JR西日本が展開しているクレジットカード「J-WESTカード」。
J-WESTカードを持つと、JR西日本管内の新幹線や在来線特急列車の料金がとてもおトクになると知りました。今後西日本エリアに足を延ばしたい筆者も、これを持つことにしました。
当該会員だけが利用できる割引きっぷを買えることだけでも、原則会費無料(ベーシック会員)のJ-WESTカードを持つメリットがあります。
その上、50歳以上の人がJ-WESTカードを持つと、自動的にミドル・シニア層向け会員サービス「おとなび」にも登録されるため、該当する筆者にとっては大変有利と感じたわけです。
筆者が普段利用しているJR東日本「大人の休日俱楽部」と、今回入会したJR西日本「おとなび」との違いにも、興味を感じました。
この記事では、JR西日本が展開するクレカ「J-WESTカード」とJR東日本(の子会社ビューカード)が展開するクレカ「ビューカード」の違いについて、鉄道の実用面から大雑把に説明します。

北陸新幹線ユーザーやJR西日本エリア在住者にはJ-WESTカード、モバイルSuicaユーザーやJR東日本エリア在住者にはビューカードがおススメ!
そして、J-WESTカード入会で自動登録される「おとなび」の特典と、専用の「大人の休日俱楽部」カードで利用できる特典の違いについて、別の角度から見ていきます。

年会費無料の「おとなび」は、とりあえず入っておいて吉。年会費がかかる「大人の休日俱楽部」の割引は充実しているけど、入会はよく考えて。
JR西日本エリア内に居住する人だけではなく、JR東日本エリアに居住する人にも十分お読みいただける記事に仕立てました。
J-WESTカードの申し込み・サービス利用開始の経緯

詳しい比較に入る前に、筆者がJ-WESTカードを申込み、当該クレカを持つまでの経緯を最初にお話しします(この記事ではゴールドカードではなく、一般カードを前提にします)。
後述しますが、J-WESTカードの種類には「ベーシック」と「エクスプレス」があります。これらの違いは、東海道新幹線を含む「EX予約」を利用できるかできないかだけです。東海道新幹線を利用するので、筆者は「エクスプレス」に申し込みました。
J-WESTカードのブランドには、以下の3つがあります。カードのイシュアはいずれもJR西日本ですが、事務・審査代行会社はそれぞれ次の通りです。
● JCB:(株)ジェーシービー
● VISA/Master:三菱UFJニコス(株)
すでに、JCB発行のプロパーカードか、三菱UFJニコス発行のプロパーカードを持っていれば、単にカードの枚数を追加するだけです。当該クレカを持っていない場合は、まったく新たにカードを作ることになります。
筆者はJCBプロパーカードを持っているので、J-WESTカードにオンライン申込した直後に審査が通り、最速の1週間でクレカが手元に届きました。
J-WESTカードを持つと、自動的に以下のサービスが付いてきます。サービスの利用には、共通のID番号「WESTER ID」を利用します。
● ポイントサービス「WESTERポイント」
● ネット予約サービス「e5489」
● 年齢が該当する場合「おとなび」
これらのサービスを利用するためには、最初に「WESTER会員」の登録が必要です。ただし、IDに紐づいた個人情報が既に登録されていて、操作は簡単でした。

これらのサービスを利用するためのWESTER IDが一つにまとまっているのが特長で、使い勝手がいいです。ネット上でサービスを利用する際、WESTER会員サポートページからログインする形です。

2023年春にサイトがリニューアルされてから、二段階認証が導入されています。ワンタイムパスワードを入力してからトップページに入ります。

トップページには、会員として利用できるサービスが一覧で表示されます。多くのサービスのように入会手続きが別々ではなく、ログインIDもバラバラではありません。操作感が統一していて、まごつくことがありません。
ログイン時に入力する「WESTER ID」は、全サービスで共通です。セキュリティの観点から、当該IDとパスワードの管理はしっかりと行いましょう。
「J-WESTカード」と「ビューカード」の違い

