「東武鉄道」きっぷ鉄~手売りきっぷの宝庫~

東武鉄道きっぷ発売所 東武鉄道

関東地方の1都4県にまたがり、広大な営業エリアを持つ、東武鉄道。筆者が住む地元も東武沿線で、広大なエリアが、いわば「大東武ランド」といえるのではないかと思います。

そんな東武鉄道の路線も、列車が頻回運行されている都内のエリアから、1時間の1本のローカル列車が運行されている栃木県や群馬県のエリアまで延びており、沿線風景や輸送形態は非常に多様といえます。

東京都内では東京メトロ線と接続する一方、群馬県ではわたらせ渓谷鉄道や上毛電気鉄道、栃木県では野岩鉄道など多くの社線と接続しています。また、多くの駅で、JR東日本線と接続しています。

つまり、東武線と接続する他社線の駅でも、多くの区間で東武線との連絡きっぷを購入できるということです。それゆえ、バリエーションに富んだ、実に多様なきっぷの様式が存在します。

さらには、東武鉄道では、券売機やマルチ印刷発行機できっぷを発売するケースばかりではなく、いまだに手売りきっぷを発行するケースが多くあります。

収集すると際限ないので、自分なりの目標を持たれると良いと思います!

この記事では、委託駅を含む東武線内の駅で購入できる(過去に購入できた)手売りきっぷと、JR連絡のマルス券にフォーカスして、それらのきっぷがいかに多様であるか考えてみたいと思います。

筆者が保有する手売りきっぷは、実際に存在しうるきっぷの数からみれば、ごく少数に違いありません。その中から、できるだけ多くのものをお見せします。

なお、旅行会社で購入できる船車券については、この記事では割愛します。

きっぷの発売状況は、常に流動的です。本記事に掲載されていても、必ずしも購入できるものではないことを留意ください。訪問する際は、ご自身で各駅で最新の状況を確認してください。

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きっぷの様式が多すぎてコンプリートにはほど遠い

東武小泉線小泉町駅

ここ数年で手売りきっぷの発売が急に縮小しました。とはいえ、以下の券種が手売りベースで細々と発売されています。

● 東武線内の乗車券(連続乗車券を含む)

● 他社線連絡の乗車券【2023年大幅縮小】

● 東武線内列車の特急券・座席指定券

● JR連絡特急列車の連絡特急券(スペーシアきぬがわ)

車内補充券は消滅し、連絡乗車券の発売も2023年に大幅に縮小しました。

これらのうち、乗車券についてはある程度バリエーションが限られていると思います。一方で、特急券や座席指定券といった料金券は、発売手段や箇所が大変多様です。手売りの特急券一つとっても、駅の出札窓口の他、駅ホームでの立ち売り、車内で発行するものまで、多くのパターンがあります。

こんなわけで、筆者がこれまで集められた東武鉄道のきっぷは、ごく一部だと考えています。沼にはまる一方なので、コンプリートにはほど遠い状況です。

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乗車券類の地紋の配色

東武鉄道の手売りきっぷの配色

東武鉄道の常備券や各種補充券といった手売りきっぷは、カテゴリー別に地紋の配色が異なります。筆者が把握する限り、次の通りです。

● 青色

補充片道(往復)乗車券、JR連絡特急の常備特急券

● 橙色

金額式常備乗車券、けごん/きぬ号車内特急券【発売終了】

● 赤色

駅名式車内補充券(橙色と赤色の中間というのが正解だと思います)

● 黄色

SL/DL大樹号の車内座席指定券【発売終了】

● 緑色

駅用特別補充券(駅の出札窓口で発行されるもの)

● その他

りょうもう号の車内特急券は、乳白色の地紋に水色の文字にて印字【発売終了】

多くの券種が姿を消しましたが、現在でも入手できるきっぷの色は、青色と緑色です。

東武鉄道の地紋の配色は、まさに「ゴレンジャー」状態です(世代がバレますねw)。筆者好みの、カラフルな配色の百花繚乱です。このカラフルさに惹かれる人が、多いのではないでしょうか。

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簡易委託駅における金額式常備軟券【発売終了】

東武小泉線竜舞駅にあったきっぷうりば

栃木県内の東武日光線系統の小駅や、群馬県内の東武伊勢崎線系統の小駅では、駅チカの商店や個人宅においてきっぷが委託発売されていました。この委託発売も、残念ながら2022年3月をもって終了しました。

委託発売を行っているお店の軒先には「東武鉄道きっぷ発売所」の味のある看板がありました。

小泉町駅金額式常備券

小泉線小泉町駅(群馬県大泉町)発の常備券を、5枚つづりで冊買いしたものです。170円のものしか在庫がなく、それを購入しました。駅名である「小泉町」の前には、無人駅の意味の「○ム」の表示があります。

