快速「湯けむり」号|きっぷの準備方・乗車体験【2023年版】

快速湯けむり号最上駅にて 東北・北海道

宮城県北部と山形県北部を結ぶローカル線、JR陸羽東線。

紅葉が美しい鳴子峡や、鳴子温泉郷への足になる路線です。

そんな陸羽東線には、快速「湯けむり」号という臨時列車が、週末を中心に走っています。仙台駅(仙台市青葉区)を出発し、途中の古川駅(宮城県大崎市)を経由し、新庄駅(山形県新庄市)まで137kmの区間を、停車時間を除き、正味2時間40分程度で結んでいます。

快速「湯けむり」号は、観光列車並みのサービスがある列車ですが、観光列車というよりは純粋な臨時列車という感じがします。そんなこともあり、JR東管内を走る代表的な観光列車「のってたのしい列車」にはカテゴライズされていません

そのため、地味な雰囲気の穴場的な列車です。喧騒を離れて、静かに乗り鉄の風情を楽しむにはいい列車かと思います。

この列車は、年間を通して走っている臨時列車です。通常運行されるキハ110系車両(レトロラッピング車両/一般車両)の他に、トロッコ列車の「びゅうコースター風っこ」が「風っこ湯けむり」号として運用に入ることもあります。

東北地方の素朴な雰囲気を味わえる臨時列車です!

この記事では、一部の時期を除き、全車指定席の快速列車「湯けむり」号について、きっぷの準備方法や座席についての詳細を詳しく説明します。その後、実際に乗車した際の様子を詳しくレポします。

今回は、キハ110系車両で走る通常の快速「湯けむり」号にフォーカスして、お話ししたいと思います。「びゅうコースター風っこ」については、筆者の別記事(URLは文末に)もお読みください。

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快速「湯けむり」号の概要

快速湯けむり号新庄駅にて

快速「湯けむり」号は、週末や祝日に運行されています。仙台駅と山形新幹線終点の新庄駅の間を、小牛田駅(宮城県美里町)、陸羽東線経由で結びます。

同じ区間をかつて走っていた「リゾートみのり」号の、後継となる列車です。走行ダイヤは従前とほぼ同じで、仙台駅を午前中に出発し、新庄駅にお昼頃に着きます。午後に新庄駅から折り返し出発し、夕方に仙台駅に到着します。

下り:仙台駅 9:37分 → 新庄駅 12:37分

上り:新庄駅 15:00分 → 仙台駅 17:40分

※ 2023年度のダイヤ。年度により、数分程度のずれが生じます。

終点の新庄駅が所在する山形県新庄市には、年中楽しめる著名な観光スポットは、これといってありません。したがって、山形新幹線(奥羽本線)と陸羽東線、陸羽西線が接続する新庄駅には、長時間滞在するというよりは、列車の乗り換えに特化した駅のように感じます。

そんなわけで、快速「湯けむり」号の乗客層としては、鳴子温泉への観光客や乗り鉄ファンが主になります。そして、思いがけず多くいたのが、地元の用務客です。山形県北部から仙台市まで向かう足としての実需があるようです。

快速「湯けむり」号の座席

快速「湯けむり」号は、基本的にはキハ110系車両の2両編成です。紅葉時期の多客時期には、指定席車両2両に加え、自由席車両1両が増結されることもあります

快速湯けむり号車内

キハ110系車両は車齢が高く、経年劣化が進んだ車両で、古めの特急列車のような車内です。1号車と2号車の指定席は、1列4席のフルリクライニングシートです。見た目よりも、快適に過ごせます。

快速湯けむり号ボックスシート
1号車15番・16番はボックスシート(発売されない)

向かって仙台駅方が1号車で、新庄駅方が2号車です。1号車と2号車の間にはボックスシートが2か所ありますが、指定席としては発売されていません。

鳴子温泉郷や鳴子峡が見えるのは、A席側です。車窓から見えるのは一瞬ですが、A席側のほうが眺めがいいかなと思います。

快速湯けむり号席番表

席番表の拡大版は、記事最後のコチラをご覧ください。

快速「湯けむり」号の情報源

快速「湯けむり」号は、至って快適に乗り鉄を楽しめる列車です。しかし、どういうわけか「のってたのしい列車」のラインアップには含まれていません。したがって、JR東日本の「のってたのしい列車」公式ウェブサイトには、快速「湯けむり」号の詳細情報が収載されていません。

