鉄道の在来線を利用する際、SuicaやPASMOといった交通系ICカードを使用して改札を通るのが、現在では一般的です。
JR東日本においては2001年11月からSuicaの利用が始まり、2013年には全国の主要交通系ICカードの共通利用が始まりました。そんな流れもあって、現在では大都市圏内の交通系ICカードの普及がほぼ完了したといえるでしょう。
そんな中で、紙のきっぷ(普通乗車券)は徐々に出番が少なくなってきましたが、交通系ICカードにはない「途中下車」という優れた制度があります。しかし、交通系ICカードの普及の影響で、途中下車制度が怪しいと考えています。
JR東日本管内においては、Suicaの利用エリアが拡大するのと同時に、途中下車制度が適用されない「大都市近郊区間」も拡大しました。その流れについて、途中下車制度を骨抜きにしようとしているのではないか、という疑念をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
この記事では、近未来的に起こりそうな途中下車制度の存廃について、鉄道会社の中でもJR東日本にフォーカスし、JR東日本の思惑と旅客にとっての便益のせめぎあいについて考察したいと思います。
この記事を読み解くには旅客営業制度の基礎的知識がないと難解ですが、話を進めるにあたって「途中下車」制度と「大都市近郊区間」、そして「遠距離逓減制」について説明しながら、なるべく易しくお話しできればと思います。

鉄道会社は単なる営利企業ではなく、社会的役割が期待されます。Suica利用を推進するにあたって、利用者に不利益がもたらされないような配慮がJR東日本には求められます。
JR東日本管内で相次いでSuicaエリアが拡大
JR東日本の首都圏エリアでは、2001年11月から2002年春にかけて、交通系ICカードSuicaによる乗車サービスが始まりました。2001年のサービスインの段階では、拡大される前の東京近郊区間にある424駅(東京駅から大体100km圏内)が対象でした。
その後、2009年と2014年にSuica利用エリア(東京近郊区間)が拡大され、巨大なエリアが誕生しました。同時に、新潟エリア(新潟近郊区間)と仙台エリア(仙台近郊区間)が追加されたことで、JR東日本エリアの大半の駅がいずれかのSuicaエリア(大都市近郊区間)に含まれることになりました。
2023年5月には北東北エリアの秋田・青森・盛岡地区にSuicaが導入されました。また、2025年を目途に篠ノ井線長野駅および大糸線内までSuicaエリアが拡大されます。

長野駅までのSuicaエリア拡大によって、東京近郊区間もあわせて拡大される見込みです。大都市近郊区間同士がほぼ隣接し、それらが結合すれば、これまで見ないような巨大なSuicaエリアが誕生することになります。「近郊区間」という用語が怪しくなるほどまでに、途中下車の概念がますます縮小しそうです。
これらのSuicaエリアが結合される可能性は?
これまでSuicaを技術的に支えてきたのが、各駅にある単体の自動改札機でした。いわばスタンドアロン型のシステムでしたが、現在は技術が進歩し、IPネットワークとクラウドが幅を利かせる時代です。
実際に、2023年5月にローンチした秋田・青森・盛岡エリアのSuicaは、センターサーバーと通信するクラウドベースのシステムです。
今後機器の更新が進み、すべてクラウドベースになった場合、技術的にはいつでも全社エリアを一つのSuicaエリア=全社一つの「近郊区間」とすることがいくらでも可能になります。
このような背景から、近未来的にJR東日本エリアが単一のSuicaエリア「東日本近郊区間?」になるのではないかと個人的に考えています。
本記事でお話ししているSuicaエリア(大都市近郊区間)は、在来線が対象です。新幹線には、在来線とは別の出改札システムが整備されていることもあり、大都市近郊区間から除外されています。したがって、新幹線を利用した場合、在来線利用と運賃が異なることがあります。
途中下車制度と大都市近郊区間制度について

