50歳以上の人が入会できる、JR東日本・北海道の「大人の休日俱楽部」。年数回、破格な値段で乗り放題のパスを購入できたり、JR東日本・北海道管内の乗車券や旅行商品が割引になったりと、乗り鉄や観光でお出かけする機会が多ければ多いほど、入会の価値が増します。
しかし、大人の休日俱楽部の会員でいるためには専用のクレジットカードを保有し、倶楽部とカードの年会費がそれぞれかかります。ミドル会員で2,100円、ジパング会員(個人会員)で3,840円の年会費の元を取るには、それなりに列車を乗り倒す必要があります。
読者さまの中には、それほど出かけなくなって、年会費が負担とお感じの方がいるかもしれません。大人の休日俱楽部パスを購入するために会員を維持しているのを別にすれば、会員でい続けるかどうか定期的に見直したいです。もしも、デメリットがメリットを上回ると考えるのであれば、大人の休日俱楽部を退会するという選択肢も否定しません。
この記事では、思うところがあって「大人の休日俱楽部」を退会したいと思った場合に必要な手続きをまとめます。また、退会を決意するに至るまでの会員制度のデメリットについても考えたいと思います。

退会手続き自体は、思ったよりも簡単です。しかし、再入会したくなった時に手続きが煩雑なので、慎重に判断してください。
「大人の休日俱楽部」の退会を決意する要素

筆者の友人に、ちょうど50歳を迎えた鉄オタさんがいます。列車に乗る機会がそれなりにあるので筆者が入会を勧めましたが、検討した結果入会を見合わせるとのことでした。
50歳を過ぎたからと言って、入会一択というわけではないことを証明するエピソードです。
大人の休日俱楽部を推すことが多い筆者ですが、物事には常にフェアでありたいと考えています。大人の休日俱楽部のメンバーシップを中断するに至る要因を、ニュートラルな視点で考えていきます。
コストパフォーマンスの感じ方
大人の休日俱楽部の特徴は、年会費がかかることに尽きます。ミドル会員では2,100円、ジパング会員(個人会員)では3,840円かかります(カード年会費524円を除いた金額)。
単純に計算すると、ミドル会員(5%割引)で年会費の元を取るためには、年間42,000円以上のきっぷを買う必要があります。一方、ジパング会員(30%割引)では、年間12,800円以上のきっぷを買えば元を取れることになります。
ジパング会員にとっては割引率が優遇されている半面、ミドル会員には案外渋いのがお分かりかと思います。この結果を見る限り、ヘビーユーザーでない限りはミドル会費の元を取るのが大変です。
割引きっぷの使い勝手の悪さ
大人の休日俱楽部割引で購入した乗車券や料金券は、予定通り使用できる分には問題ありません。しかし、予定の変更が発生した場合にきっぷの変更をしようとしても、特異な規則があり思ったように乗車変更できません。結局、一度払いもどして買いなおすことが多いですが、このような不利益は無割引の乗車券類にはありません。
この問題について、詳しく記事にしています。ご興味あれば、次の別記事(↓)をお読みください。
年間数回発売される「大人の休日俱楽部パス」が、大人の休日俱楽部の醍醐味です。それ目当てで会員を続ける価値はミドル会員であっても十分にありますが、当該パスが設定される時期は閑散期なのがワナです。バリバリ働いている会社員が、そのような時期に簡単に休暇が取れるわけではないと思料します。
これらの要素を考える限り、ジパング会員の対象者の場合はとりあえず入会し続けてもいいけれど、ミドル会員を続けるのを両手を挙げて勧めるわけにはいきません。
クレジットカードの整理
大人の休日俱楽部の会員である条件は、ご周知のとおり当該クレジットカードの会員であることです。クレジットカードを保有することで日常生活が便利になるというメリットがある一方、次のようなリスクやデメリットがあることも覚えておきたいです。
クレジットカードを保有すると、その数だけ個人信用情報機関に情報が登録されます。過剰貸し付けや与信過多を未然に防ぐ観点から、信用情報が登録されることになっています。
万が一支払いの延滞があると、当該クレカだけではなく、保有している他のクレカも使用停止になるなどのデメリットが考えられます。
また、必要なくなったクレカをそのまま放置しておくと、そのクレカに貴重な与信枠がとられることになります。どういうことかというと、何らかの新しいクレカを作る必要になった時に、余分なクレカのせいで審査落ちする場合がありうるということです。
収入が減ってあまり旅行しなくなったとか、倶楽部の会員である割が合わないと考えるようになった際には、クレジットカードの整理をする意味でも大人の休日俱楽部の退会を検討してもいいのではというお話です。
ジパング会員の場合、クレカが付かない「JR東日本ジパング俱楽部」への入会し直しも可能です。特典はそのままにクレカの整理が可能なので、検討に値するでしょう。
会員の病気や死亡
ミドル・シニア世代で常に考えておかなければならないことは、健康状態でしょう。盛者必衰という言葉があるように、誰もが衰えを迎える時がやってきます。
その状態で旅行に頻繁に出かける事は難しいでしょう。その時が、大人の休日俱楽部会員の引き際ではないかと、筆者は考えます。
「大人の休日俱楽部」退会の流れ

