく、「海浜公園コキア」号も全車指定席です。あらかじめ指定券を購入する必要がありますが、必ず座れる直通列車で楽に移動できます。
秋の臨時列車として、8月下旬に運行日やダイヤが発表されます。国営ひたち海浜公園のホームページで見頃を確認しつつ、指定券をあらかじめ購入することをおススメします。
2023年の運行スケジュール
E653系車両もしくはE657系車両で運行されます。下記の駅から乗客を拾って、勝田駅まで向かいます。2022年は大宮駅発着のみでしたが、2023年は4駅に拡大しました。
● 高尾駅発着
八王子駅・立川駅・新秋津駅・北朝霞駅・南浦和駅・南越谷駅・吉川美南駅停車
2023年10月7日(土)~9日(祝)
● 大宮駅発着
南浦和駅・南越谷駅・吉川美南駅停車
2023年10月14日(土)15日(日)
● 君津駅発着
木更津駅・五井駅・蘇我駅・海浜幕張駅・西船橋駅停車
2023年10月21日(土)22日(日)
● 平塚駅発着【E657系】
大船駅・横浜駅停車
2023年10月7日(土)~9日(祝)・15日(日)・22日(日)
「青の絶景ネモフィラ」号「海浜公園コキア」号の乗車に必要なきっぷ

「青の絶景ネモフィラ」号および「海浜公園コキア」号は特急列車なので、乗車するには乗車券の他に特急券を購入する必要があります。この列車は前述した通り、全車指定席の列車のため、あらかじめ座席が指定された特急券を購入するわけです。
特急券(指定席)を購入するには、JR駅のみどりの窓口の他、インターネット予約の「えきねっと」、駅の指定席券売機を使用して購入することもできます。筆者は駅の指定席券売機を自力で操作して購入したので、操作画面の流れを備忘で載せておきます。
臨時列車であるものの、「えきねっと」でも比較的容易にこの列車を表示させ、予約購入することが可能です。発駅と着駅(勝田駅)を入力し、列車の発車日時を正確に入力すると、筆者が認識する限り問題なく検索できます。
駅の指定席券売機でも「えきねっと」と大体同じ状況で、「乗換案内から購入」の画面が操作できれば、他の観光列車よりも比較的簡単にこの列車を表示させることができます。
乗車券に関してはおトクなきっぷが特に存在しないため、普通の乗車券を所定運賃で購入するか、Suicaなどの交通系ICカードで乗車します。


勝田駅までは片道101kmを超えるため、乗車券と特急券を往復で一括で購入すれば、「大人の休日俱楽部」会員は運賃と特急料金の割引を受けられます(ただし、4月27日以降は期間外のため割引なし)。

これから先は、筆者が2022年4月に大宮駅から乗車した時の体験です。
復路の「海浜公園コキア大宮」号で大宮駅へ【2023年】
2023年秋にも、ひたち海浜公園を訪れました。往路は定期列車の特急「ひたち」号に乗車しましたが、復路は臨時列車の「海浜公園コキア大宮」号に乗車しました。

筆者が乗車したグリーン車は人気があり、乗車1か月前の発売時に即売り切れになりますが、普通車であれば1週間前でも席が空いています。

列車が出発する16時台には勝田駅を発着する列車が多く、間際まで発車ホームが分かりませんでした。それで改札口でずっと待機していましたが、発車20分前に発車番線が分かり、ホームへ。階段を降りようとしたら、駅員さんがお土産にコキアの花を限定配布していました。ラッキーなことにその場に遭遇し、ゲット。

列車が発車する2番線ホームには、直前にも特急「ときわ」号が発車することもあって、大勢の乗客で混雑していました。先発の「ときわ」号が発車してからのせわしない入線です。

定刻3分前になって、列車がようやく入線。車両はお約束のE653系K70編成です。多くの人々がこの車両がお目当てのようで、撮影会と化していました。

発車直後の様子。キャラクターの「ムコナ」と駅員さんが一同でお見送りしてくれました。ちょっとしたお祭り状態でした。途中の水戸駅から吉川美南駅まで停車しないことになっていますが、途中の取手駅で運転停車がありました。武蔵野線に入ってからはゆっくり走り、終点の大宮駅には定刻通り到着。
往路の「青の絶景ネモフィラ」号で勝田駅に向かう【2022年】
2022年4月23日に乗車した時の特急券です。グリーン車も連結していますが、筆者が乗車したのは普通車指定席でした。