JR東日本管内にはSuicaエリアが複数ありますが、それらの結合について本記事で考察します。一方、交通系ICカードのエリアは鉄道会社各社で異なります。JR他社や他の会社線またがりでは、本記事で説明するような途中下車制度の消滅は、今のところ考えられません。
途中下車制度
JR各社で発売される普通乗車券(紙のきっぷ)には、途中下車という制度があります。簡単に整理すると、
● 経路全体で101km以上
● 後戻りしない
● 運賃(普通乗車券)のみの概念
です。改札口を出る時にきっぷを回収されてしまうのが原則ですが、途中下車できる普通乗車券では途中駅では回収されず、旅行をそのまま続けられます。
したがって、運賃部分の普通乗車券については、改札口を出るたびにきっぷを買いなおすのではなく、通し計算できっぷを買うことができます。途中下車制度は利用者目線でメリットが多いのですが、詳しくは別の機会にお話しします。
なお、特急券などの料金券については途中下車制度はなく、改札口を出るたびに買いなおすことになっています。また、Suicaなどの交通系ICカードには、そもそも途中下車という概念はありません。
大都市近郊区間
全国には「大都市近郊区間」というゾーンが何か所か設定されています。そのうちJR東日本管内では、東京近郊区間、新潟近郊区間および仙台近郊区間の3つがあります。このゾーン内で完結する乗車券には、一般ルールに加えて、以下のようなルールが適用されます。
● 普通片道乗車券の有効期間は当日限り
● 距離にかかわらず途中下車前途無効
● 最短経路で運賃計算
現在では途中下車制度が例外的に取り扱われますが、実はその逆です。途中下車制度が原則で、大都市近郊区間がその例外です。
途中下車できない代わりのトリックが、選択乗車です。運賃計算が最短経路で行われる一方、乗車する経路が後戻りせず一筆書きである限り任意に選択できるため、長距離にわたる大回り乗車がブームになったりします。
【東京近郊区間】

【新潟近郊区間】

【仙台近郊区間】

東京・新潟・仙台近郊区間(Suicaエリア)がもしも結合したら

いま、大都市近郊区間における選択乗車についてふれましたが、もしも現行の東京・新潟・仙台近郊区間(Suicaエリア)が一つに結合したら、すごい現象が生じます。
乗車券の有効期間が当日限りなので1日で乗車できる範囲に限られますが、最短区間のきっぷで観光列車「のってたのしい列車」を満喫できることも夢ではありません。例えば、
常磐線ー磐越東線ー磐越西線ー信越本線ー上越線ー高崎線
の大回り乗車も可能になります。
Suicaエリアの拡大にあたっては、制度を根本的に見直さない限り、途中下車制度の縮小と大回り乗車の拡大の矛盾を抱えることになります。
交通系ICカードのSF乗車と普通乗車券の法的根拠

発駅から着駅までの運賃を支払う際、Suicaなどの交通系ICカードを使用するか、紙のきっぷ(普通乗車券)を買うか、利用者の希望に委ねられています。
交通系ICカードを使うことを厳密に言えば、当該交通系ICカードに運賃をチャージしておき、着駅で確定した運賃を引き落とすことを指します。チャージ残高のことを、規定上「ストアードフェア残高(SF残高)」といいます。
一方、従来からの慣行である普通乗車券は、あらかじめ乗車する経路を決めてから前もって乗車券を購入する形をとります。
したがって、乗車する前に経路が確定している普通乗車券や定期乗車券には振替輸送の制度があり、着駅まで経路が確定しない交通系ICカードのSF乗車には、振替輸送の制度が適用されません。
同じ区間を乗車するにも、運賃の支払い方次第で効力が異なるケースがあるわけですが、それぞれ適用される運送約款が異なるからです。
● 普通乗車券・定期乗車券など
根幹ルールの「旅客営業規則」が適用されます。交通系ICカードが誕生する前から存在した基本ルールです。
● 交通系ICカードでのSF乗車
各社の「ICカード乗車券取扱規則」が適用されます。今申し上げたSF乗車の特性を鑑みて制定された特別ルール(単行規定)です。
それぞれ、運賃計算の考え方が異なります。発駅で前もって経路を確定させ、きっぷをあらかじめ買って運送契約を成立させる普通乗車券と、発駅で運送契約自体は成立するものの、着駅まで運賃や経路が特定されない交通系ICカードのSF乗車とでは、性格がまるで異なります。
話を戻すと、Suicaエリアを拡大するにあたって大都市近郊区間を拡大しなければ、Suicaでは途中下車ができないのに普通乗車券では途中下車できるという矛盾がありました。その現象を是正するために、ここまで近郊区間が拡大したというわけです。
Suicaエリア拡大で途中下車制度が犠牲に
これまでお話ししてきたように、Suicaエリアの拡大は大都市近郊区間の拡大を意味し、結果的に途中下車制度の縮小につながります。
途中下車制度が適用される普通乗車券を手にするには裏技的な知識が必要で、さもなければ改札口を出るたびにきっぷを買いなおさなければなりません。
当局側であるJR東日本にすれば、チケットレス乗車を推進するために紙のきっぷを減らしたいに決まっています。Suica推進上の矛盾点である普通乗車券の途中下車制度を、強引につぶしにかからないとも限りません。
もしも一線を越えて、JR側が紙のきっぷ(普通乗車券)を売らずにSuicaでのSF乗車をごり押ししたら、これからお話しするように利用者が不利益を被る場面が確実に増えます。
途中下車制度がないと運賃計算が利用者目線で不利に