以下に詳しくあげますが、両者の差を端的にまとめると、次の通りです。
主な項目 | J-WESTカード | ビューカード |
年会費 | ベーシックは原則無料 | 原則有料(一部無料銘柄あり) |
会員用割引きっぷ | 設定あり | 設定なし |
ポイント | WESTERポイント | JRE POINT |
EX予約 | エクスプレスは自動付帯 | ビューエクスプレス特約を付加要 |
年会費が無料か有料かが一番の差です。J-WESTカードベーシック会員の年会費は、前年に1回でも利用があれば無料になります。ビューカードは、一部の会費無料銘柄を除き、年会費が有料です。
J-WESTカードには会員専用のネット割引料金があるのに対し、ビューカードには会員専用の割引料金は特にありません(後述の「大人の休日俱楽部」は年会費有料なので、会員割引があるのは言うまでもありません)。
年会費の違い
● J-WESTカード
ベーシック:原則無料
エクスプレス:1,100円
● ビューSuicaカード
年会費:524円
ビューエクスプレス特約:1,100円
※ JREカードやビックカメラ提携カードのように年会費無料のカードもあり
ポイントサービスの違い:モバイルSuicaとモバイルICOCAの付与率
● J-WESTカード:WESTERポイント
決済ポイント:0.5%
有効期限:付与された日の翌年度末まで
e5489/EX予約:1.5%または1.0%(列車により異なる)
モバイルICOCAチャージ:当面1.5%(決済ポイントの3倍)+限定的な乗車ポイント
● ビューカード:JRE POINT
決済ポイント:0.5%
有効期限:通常ポイントは特になし
えきねっとチケレス乗車:5%(クレカ3%+えきねっと2%)
モバイルSuicaチャージ:3.5%(クレカ1.5%+在来線乗車ポイント2%)
モバイルSuicaチャージをビューカードで決済する場合の付与ポイント数と、モバイルICOCAチャージをJ-WESTカードで決済する場合の付与ポイント数の違いが気になりますが、当面の間は両者に差はありません。
在来線乗車ポイントの付与があるので、JR東日本ユーザーはモバイルSuica、JR西日本ユーザーはモバイルICOCAをおとなしく利用するのがよさそうです。
J-WESTカード会員だけが買える割引きっぷ

ベーシック会員かエクスプレス会員かを問わず、JR西日本・四国管内の割引きっぷが購入可能です。ベーシック会員だと、年に1回でも利用するとカードの年会費が無料のため、JR西日本・四国管内の列車を普段利用するならば持っておくとよいクレカです。
● eきっぷ
JR西日本・四国管内特急列車等・九州新幹線の特急券/グリーン券です(普通車指定席・自由席・グリーン席)。乗車券が別に必要です。
EX予約の「e特急券」とは別物です。eきっぷが買える区間しか利用しないのであれば、エクスプレス会員になる必要はありません。
● eチケットレス特急券
JR西日本・四国管内在来線特急列車等に設定されているチケットレス特急券/グリーン券です。J-WESTカード会員用は、乗車1か月前から予約購入可能です。乗車券が別に必要です。
● 早得料金「e早得1」
誰でも買えるネット料金の他に、J-WESTカード会員のみが買えるネット割引料金があります。
会員専用の割引きっぷは非常に奥が深いので、詳しくはそれぞれ別の記事を書いていきたいと思います。
J-WESTカード会員専用きっぷ:どれだけ割引になるのか?
J-WESTカード会員だけが買える割引きっぷ、普通のきっぷと比べて一体どれだけおトクなのでしょうか。多くの列車で利用できますが、ここでは具体例を少しだけご紹介します。
● 北陸新幹線「eきっぷ」
JR西日本区間を含んだ区間の普通車指定席・自由席/グリーン席/グランクラスが割引になります。
東京駅ー金沢駅間(IC用)普通車指定席:所定料金14,380円 → eきっぷ(IC用)13,630円
● 特急「はるか」号 eチケットレス特急券
J-WESTカード会員用の「eチケットレス特急券」は、乗車1か月前から予約購入できます。他にも、乗車前日と当日のみ購入可能な「J-WESTチケットレス」があり、カード会員か非会員かに関係なく購入できます。
天王寺駅ー関西空港駅間 普通車指定席:所定料金2,170円 → eチケットレス特急券650円

