年度あたり3回、定期的に発売される「大人の休日俱楽部パス」。
大人の休日俱楽部パスを使用して列車に乗車する場合、自由席には回数制限なく乗り放題です。それに加え、6回まで無料で座席指定を受けられ、指定席に無料で乗車できます。言い換えれば、指定席の枠が6回分あるということです。
6回分を使い果たすと、それ以上指定席に乗車したい場合は、無割引の特急料金を支払うことになります。このことを裏返して考えると、指定席の枠内で座席指定を受ける場合、できるだけ特急料金の高額な区間で消費すると、よりおトクだといえます。
いきあたりばったりで6回分の指定席枠を消費してしまうのではなく、計画的に枠を消費すると、コストパフォーマンスが最大になります。パスの元を取り、価値を最大限引き出すためには、賢く指定席枠を使うに越したことはありません。

限られた枠なので、うまく使いたいですね。
この記事では、「大人の休日俱楽部パス」に付いている、6回分の貴重な指定席枠のうまい消費の仕方について、筆者の経験を交えてお話ししたいと思います。
大人の休日俱楽部パス|きっぷ本券と指定券について

「大人の休日俱楽部パス」を購入すると、一組のきっぷとして、数枚の券片を受け取ります。
きっぷ本券は、改札口を出入りする際に呈示するための券片です。パスの有効期間が記載されています。座席指定を受けた場合、指定券1枚ごとに1つ「★(赤色の星印)」がきっぷ本券上に印字されます。
それに加え、指定席の座席指定を受けると、座席番号が記載された「指定券」が1回につき1枚発行されます。金額表示がなく「指のみ券」と呼ばれるものです。座席指定の回数の上限が6回のため、指定券も最大6枚発行されることになります。
6回を超えて指定席を利用する場合、超えた分だけ無割引の特急券・指定席券を別途購入する必要があります。この際購入する特急券・指定席券には、大人の休日俱楽部割引を適用できないことを要注意です。
したがって、6回の指定席枠をいかにしてうまく消費するか、思案することになります。
大人の休日俱楽部パス|利用できる時期

この記事の冒頭にて申し上げた通り、「大人の休日俱楽部パス」が発売されるのは、年3回です。それに加え、特別設定のパスが追加で発売されることもあります。
「大人の休日俱楽部パス」の有効期間は、毎年次の時期です。
● 6月下旬~7月上旬
● 11月下旬~12月上旬
● 1月中旬~1月下旬
6月は梅雨の時期、11月下旬は雪の降り始め(晩秋の紅葉の時期)、1月中旬は真冬の最中と、あまり旅行には適していない時期です。
このように、世間がお休みの休暇シーズンではなく、旅行者が少ない「閑散期」に大人の休日俱楽部パスの利用期間が設定されています。
そんなわけで、他の時期と比較して、乗客が少なめの時期です。指定席の予約も比較的取りやすく、自由席も比較的空いているといえます(逆に、パスを利用する乗客のほうが多いようです)。
6回分の指定席枠のうまい消費の仕方