JRの普通乗車券の運賃計算は、基本的には乗車する距離に対し、一定の賃率をかけて算出します。その賃率が長距離であればあるほど低額となるため、最終目的地までの距離が長ければ長いほど、通しで運賃計算した方が運賃が安くなります(これを「遠距離逓減制」と言います)。
通しで運賃計算することは、途中下車制度とセットになります。発駅から着駅まで休憩なしに長距離を移動することは容易ではありません。実際に、途中駅の改札口を出て休息することが、長旅には欠かせません。
途中下車制度をなくすということは、長距離逓減制のメリットを活かせずに、利用者がより高額な負担を強いられることにつながります。
JR東日本にとっては、途中下車制度をなくすことで増収につながることから、制度をなくしたいのが本音でしょう。
途中下車制度が活きる運賃計算例
発駅から途中駅を経て着駅まで乗車する場合、途中駅できっぷを分割するよりは、着駅まで通しできっぷを買う方が運賃が低額になることが多く、利用者にとって有利です。ここでは、運賃計算の具体的なケースを2例ご紹介します。説明上、JR北海道の在来線や新幹線の経路になることをご了承ください。
札幌駅→滝川駅→旭川駅
2024年に交通系ICカードKitacaが導入される区間です。

札幌駅から旭川駅までは136.8kmで、途中下車が可能な距離です。従前は札幌駅から旭川駅まで通しの普通乗車券を購入し、滝川駅では途中下車してきっぷを使い続けるのが一般的でした。
この区間を仮に交通系ICカードで乗車し、滝川駅で運賃を分割すると、大人で320円高額になります。
【通し】
札幌駅→旭川駅 136.8km 2,860円
【分割】
札幌駅→滝川駅 83.5km 1,890円
滝川駅→旭川駅 53.3㎞ 1,290円
合計 3,180円

途中駅に寄り道して着駅まで向かう場合、交通系ICカードを利用しないで、今まで通りに紙のきっぷを買った方が低額です。
東京駅→郡山駅→仙台駅
この区間は東北新幹線を利用することが一般的です。新幹線に乗車する際は、紙のきっぷである普通乗車券(および新幹線特急券)を買って乗車します(媒体として交通系ICカードを利用する「新幹線eチケット」は普通運賃ではなく、新幹線特急券込みの企画商品です)。
運賃計算上、途中の郡山駅で分割するよりも、仙台市内まで通しで普通乗車券を購入し、郡山駅で途中下車するほうが大人で330円低額です。
【通し】
東京都区内→仙台市内 351.8㎞ 6,050円
【分割】
東京都区内→(北)郡山 226.7㎞ 4,070円
(北)郡山→仙台 125.1㎞ 2,310円
合計 6,380円