小泉町駅金額式常備券

伊勢崎線世良田駅(群馬県太田市)の常備券。ここには、150円の在庫がありました。

剛志駅金額式常備券

同じく伊勢崎線剛志駅(群馬県伊勢崎市)の常備券。150円のものを冊買い。

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駅出札窓口発行の乗車券

駅や委託発売箇所の出札窓口では、各種補充券を用いて乗車券が発売されることがあります。次の通り、発行事由により、いくつかのパターンがあります。

● 一部の委託発売箇所において発売される普通片道乗車券

● 駅出札窓口でJR連絡特急に乗車するため関連発売される普通乗車券

補充片道乗車券
着駅はいずれも大宮駅と、魑魅魍魎な世界(一方は東武、もう一方はJR)

いずれも「補充片道乗車券」が使用されます。発行箇所により、発駅固定の補充片道乗車券(補片)や発駅補充の補充片道乗車券(記補片)の2パターンがあります。往復乗車券用の「補充往復乗車券」も存在するものと想像できますが、筆者はいまだ見たことがありません。

補充片道乗車券

これは、東武線大宮駅ゆきの補片です。大宮駅は、春日部駅経由の東武線経由と、栗橋駅接続のJR大宮駅の2パターンあるので、ややこしいところです。

● 環状経路の周回経路の普通片道乗車券

特別補充券

広大な東武鉄道の路線網の中でも、東武伊勢崎線と東武小泉線に囲まれたエリアで1か所だけ環状経路が存在します。同一駅発着となるため、駅用特別補充券の出番となります。

● 東武線内の連続乗車券

特別補充券

東武鉄道の旅客営業規則にて、連続乗車券が発売される旨規定されています(2023年3月現在)。連続乗車券はマルチ印刷発行機で発券できないため、駅用特別補充券が使用されます。

● 他社線との連絡乗車券【大幅縮小】

特別補充券

東武鉄道において、東京メトロ線や野岩・会津鉄道線などに接続する一部の区間では、券売機にて発売されています。連絡運輸範囲が大幅に縮小しましたものの、何らかの必要がある場合、駅用特別補充券を使用して発売されます。

他にも発行事由があると思いますが、筆者が実際に購入し把握しているのは、以上のパターンです。

乗務員による列車内発行の乗車券

東武20000系電車

従前から、列車に乗務している車掌が、無札乗客から運賃収受したり、乗り越し精算をした際に、当該乗客にきっぷを手交します。ここでやり取りされるきっぷが、「車内補充券」といわれるものです。

最近は、JR各社をはじめとして、大手鉄道会社を中心に車内補充券発行機(車発機)にて、携帯プリンタから車内補充券が印字されることが多くなりました。

東武鉄道においても、車発機が一部で使用開始されたという情報を目にしましたが、依然として手発行の車内補充券が使用されています。ただし、列車のワンマン化で車内精算する機会自体減り、車内補充券を入手しにくくなっています。

車内補充券

ここ数年間、駅名変更以外、様式の大きな変更はありません。一番左の券だけ、旧称の「松原団地」駅となっています。一番右の券には、「東武ワールドスクウェア」駅が追加されています。

東武線・野岩線・会津鉄道線のほか、直通乗り入れする東京メトロ線およびJR直通特急停車のJR東日本の駅が掲載されています。

特急券いろいろ

特急きりふり号
2022年春をもって運行終了した特急「きりふり」号

特急券の発行箇所によって、常備特急券か、駅用特別補充券か、車内特急券のいずれかが特急券として発行されます。

手売りの特急券

● JR直通特急の特急券

JR直通特急列車の特急券および関連発売される乗車券は、一部を除く東武線内各駅で発売されることになっています。この特急列車の予約システムがJRのマルスのため、停車駅以外のマルス端末が設置されていない駅で購入する場合、電話での取次発売になります。それで、席番が手書きされた手売りの常備券となります(もしくは金額式車内特急券で発行)。

着駅がいずれであっても特急料金は同一なので、金額は印字されています。JR特急列車のきっぷについては、筆者の別記事(↓)を参照してください。

● 東武線内の特急券

東武線内の特急列車については、ほぼほぼマルチ印刷発行機発行の端末券で事足ります。しかし、中にマルチ印刷発行機が設置されていない箇所があり、その場合、電話での取次発売になります。手配後、手売りの特急券が発売されます。

この場合、駅用特別補充券が使用され、列車名と席番が手書きです。駅用特別補充券の他、列車ごとの車内特急券が使用される場合もあります。

特別補充券

これは、特急「きりふり」号のラストランの特急券です。ほぼ満席でしたが、一部区間を補充券にて購入できました。

特別補充券一葉券

ごくまれに、特急券と乗車券が一葉にて(1枚まとめて)発行されることがあります。別葉で発行されることが大半のため、大変珍しい事例です。これは、りょうもう号の特急券と片道乗車券で、事由欄に「片道券」「特急券」が併記されています。