東京都心の駅を発着する定期列車「ひたち」「ときわ」号とは、特急料金の計算方法が違います。似たような距離でも、料金が若干高額な点を留意してください。

日中よりも少し静かな大宮駅の7番線ホームに筆者が向かったのは、ちょうど朝の8時ちょうどでした。大宮駅の7番線はオールマイティーで、7番線を発着できる列車が多いのですが、臨時列車も例外ではなく、大体が7番線からの発車です。

7番線ホームにある列車名と行先の表示。「青の絶景ネモフィラ」号の列車名がそのまま表示されています。

表示が切り替わると、全車指定席である旨と7両編成であることが表示されます。

写真を撮っているとほどなく、8:01分に東大宮方から列車が入線。E651系の「E70」編成には、国鉄色の塗装が施されています。流線型の前面デザインにも、比較的しっくりなじんでいると思います。

臨時列車で楽しみなのが、車両外面の行先表示板。今回はオーソドックスに「特急 勝田」と表示されています。

普通車指定席の車内。古さを隠し切れない車両です。シートのモケットだけは張り替えられていますが、この時は頭部がかかる白いシートカバーが取り付けられていませんでした。

1号車グリーン車の車内。グリーン車の定員はわずか18人で、普通車とは違った空間が広がっています。E653系のグリーン車は、座席と座席の間がパーティションで仕切られているのにはびっくりしました。
大宮駅を定刻の8:16分に発車。大宮駅を発った時点ではかなり多くの席が埋まっており、途中の武蔵野線内の駅の停車するうちに、ほぼ満席に。この日は天気が良かったので、利用する乗客が大変多く、臨時列車でもほぼほぼ満席でした。

途中の武蔵野線内と、常磐線の取手駅までの区間は普通列車並みにゆっくりと走行。取手駅には9:13分に着き、3分間の運転停車を経て、再び発車。終点の勝田駅までは快走で、定刻に勝田駅に到着しました。
復路の「青の絶景ネモフィラ」号で大宮駅に戻る【2022年】
夕方までひたちなか市内にて過ごし、かえりも同じ列車で大宮駅まで戻りました。

勝田駅からひたち海浜公園に向かうためのローカルな情報に先立ち、この列車の復路の乗車した様子を先に書きたいと思います。

筆者が勝田駅に戻り、改札口を入ったのがちょうど16時。改札口の中ではJRのゆるキャラ「ムコナ」のお出迎えが。

ムコナをアテンドしていたJRの社員さんが作成して持っていた旗。レトロな行先表示板が再現されていました。特急ひたち号ではないのが残念ですが、行先自体はかなりリアルで、旅情を誘います。

勝田駅3番線ホームの行先表示。勝田駅で大宮駅行きの表示を見かけることは珍しいかと思います。多くの乗客たちがホームに降りてきていて、列車を待ち構えていました。

16:10分に列車が入線。車両の行先表示板の表示がシンプルに「特急」。とても分かりやすく、筆者個人的に好きな表示パターンです。

復路の列車も定刻運行で、大宮駅には18:11分に11番線ホームに到着。復路の列車の乗車率はそれほど高くなく、50%ほどの席の埋まり方だったと見受けました。乗客の客層も鉄オタではなく、一般の観光客がほとんどで、臨時特急列車としてはかなり成功している部類だと思います。
勝田駅から国営ひたち海浜公園に向かう

国営ひたち海浜公園は勝田駅の駅チカにあるわけではなく、下記の手段で移動する必要があります。
● 茨城交通の直通路線バスに乗車
● ひたちなか海浜鉄道の列車に乗車し阿字ヶ浦駅で無料バスに乗り換え
路線バスが駅と公園を直行する一方、列車は途中那珂湊駅を経由し、おさかな市場などの観光スポットの近くを通ります。少なくとも片道は列車に乗ることをおススメします。