もしも途中下車制度がなくなり、郡山駅で別々にきっぷを買う必要が出た場合、これまでよりも330円値上がりするのと同じ効果があります。
今回は新幹線で説明しましたが、在来線を利用する場合も運賃計算の考え方は同じです。
このように、途中下車制度がなくなると運賃の合計金額が高額になり、実質的に値上げになることがお分かりになったと思います。
きっぷの媒体が紙から交通系ICカードに変わっても、途中下車制度が改悪されてしまうと意味がありません。
ここでは、区間を2分割した運賃の合計よりも、区間を分割しない通し計算の運賃の方が低額になる典型的なケースを挙げました。しかし、逆の結果となるケースも当然ながらあります。実際に利用する際には、運賃計算をその都度シミュレーションする必要があります。
交通系ICカードと普通乗車券の具体的な使い分け、運賃シミュレーションの方法については、別の記事を参照してください。
なぜ途中下車制度をなくしたいのか?
いままでお話ししてきたように、交通系ICカードでのSF乗車の推進と、途中下車制度を活用した運賃の節約術で、鉄道会社と利用者の間で互いの利益のせめぎあいが生じることになります。次の2つの点が、考察上のポイントです。
● 運賃収入の減収(途中下車制度)
● 教育研修コストが増大(複雑な運賃制度)
これらの点は鉄道会社視点ではデメリットですが、利用者視点では逆に有利に働きます。残念ながら両者はウィンウィンではなく、互いの利益が相反してしまう関係です。
Suicaエリアの拡大は大都市近郊区間の拡大とイコールで、言い換えれば途中下車制度を活かせるチャンスが減少することにつながります。もしも途中下車制度がなくなり、改札を出るたびに運賃を支払う形では、遠距離逓減制を活かせなくなります。同じ区間を乗車するのに、利用者にとっては負担増になります。
反対の立場であるJR東日本からすれば、一円でも増収を図りたいはずです。そのためには、途中下車制度を廃止して、乗車するたびに運賃を別々にいただきたいわけです。
また、複雑な営業規則を今よりも簡素化できたら、従業員への教育研修を少なくでき、人件費の減少につながります。これでは、JR東日本に限らず引くわけがないでしょう。
上場企業ゆえに利益を増やすことを要請されるJR東日本が、JR東日本エリア全域から「途中下車」という用語をなくそうとしているようにさえ邪推します。
現行の旅客営業規則の改廃が難しいとなると、鉄道会社側は普通乗車券を売らず、交通系ICカード利用を故意に誘導するようになるはずです。旅客営業規則を外し、単行規定の「ICカード乗車券取扱規則」を適用する形にすれば、法的にはクリアになります。
この手を取ることで、合理的な規程である旅客営業規則が骨抜きにされ、JR東日本側により有利な単行規定がまかり通ります。果たして、このようなことが許されてもいいのでしょうか?
矛盾を平和に解決するために~筆者の提案~