仙台支社のホームページには、快速「湯けむり」号の運行日や運行区間などの最新情報が、実はあります。しかし、非常に探しにくいです(当該ページのURLは本記事の末尾に)。

運行日や区間を確実に調べるためには、JR東日本のニュースリリースにて定期的に発表される、季節ごとの増発列車の資料から情報を得ることをおススメします。

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快速「湯けむり」号の予約の取り方・きっぷの準備方

快速湯けむり号新庄駅にて

臨時列車の快速「湯けむり」号は、通常の時期は全車指定席で運行されます。そのため、乗車するには、事前に「乗車券」と「指定席券」を用意します。

紅葉時期の多客期(11月前半)には、通常走る指定席2両に加え、自由席1両が増結されます。自由席には乗車券だけで乗車できますが、混雑した場合必ずしも座れるとは限りません。不安を感じるようならば、あらかじめ指定席券を準備することをおススメします。

指定席券のお値段

通年:大人530円(小児260円)

指定席券の発売開始時期

乗車1か月前の日の朝10時00分に座席の発売が開始されます。指定席券を購入する箇所・手段によって開始時期が以下の通り微妙に異なります。

● 駅のみどりの窓口(有人窓口)

乗車日1か月前の10時00分

● 駅の指定席券売機【シートマップ表示可】

乗車日1か月前の10時10分

他の購入手段よりも、開始が10分遅いことに注意してください。

指定席券売機できっぷを買うための操作方法については、筆者の別の記事(↓)をヒントにしてみてください。

● ネット予約「えきねっと」【シートマップ表示可】

乗車日の1か月と7日前の午後14時00分~【事前受付開始時刻】

実際に座席が確保され、予約が成立するのは、乗車日1か月前の10時00分以降です(取れない場合もあります)。

「のってたのしい列車」ではない快速「湯けむり」号を「えきねっと」で予約するには、自分で乗車区間と日にちを入力して検索します。

「えきねっと」ウェブサイトより引用

他の列車と同様、シートマップを表示し、好きな席を選べます。

※ えきねっとで座席が取れた場合、決済完了後に駅の指定席券売機で指定席券(紙のきっぷ)の受け取りが必要です。

「えきねっと」の事前受付に関する詳しい情報は、筆者の別記事(↓)を参照してください。

指定席券の様式

購入後発行される指定席券は、以下の通りです。

快速湯けむり号指定席券
入鋏印のデザインがステキ♪

乗車券について

快速「湯けむり」号に乗車するためには、上記指定席券のほか、乗車区間を含んだ乗車券が必要です。普通乗車券の他に、「週末パス」や「小さな旅ホリデー・パス」を利用することも可能です。また、期間限定の「青春18きっぷ」「北海道・東日本パス」「大人の休日俱楽部パス」(*)を使用してもオッケーです。

* 「大人の休日俱楽部パス」では、快速「湯けむり」号の指定券(指のみ券)を回数の枠内で、パス料金込みで取ることができます。

ここからは、快速「湯けむり」号に乗車した体験です!

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快速「湯けむり」号 上り列車で仙台駅へ【2022年秋】

筆者は、新庄駅から仙台駅まで、快速「湯けむり」号の上り列車に乗車しました。2022年9月中旬で、残暑残る快晴の中での乗り鉄でした。

上り 8728D:新庄駅発 15:00分 →(陸羽東線・東北本線)→ 仙台駅着 17:40分

快速湯けむり号指定席券
新庄駅駅舎

当日、新庄駅には、山形新幹線にて入りました。山形駅を過ぎると車内は空いて、終点の新庄駅では、奥羽本線秋田駅方面や陸羽西線方面に乗り継ぐ乗客が多かったです。

ようこそ新庄駅へのパネル

14時30分頃に、改札口からホームに入りました。改札口の近くには、写真のようなパネルがあります。

新庄駅5番線発車標

快速湯けむり号が発車する5番線ホームに向かったのと同時に、車両が入線してきました。この時には、まだホームにいた乗客は少なかったです。

キハ110系レトロラッピング

この日の車両はキハ110系車両ですが、「レトロラッピング」が施されていました。チョコレート色の外装に、水色のヘッドマークがとても鮮やかです。かつての「リゾートみのり」号の車体が茶色であったことを連想させる塗色です。