折しも筆者が直通路線バスに乗車し、公園に向かったのが好天の土曜日の午前中。満席の特急列車が続々と勝田駅に到着し、多くの乗客が吐き出されてくる状況で、路線バスに乗車するまでが修羅場でした。バス乗り場に入る前に長い行列が乗車券売り場に続いていて、バスに乗る前に現金できっぷを買うようになっています。
バスのきっぷ、片道しか乗らなくても、一日フリーきっぷのほうが運賃が安くなっていました(障害者手帳所持者の片道利用を除く)。

一方で、ひたちなか海浜鉄道の列車で阿字ヶ浦駅経由で向かうという手もあります。運行間隔が約40分間隔と少ないのが難点ですが、のんびりした雰囲気は感じられます。とはいえ、勝田駅の乗り場にも長い列ができてました。。。

列車の終点の阿字ヶ浦駅で、無料のシャトルバスに乗り換え。

バスの車体に、シャトルバスである旨の紙が貼られていました。
ネモフィラの花を見てから那珂湊のおさかな市場へ
前掲の写真の通り、公園の園内には恐ろしいくらい多くの客が入っていて、花畑と空を分けるみはらしの丘の稜線が人の行列となってました、汗。

筆者はさっさと写真を撮って、阿字ヶ浦駅に向かうシャトルバスの乗り場である海浜口に向かいました。3台運行のシャトルバスでしたが、3台とも席がすべて埋まってました。

列車に乗り換え、那珂湊駅で降りて徒歩15分で、那珂湊港にある「おさかな市場」に到着。おいしい刺身定食をいただきました。海浜公園や那珂湊の街を回っているうちに、6時間の滞在時間がちょうどいい感じで過ぎました。
「青の絶景ネモフィラ」号は、日帰り旅行に適した列車
朝一に地元の出発して午前中に国営ひたち海浜公園に着き、那珂湊の街によってから勝田駅に戻り、地元の駅に帰るには、ちょうどよい滞在時間です。
定期列車にあるような「えきねっとトクだ値」料金を利用できず、所定の運賃とB特急料金が適用されるため、値段が高いのが、強いて言えば難点です。とはいえ、乗り換えなしに必ず座れる臨時列車は、とても重宝します。
Appendix: 指定席券売機で「青の絶景ネモフィラ」号のきっぷを買う方法

駅のみどりの窓口が最近混雑していて、お困りの方が多いことと思います。JRの駅の運営には問題点が増えてきただけに、指定席券売機の操作を自力でできると、いざという時に心強いです。
指定席券売機の機能の中でも、「えきねっと」と似た操作感を持つのが「乗換案内から購入」です。臨時列車については、基本的にはこの機能を使用して購入します。
(1) 初期画面。「大人の休日俱楽部」会員で、割引できっぷを購入するには、最初に必ず紺色の「大人の休日俱楽部割引きっぷ」を押してください(押し忘れると最初からやり直しになります)。割引の有無にかかわらず、初期画面上では右上の「乗換案内から購入」を押します。

(1′) 大人の休日倶楽部会員の場合、ここでクレカを挿入します。

(1”) 購入条件を読んだら「確認」を押して、先に進みます。

(2) 検索条件の指定画面です。券売機を置いてある駅以外の駅から出発する場合は、自分で駅名を変更します(蛇足ですが、JR西日本管内の駅ではできない場合があります)。今回は在来線の列車なので、「新幹線を利用しない」よう設定します。

(3) 大宮を発駅(経由駅)、勝田駅を着駅とすると、臨時列車としては比較的簡単に「青の絶景ネモフィラ」号が表示されます。

(4) 大人の休日俱楽部割引きっぷの場合、ここで往復乗車券を購入します。(無割引の場合はどちらでも)

(5) 往復で購入できます。発駅と着駅を反対にして検索します。

(6) 検索結果を確認します。

改訂履歴 Revision History
2022年4月24日:初稿
2022年4月25日:初稿 修正
2022年5月16日:初稿 修正
2022年6月21日:初稿 修正
2023年4月07日:初稿 修正
2023年4月22日:初稿 修正
2023年7月03日:初稿 修正
2023年10月17日:初稿 加筆
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