いまお話ししたように、大人の休日俱楽部パスが利用できる期間は、列車が比較的混雑していないといえます。自由席も、他の時期よりは余裕をもって利用できるかと思います。
そんなわけで、自由席が付いている列車は自由席を利用して、指定席しかない列車に乗車する際に枠を消費するのを原則とすると、貴重な枠を有効活用できるかと思います。
指定席枠を消費する必要のある列車
JR東日本エリアには、全車指定席の列車が多く運行されています。ただし、大人の休日俱楽部パスを利用する際、乗車する区間によっては座席指定を必要としません(空席利用)。
座席指定必須の区間を乗車する場合、大人の休日俱楽部パスの指定席枠6回分を充てるかどうか検討します。
【座席指定必須の列車・区間:新幹線】
● はやぶさ・はやて号:東京駅ー盛岡駅間(*)
● こまち号:東京駅ー盛岡駅間(*)
● つばさ号:東京駅ー福島駅
● かがやき号:東京駅ー長野駅
* 仙台駅ー盛岡駅間各駅停車の列車は、座席指定必須ではない
上記区間を含む場合、全区間の座席指定を受けた方がよいでしょう。それ以外の区間では座席指定は必須ではありませんが、心配ならば指定を取るとよいかと思います。きっぷ本券だけで、新幹線の自動改札を通れます。
【座席指定必須の列車・区間:首都圏発着の在来線特急列車】
● 東海道線特急:踊り子号/湘南号の全区間
● 中央線特急:あずさ号/かいじ号/富士回遊号の全区間
● 常磐線特急:ひたち号/ときわ号
● その他の列車:成田エクスプレス/スワローあかぎ号
これらの列車には、「座席未指定券」のシステムが適用されます。乗車する際は、事前に座席指定を受けるか、(枠を使い切った場合)無割引の指定席特急券/座席未指定券を購入しておきましょう。座席指定がないと、特急料金を車内料金で全額徴収されるため、要注意です。
座席未指定券については、筆者の別記事(↓)を参照してください。
伊豆急行線内の踊り子号と富士急行線内の富士回遊号は、全区間大人の休日俱楽部パスで乗車可能です。指定券ももらえますが、線内だけ乗車する場合の特急券は別払いし、枠を消費しない方がよいと思います。
「スペーシアきぬがわ号」など東武線直通特急列車は、扱いが特殊です。全車指定席のため、枠を消費する形で指定券を取れますが、JR線内のみ有効です。いずれにしても、東武線内の運賃・料金は別払いになります。
蛇足ですが、東海道線を走る「サフィール踊り子」号は全車グリーン車のため、大人の休日俱楽部パスだけでは乗車できません。グリーン券を別途購入する必要があります。
必ずしも枠の消費が必要でない列車
全車指定席の新幹線でも、次の区間では指定券なしで空席に乗車できます。指定券を必ずしも取る必要がないため、枠を節約することができます。
【全車指定席の列車・区間:新幹線】
● つばさ号:福島駅ー新庄駅間
● はやぶさ・はやて号:仙台駅ー盛岡駅間(各駅停車の列車のみ)
● はやぶさ・はやて号:盛岡駅ー新青森駅ー新函館北斗駅間
● こまち号:盛岡駅ー秋田駅間
【自由席車両がある列車:新幹線】
● 東北新幹線:やまびこ号/なすの号
● 上越新幹線:とき号/たにがわ号
● 北陸新幹線:はくたか号/あさま号
在来線特急列車では、上述した首都圏発着特急列車以外の特急列車には自由席車両があります。混雑していない限り、自由席を利用することで枠を節約できます。
特急「しらゆき」号は、えちごトキめき鉄道線内に乗り入れますが、料金込みです。新井駅までの区間は大人の休日俱楽部パスで全区間乗車できます。
枠を消費せず無割引の券を別途購入おススメの列車
大人の休日俱楽部パスで座席指定を受けられる列車は、新幹線や特急列車に限らず、普通列車・快速列車の指定席も含まれます。
「リゾートしらかみ」号や「海里」号といった「のってたのしい列車」(観光列車)の指定席券を、指定席枠を消費して取ることもできます。
しかし、指定席券を別払いした場合の料金は、1席530円か840円です。コストパフォーマンスが良いとはいえないので、新幹線や特急列車を優先した方が良いでしょう。
大人の休日俱楽部パスを「えきねっと」でオンライン決済して購入した場合、パス購入後に指定券をえきねっとで取ることができて、とても便利です。ただし、予約する際に個別に決済するのではなく、大人の休日俱楽部パスに紐づける必要があります。紐づけない場合、指定席枠として取ることはできません。
また、パスを購入できる前の段階では「えきねっと」の事前受付を利用することができません。取りにくい列車はパスの指定席枠を消費せず、事前受付にて別途購入した方がよいと思います。
まとめ

「大人の休日俱楽部パス」を購入し、新幹線の長距離区間を指定席で乗車すると、非常にコストパフォーマンスがよいです。はやぶさ号のようなノンストップタイプの列車に乗車する場合には全区間で座席指定を受け、各駅停車タイプの列車に乗車する場合には指定を取らずに空席に座ることが、枠の節約のコツでしょうか。
首都圏発着の在来線特急列車は、たとえ短区間であっても座席指定が必要です。短区間であればパスの指定席枠を消費せず、別途特急券を購入するとコスパが良い場合も考えられます。
観光列車「のってたのしい列車」の指定券は安価であるため、パスの指定席枠を消費せず、別途指定席券を購入した方がよい場合も考えられます。
大人の休日俱楽部パスは駅でも購入できますが、「えきねっと」を利用してネット上でオンライン決済すれば、ネットで座席指定を受けられ、とても便利です。
参考資料 References
● 「大人の休日俱楽部」公式ウェブサイト

● 大人の休日俱楽部パス ご購入ガイド(JR東日本) 2021.7

改訂履歴 Revision History
2022年7月07日:初稿
2023年4月07日:初稿 修正
2023年4月26日:初稿 修正
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