大人の休日俱楽部を退会しようと決意しても、手続きが面倒なのではないかと不安に感じるかもしれません。しかし、他のシニア向け商品(健康食品など)にありがちな解約手続きの困難さは、大人の休日俱楽部には特にないので、安心してよいでしょう。
駅にあるみどりの窓口や駅たびコンシェルジュでは、退会手続きができません。以下記載の通り、ビューカードセンターまで直接連絡します。
● ビューカードに退会届を請求する
大人の休日俱楽部カードの退会、イコール大人の休日俱楽部そのものの退会になります。まずは、カードの裏面に記載された電話番号(ビューカードセンター)に連絡し、退会届を請求します。
実は、大人の休日俱楽部会員サイトの中にも退会届があります。分かりにくい場所にあるので参考までにURLを記事末尾の参考資料欄に貼っておきますが、当該URLが変更される可能性に留意してください。
● 大人の休日俱楽部クレジットカードおよび入会キット一式を返送
退会届を入手次第記入を済ませ、退会届と大人の休日俱楽部クレジットカード、入会時に郵送された「大人の休日俱楽部会員証(代理購入証明書)」を返送します。
退会届と一緒に、書類返送先が記載された宛名の部分がついています。それを封筒に貼って返送できる形です(切手不要)。
ビューカードに届いた時点で退会完了です。
退会手続きが面倒かと心配に思う方がいらっしゃると思いますが、実はとても簡単です。去る者は追わず、という感じでしょうか。
ジパング会員の会員手帳については、有効期限まで使用できます。退会時期によっては返却を求められることがあるので、ビューカードセンターに各自確認してください。
退会における留意点をいくつか
● 代理人による退会手続きも可能
病気や障害、死亡で会員本人が退会手続きできない場合が考えられます。その場合、家族などが代理で手続きすることもできます(手順は上述した通りです)。代理人といっても、法定代理人である必要はありません。
● 大人の休日俱楽部カードについているSuica機能について
退会手続きで大人の休日俱楽部カードを返却するため、カードに付いていたSuica機能は利用できなくなります。Suica残高を使い切るか残高の払いもどしをしてから、退会手続きに進みましょう。
● JRE POINTについて
大人の休日俱楽部カードを返却すると、カードに紐づいていたポイントサービス「JRE POINT」が失効します。
ただし、JRE POINTと紐づいている別のクレカ(ビューカード)やポイントカードがあれば、そちらにまとめられます。退会手続きを進める前に、プラスチックのJRE POINTポイントカードを入手し、大人の休日俱楽部カードと紐づいた既存のJRE POINT会員番号に追加登録するとよいと思います。
まとめ

ジパング会員では圧倒的に感じられるコスパも、ミドル会員では魅力が薄れるのは事実です。大人の休日俱楽部パスを購入するためのパスポートとして入会し続けるのならば別ですが、見合わないと思ったら躊躇なく退会するのも一つの方向性だと思います。
大人の休日俱楽部カードを含むクレジットカードを多く保有している場合、収入が減少した際に保有するクレカの枚数が収入に見合わない可能性があります。その場合、クレカの整理を行うべきです。
そのような要因で大人の休日俱楽部カードを解約する(倶楽部を退会する)決意が付いた場合手続きを進めますが、手続き自体は意外に簡単です。
最後に、大人の休日俱楽部のメンバーシップについて、筆者の所感です。
50歳以上と利用対象を絞った会員組織「大人の休日俱楽部」には、実際のところ賛否が多いです。特に、若年層からの反発が大きいことを身にしみて感じます。
筆者が大人の休日俱楽部に入会してから2年間推してばかりいましたが、一歩引いて考えようと思い、本記事を執筆しました。本サイトがニュートラルと謳っている以上、メリットばかりではなく、デメリットも指摘してフェアな立場であろうと思います。
会員が退会を考えないように、サービスを縮退させるのではなく、他にはできないような攻めた施策をJR東さんには期待したいです。
参考資料 References
● 大人の休日倶楽部会員サイト(JR東日本)2023.7閲覧

● 大人の休日倶楽部退会について(JR東日本)2023.7閲覧
改訂履歴 Revision History
2023年7月20日:初稿
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