レトロラッピングの案内

「レトロラッピング」の外装について、車内に案内がありました。折しも、2022年は鉄道開業150年の節目の年で、昔の客車のイメージを再現したとのこと。

快速湯けむり号行先表示

車両の側面には、LEDの行先表示器が。列車名の「快速湯けむり」が表示されていました。

発車20分前の14時40分に車内に入ることができました。まずは、車内探訪。外装のレトロラッピングが新鮮なのに対して、内装は年季が入っています。昭和時代末期の在来線特急列車の車内の雰囲気で、かなり古い感じです。

快速湯けむり号行先表示

座席の背もたれにあるテーブルの色を見ると、余計に車両の古さを感じます。座席自体は、固定できるフルリクライニングシートです。

1号車、2号車それぞれの車両には前後にドアがあり、デッキはありません。ドア付近の座席は、冬場寒い風が吹き込むかと思います。

快速湯けむり号ボックスシート

1号車と2号車の中間部には、ボックスシートがありますが、指定席として発売されていません。道中気晴らしに、一時的にこの座席を使ってもいいかと思います。

快速湯けむり号2号車車内

2号車の前方にトイレが設置されています。2号車1番、2番の座席は、このトイレの隣なので、座席指定の際には留意しましょう。

ここまで見て分かるように、車両自体には、華やかな観光列車らしさは特にありません。長距離の移動に特化した車内です。

15時ちょうどに、仙台駅に向けて列車が発車。乗車率はそこそこ良く、窓際の席がほとんど埋まっていました。乗り鉄を楽しむファンと地元の用務客が大体半々くらいで、観光列車らしい賑わいはありません。

そんな地味な列車ながら、車内販売のアテンダントさんが終点の仙台駅まで乗務し、飲料やスナックを販売していました。

快速湯けむり号記念乗車証

2022年の「鉄道開業150年」のイベントとして期間限定で配布していた、記念乗車証。青い硬券で、レトロラッピング車両乗車の記念と書かれています。

快速湯けむり号記念乗車証

裏面は、昔風の乗車券のイメージ。鉄道開業150年のデザインなので、2022年限りの記念乗車証と分かります。なかなかナイスな逸品でした。

快速湯けむり号最上駅にて

途中の最上駅では、4分間停車。屋根がないホームに降りると、外の空気がとても新鮮に感じます。ここから鳴子温泉駅までは、陸羽東線の中でも、輸送密度が最も低い区間です。風景がとてもひなびています。

陸羽東線から眺める鳴子峡

山形県から宮城県に入ると間もなく、鳴子峡に至ります。あっという間ですが、トンネルを抜けた瞬間に渓谷を眺めることができます。この眺めを見られるのは、進行方向左側、A席側です。紅葉時期は、ここからの眺めが圧巻なことでしょう。

鳴子温泉駅を過ぎると、平野の中をひた走ります。途中の古川駅では、東北新幹線に乗り換えられます。小牛田駅で陸羽東線が終わり、東北本線に入ります。

仙台駅駅名標

終点の仙台駅には、定刻の17時40分に到着。列車を降りてすぐに夕食を取るのには、ちょうどよい時間です。

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Appendix:快速「湯けむり」号 席番表

窓は、多くの在来線特急列車と同じく、2列で1枚の広窓です。新庄駅ゆきの下り列車に乗る時には偶数番、仙台駅ゆきの上り列車に乗る時には奇数番の座席を選ぶとよいでしょう。

【1号車】

快速湯けむり号1号車席番表

【2号車】

快速湯けむり号2号車席番表

参考資料 References

● 南東北 季節のイベント列車(JR東日本 仙台支社)

東北 旅する列車:JR東日本

● JR東日本 ニュースリリース(臨時列車の運行計画が発表されるところ)

ニュースリリース|企業サイト:JR東日本
JR東日本のニュースリリース(プレスリリース)をご案内しています。

● 筆者の記事:「風っこ」予約の取り方・乗車体験|春夏秋編

改訂履歴 Revision History

2022年9月27日:初稿

2023年4月08日:初稿 修正

2023年7月04日:初稿 修正

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