それでは、いかにすれば会社と利用者双方にとって平和な制度となるか、JR東日本実務家の考え方を鑑みた上での筆者の考えを提案したいと思います。
JR東日本実務家の考え方と問題点
JR東日本の実務家の言い分は、東京近郊区間を拡大しても現在では1日で目的地までの移動が完了できるから、途中下車不可とするのは問題ないということです。
しかし、利用者目線では素直に容認できません。確かに時間的には1日で移動できるとしても、途中の駅で改札口を出て食事や買い物をするニーズが考慮されていません。
従来からの途中下車制度のもとでは、着駅までの通しの普通乗車券を持っていればこのような行動を自由に行えました。しかし、途中下車が制限されるとなれば、利用者にとっては権利の後退になり、運賃の負担増という形で不利益を受けます。
Suicaの展開に隠れた、諸ルールの改悪。我々利用者は、JR東日本の真の狙いを深読みしなければなりません。
筆者が考える解決策
筆者が思いつく限り、大きく分けて以下の2通りがあります。
● 大都市近郊区間の制限を排した基本ルールの普通乗車券を併存させる
この問題、実は簡単に解消できます。大都市近郊区間内で完結する101km以上の普通乗車券に関するきっぷのルールを、原則に戻すだけです。具体的には、乗車経路を特定して運賃計算を行い、乗車券の有効期間や途中下車に関する制約をなくすことです。
Suicaでサクッと便利に最短距離計算で乗車するか、従来通りの運送条件である普通乗車券を買って途中下車制度のメリットを受けるか、各利用者が選択できることが大切です。
その場合、Suicaはじめ交通系ICカードで乗車した場合と普通乗車券とでは運賃や効力の整合性が取れませんが、いずれを利用するか利用者に選択権を持たせるべきです。
● Suica乗車を強制する場合の通算運賃と分割運賃の差額調整
きっぷの物理媒体としての紙のきっぷを廃止するのであれば、Suicaを媒体として当該乗車券情報を紐づける必要があります。センターサーバーと通信し、その情報を読み出せる現在、技術的には十分可能ではないでしょうか。
発駅から旅行を開始し、途中駅で一旦改札口したのち着駅まで引き続き乗車する場合、通し運賃と比べた運賃の過収受分をSuicaの残高に戻すといった施策も必要でしょう。
おわりに
他の交通系ICカードであるTOICA(JR東海)やICOCA(JR西日本・JR四国)のエリアで発売される普通乗車券には、JR東日本管内でみられるきっぷの効力の制限が基本的にありません。
JR東日本がチケットレス(紙のきっぷ廃止)にシャカリキになっている一方、その他のJR各社はそれほどではないように思えます。従来のルールが適用される普通乗車券と、利便性に勝る交通系ICカードのSF乗車との選択がまだまだ許される状況です。
したがって、交通系ICカードSuicaエリアの拡大に乗じて、途中下車制度などきっぷの効力を泥縄的に制限するJR東日本独特のやり方を、どうしても批判せざるを得ません。
途中下車制度や大都市近郊区間に関する記事は多く見かけますが、どうして途中下車制度を改変したいかという鉄道会社の思惑に切り込んだ記事が他になかったため、この記事の執筆に至りました。
鉄道での移動は、一般的な商品やサービスと異なり、他の鉄道会社を選択するのが困難です。その観点から、鉄道会社は単なる営利企業ではなく、公共性が求められます。旅客営業制度の改廃にあたっては、どうか利用者本位であってほしいです。
参考資料 References
● Suica利用可能エリア(JR東日本)2023.8閲覧
● 長野県における Suica ご利用駅の拡大について(JR東日本)2023.6
https://www.jreast.co.jp/press/2023/nagano/20230620_na01.pdf
● Kitacaエリアを拡大します(JR北海道)2022.9
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/220914_KO_Kitaca.pdf
● JR旅客営業制度のQ&A(自由国民社)2017.5 pp.159-160
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則
(有効期間)
第154条 乗車券の有効期間は、別に定める場合の外、次の各号による。
(1) 普通乗車券
イ 片道乗車券
営業キロが100キロメートルまでのときは1日、100キロメートルを超え200キロメートルまでのときは2日とし、200キロメートルを超えるものは、200キロメートルまでを増すごとに、200キロメートルに対する有効期間に1日を加えたものとする。ただし、第156条第2号に規定する大都市近郊区間内各駅相互発着の乗車券の有効期間は、1日とする。
(途中下車)
第156条 旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によつて、その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため2駅以上を共通の着駅とした乗車券については、最終着駅)以外の駅に下車して出場した後、再び列車に乗り継いで旅行することができる。ただし、次の各号に定める駅を除く。
(2) 次に掲げる区間(以下「大都市近郊区間」という。)内の駅相互発着の普通乗車券を使用する場合は、その区間内の駅
イ 東京附近にあつては、
(選択乗車)
第157条
2 大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。
● 東日本旅客鉄道株式会社 ICカード乗車券取扱規則
(使用方法)
第22条 旅客は、ICカード乗車券を用いて乗車するときは、自動改札機による改札(新幹線停車駅における新幹線用の乗換改札機(奥羽本線福島・新庄間に運転する特別急行列車並びに田沢湖線及び奥羽本線大曲・秋田間に運転する特別急行列車の停車駅における乗換改札機を含みます。以下同じ。)での改札を含みます。以下同じ。)を受けて駅に入場し、同一のICカード乗車券により自動改札機による改札を受けて、駅から出場しなければなりません。
(Suica乗車券を使用する場合のIC運賃の減算)
第38条 Suica乗車券を第22条第1項の規定により使用する場合、出場駅において、入場駅から同一の取扱区間内を経由して最も低廉となる運賃計算経路で算出したIC運賃(第29条の2の規定によりIC運賃と鉄道駅バリアフリー料金とをあわせ収受する場合は、その合算額。以下この章において同じ。)をSF残額から減算します。この場合、小児用のSuica乗車券においては小児のIC運賃を、その他のSuica乗車券においては大人のIC運賃を減算します。
(Suica乗車券の効力)
第40条 第22条第1項の規定により使用する場合のSuica乗車券の効力は次の各号に定めるとおりとします。
(1)当該乗車区間において、片道乗車1回に限り有効なものとします。この場合、小児用のSuica乗車券においては1枚をもって小児1人、その他のSuica乗車券においては1枚をもって大人1人に限るものとします。ただし、小児用以外のSuica乗車券から大人のIC運賃(第29条の2の規定によりIC運賃と鉄道駅バリアフリー料金とをあわせ収受する場合はその合算額)相当額を減算することを承諾して使用する場合には、小児1人が使用することができます。
(2)第23条第1項の各号に規定する同一の取扱区間内にある駅相互間を前号の規定により乗車する場合で乗車経路が環状線1周とならないときは、当該取扱区間内に限りいずれの経路も乗車することができます。
(3)途中下車の取扱いはしません。
(4)入場後は、当日に限り有効とします。
改訂履歴 Revision History
2023年8月01日:初稿
2023年8月04日:初稿 加筆
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