● 駅ホーム立ち売りの特急券(車急式特急券)【発売終了】

春日部駅や久喜駅等の特急列車停車駅では、発車時刻間際にホームに立つ駅員さんから特急券を買う必要のあるケースがあります(券売機での特急券発売終了後の飛び乗り)。

この場合、金額式の車内特急券が発行されます。着駅別に設定された金額部分を切り取る方式です。筆者の見立てですが、金額式車内特急券には「リバティ」用、「けごん・きぬ」用、「りょうもう」用、そして「アーバンパークライナー」用があると思われます。

乗車前に座席指定されないため、混雑が予想される時に購入するのはおススメできません。

リバティ車急式特急券

「SL/DL大樹」号座席指定券の委託発売

SL大樹のC11蒸気機関車

日光・鬼怒川地区を走る「SL大樹」「DL大樹」号。乗車するためには、座席指定券を購入する必要があります。この座席指定券は、駅の券売機では購入できず、駅窓口で購入します。端末券が主流です。

【硬券】

鬼怒川温泉駅と東武日光駅の東武ステーションサービス(ツーリストセンター)でも、大樹号の座席指定券を購入できます。その際発行されるのが硬券で、ダッチング体験をさせてもらえることがあります。

SL大樹号硬券表面

これは「SL大樹」6号の小児専用券です。「船車券」としての発行なのが特徴的です。列車の号数ごとに別の硬券が存在することがわかります。表面には、電話手配した席番が手書きされます。

SL大樹号硬券裏面

裏面には、券No.が記載されています。払戻手数料を「賜り」と書いてあるのが、とても丁寧です。

DL大樹号硬券表面

これは「DL大樹」号の船車券です。号数と発着時刻がブランクになっていて、手書きです(補充式)。

DL大樹号硬券表面

先と同様、裏面には、券No.が記載されています。

【補充券】

発行箇所によっては、座席指定券が駅用特別補充券で発行される場合があります(車内券は終売)。

SL大樹号座席指定券

写真左側の駅用特別補充券は、委託発売のものです。右側の車内座席指定券は、アテンダントさんから購入したものです。乗車前に座席指定券を購入するのが原則といえ、空いている時には、飛び乗って車内券を購入するのもアリでしょう。

JR線連絡のマルス券

特急きぬがわ号JR253系車両

先に、東武線とJR東日本線との連絡パターンはほぼほぼ無限であることを申し上げました(接続駅自体は限られています)。JR直通特急列車の停車駅で、マルス端末が設置されている駅では、マルス券にて特急券および乗車券が発売されます。また、JR東日本の駅でも、条件に合致する設定範囲内で東武線連絡の乗車券を購入できます。

東武線連絡マルス券

栗橋駅や栃木駅接続の連絡乗車券については、マルスに運賃登録されています。そのため、自動改札機を通れる8.5cm券が発券されます。また、区間によっては「えきねっと」で購入可能な場合があります。

それ以外の多くの接続駅については、マルスへの運賃登録がないため、その都度運賃情報を手入力して発券します。これを「金額入力」といいますが、この発券方による連絡乗車券の発売がほぼなくなったため、本記事での掲載は割愛します。

筆者の所感

まだまだ多くのパターンの手売りきっぷが残る、大東武ランド。自動改札やマルチ印刷発行機のような機器が広く展開されていますが、すべての発売箇所に導入されているわけではありません。

出札業務において、需要の少ない券種や区間に対して、高額な機器に設備投資するのは、経営資源の無駄といえましょう。乗客の利便性やニーズを犠牲にしないためにも、手作業を適度に残した方が、企業の資源配分上適切と考えます。

きっぷに限らず、鉄道ファンの期待に応え、心をつかむことは、イメージアップにとどまらず、経営上の助けになることに違いありません。東武鉄道さんには、今後の展開を期待したいと思います。

東武鉄道のきっぷ鉄関連記事 Related Posts

東武鉄道のきっぷ鉄は奥深いものがあり、この記事だけではカバーしきれないものがあります。筆者も、本サイトの他の記事にて詳しく書いてあります。どうぞ一読ください。

● かつて出札業務が行われていた板荷駅・渡瀬駅・野州大塚駅について

● 東武鉄道の乗車券類の委託販売について(東武ワールドスクウェア駅など)

● 「えきねっと」で東武線連絡きっぷを購入

● 接続する野岩線・会津鉄道線のきっぷ鉄

● 特急「りょうもう」号の手売りきっぷ

参考資料 References

● 東武鉄道 旅客営業規則

運送約款|東武鉄道公式サイト
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(乗車券類の種類)
第18条 乗車券類の種類は、次のとおりとする。
(1)乗 車 券
イ 普通乗車券
片道乗車券
往復乗車券
連続乗車券

(2023年3月22日閲覧)

改訂履歴 Revision History

2022年7月24日:初稿

2022年7月28日:初稿 修正

2022年8月17日:初稿 加筆

2023年4月07日:初稿 修正

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