表を見てわかるように、各料金の名称が類似していて識別しにくいのが難です。
「おとなび」と「大人の休日俱楽部」の違い

「おとなび」と「大人の休日俱楽部」はともに、50歳以上であれば入会資格があります。おとなびの入会にはJ-WESTカード所有が要件ではないので、誰でも会員になれます。一方で、大人の休日俱楽部はクレカの申込が一体なので、クレカの審査に通らないと会員になれません。
両者の差を端的にまとめると、下表のようになります。
比較項目 | おとなび | 大人の休日俱楽部 |
エリア | JR西日本 | JR東日本・北海道 |
年会費 | 無料 | 有料 |
割引きっぷ | なし ※ | ミドル5% |
フリーきっぷ | 西日本グリーンきっぷ | 大人の休日俱楽部パス |
交通系ICカード | スマートICOCA モバイルICOCA | モバイルSuica |
※ 「おとなび」会員としての運賃・料金の割引はありませんが、「JR西日本ジパング倶楽部」会員としての割引きっぷの設定はあります。
J-WESTカードとビューカードの違いと同様に、「おとなび」と「大人の休日俱楽部」には、会費がかかるかかからないかの大きな違いがあります。
したがって、会費無料の「おとなび」はとりあえず登録しておいてよいのに対し、会費有料の「大人の休日俱楽部」は入会審査もあるのでよく検討したほうがよいかと思います。
J-WESTカード「おとなび」の詳細
いま申し上げたように、おとなび会員になるためには、JR西日本の「WESTER会員」に登録するだけです。年齢要件を満たしていれば、それだけでおとなび会員となります。
留意すべき点は、WESTER会員登録は、J-WESTカード入会手続きとは異なることです。つまり、J-WESTカードに申し込まなくても、WESTER会員になれます。逆に、J-WESTカードを持てば、WESTER会員登録も済んだことになります。ちょっとややこしいですね。
「おとなび」の会員対象・対象エリア
● 会員対象条件
50歳以上であること。WESTER会員には入会必須だが、J-WESTカード入会は任意。
● 対象エリア
JR西日本エリア
「おとなび」年会費
無料
会費有料の「JR西日本ジパング倶楽部」は、おとなびとは別物です。
「おとなび」会員だけが買える割引きっぷ
● おとなびWEB早得
● 西日本グリーンきっぷ(かつてのフルムーンパスの西日本版?)
会費が無料なだけに、割引きっぷが限られているように思います。会員特典を普段使いすることは、あまりないのではないでしょうか。
ビューカード「大人の休日俱楽部」の詳細【ミドル】
普段から割引きっぷを購入できる代わりに、入会のためには年会費がかかる「大人の休日俱楽部」クレカを申し込む必要があります。おトクだからとりあえず入っておこう、というわけにはいかないです。
えきねっとやJRE POINTとは関連があるものの、全く別のサービスで、WESTER会員のような一体感はありません。
この記事では、サービス比較のためミドル会員でお話しします。
「大人の休日俱楽部」の会員対象・対象エリア
● 会員対象条件
50歳以上でミドル会員になれます。ビューカード「大人の休日俱楽部」カード入会が必須です。入会には審査に通る必要があり、希望者が誰でも会員になれるわけではありません。客を選ぶような気がします。
● 対象エリア
JR東日本・北海道エリア
「大人の休日俱楽部」年会費
ミドル会員2,100円
「大人の休日俱楽部」会員だけが買える割引きっぷ
● 大人の休日俱楽部割引きっぷ(201km以上のきっぷで5%割引)
● 大人の休日俱楽部パス(年3回)
大人の休日俱楽部パスの利用価値が高いので、これを利用するために会員になる価値があろうかと思います。「えきねっとトクだ値」などのネット割引料金があるので、5%割引の魅力はそれほど感じられないかもしれません。
大人の休日俱楽部の入会に関する詳細については、筆者の書いた別記事(↓)を参照してください。
まとめ

筆者が今回作った「J-WESTカード」は、ベーシック会員ならば実質会費無料で、特急券やグリーン券が安くなります。おトクなので、乗車する機会があったらこのクレカを作っておくとよいです。
年会費がかかりますが、エクスプレス会員では東海道・山陽・九州新幹線の「EX予約」を利用できます。これ1枚あれば、新幹線も在来線もネット予約サービス「e5489」もオールマイティーです。ただし、J-WESTカードの入会審査は、他のクレカに比べて辛めのように思います。
居住エリアを問わず、交通系ICカードの「モバイルSuica」を利用している方が多いと思います。モバイルSuicaでチャージに使用できるクレジットカードはビューカードだけなので、よく利用する人には必要なカードです。
モバイルSuicaのチャージやチケットレス乗車のためのきっぷをビューカードで決済すると、高率のJRE POINTが付きます。単に交換レート1円のポイントではないので、JR東日本ユーザーであれば価値があります。
JR西日本のミドル・シニア層会員サービス「おとなび」は、会費が無料なので、e5489とセットでとりあえず入っておいても損はありません。J-WESTカードの入会は必須ではありませんが、入っておくととても便利だと思います。
JR東日本の「大人の休日俱楽部」は、入会のために専用のクレカを作り、年会費を毎年払うというハードルが存在します。大人の休日俱楽部パスはとても利用価値が高いですが、JR東日本・北海道エリアを普段利用するかどうか、よく検討することをおススメします。
参考資料 References
● WESTERポータル(JR西日本)
改訂履歴 Revision History
2023年4月12日:初稿
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