JR全線乗り放題の「青春18きっぷ」。普通列車と快速列車の自由席に5回分乗り放題です。青春18きっぷの柔軟性の高さから絶大な人気があって、40年以上にわたって支持される大ヒット商品です。
そんなきっぷですが、普通・快速列車の自由席にしか乗れないと思い込んでいる方が多いと思います。しかし、列車によっては指定席やグリーン車にも乗車できるのです。時間と費用の限界を探る乗り鉄が青春18きっぷの醍醐味ですが、少しだけ追加投資することで、はるかに快適な乗り鉄を楽しめます。
筆者も学生時代には青春18きっぷのヘビーユーザーでした。社会人になってからは利用する機会が減りましたが、何年かぶりに再び購入しました。東京周辺から普通列車でアクセスしやすい静岡地区や只見線方面に出かけました。
この記事では、青春18きっぷで乗車できる普通・快速列車の自由席以外の設備にはどんなものがあるか、首都圏発で説明します。実際にどんな列車に乗車したか、東海道線や只見線方面に出かけた際に利用した列車もご紹介したいと思います。

首都圏の主要区間を普通列車のグリーン車で移動したり、近畿圏を東西に移動する際新快速のAシートを利用すると、青春18きっぷの真価を感じられると思います。
普通列車の指定席やグリーン車も利用できる青春18きっぷ

基本的に、JR線内の普通列車および快速列車の普通車自由席にしか乗車できない青春18きっぷですが、利用エリアの広さから例外事項が多いのがこのきっぷの特徴です。
具体的には、JR線と接続する第三セクターの路線に一部例外的に乗車できる区間があったり、JR線内の一部区間の特急列車の普通車自由席に乗車できる例外があったりします。
また、利用できる列車の設備にも以下の例外があり、うまく利用すると乗り鉄の質が向上します。
普通列車のグリーン車【自由席】
自由席制のグリーン車が連結された普通・快速列車では、「普通列車用グリーン券」を購入することで当該グリーン車に乗車できます。指定席制のグリーン車には、普通・快速列車であっても乗車できません。
首都圏地区を走る普通・快速列車に連結されたグリーン車が、これに該当します。通勤時間帯には必ずしも座れるとは限りませんが、うまく利用すると普通列車の旅が格段に楽になります。
別に用意するグリーン券には、紙のきっぷの「普通列車用グリーン券」だけではなく、Suicaグリーン券や「JRE POINT」特典Suicaグリーン券でも大丈夫です。
普通・快速列車の普通車指定席
全車指定席の列車を含め、普通・快速列車の普通車指定席では、「指定席券」を購入することで当該普通車指定席に乗車できます。自由席と指定席の両方が連結されている列車でも、自由席にしか乗車できないのではなく、指定席券があれば指定席を利用できます。
JR東日本管内の観光列車「のってたのしい列車」は大半が快速列車なので、指定席券があれば青春18きっぷで乗車できます。
その他にも、以下の列車の普通車指定席にも乗車できます。
● 快速「はまゆり」号
● 快速「湯けむり」号
● 快速「あいづ」号
● 快速「マリンライナー」
● 新快速のAシート
ホームライナーなどの乗車整理券が必要な普通列車
現在では、いわゆるホームライナーのような通勤者向けの快速列車が少なくなりましたが、「乗車整理券」を別に購入すれば青春18きっぷでも利用できます。特急列車の送り込み回送列車がホームライナーとして運行されるケースもあって、普通列車ながら特急列車のようです。
上野東京ラインを走る普通列車のグリーン車に乗車!

東海道線と宇都宮線・高崎線を直通する「上野東京ライン」および「湘南新宿ライン」の普通列車には、自由席制のグリーン車が2両連結されています。筆者も、会社への通勤や少し遠方へのお出かけに普段使いしています。
これを青春18きっぷで利用すると、乗り鉄の質がグンと向上します。ここでは、走行距離で最長不倒の沼津駅発宇都宮駅ゆき普通列車に乗車した際の様子をレポします。
東海道線の行き先はほとんどが熱海駅ゆきですが、朝夕時間帯の一部列車のみ、沼津駅まで運行しています。JR東海管内における唯一の普通列車グリーン車が、熱海駅から沼津駅までの区間を走っています。沼津駅を発車する上野東京ライン方面の普通列車の行先は、最遠で宇都宮駅ゆきです。
1660E:
沼津駅 18:08分発 → 宇都宮駅 22:23分着

青春18きっぷを利用して大阪・名古屋駅方面から東京駅方面に向かう場合、終電には少し早めですが便利に活用できる列車です。東京駅に20:28分、大宮駅に21:03分、終点の宇都宮駅には22:23分に着きます。沼津駅から宇都宮駅までの235.7kmの区間を乗り通した場合、所要時間は4時間15分の長丁場です。

沼津駅の改札口に掲げられた発車標。ほとんどの列車が熱海駅ゆきの中で、宇都宮駅ゆきは目を惹きます。

この列車が沼津駅に入線したのは、17:43分。車内整備が終わってグリーン車の車内に入れたのが、17:56分。

グリーン車のいいところは、座席に設置されたテーブル。グリーン車でないと車内での食事は難しいです。

沼津駅を定刻に発車。熱海駅までの区間はJR東海の乗務員が乗務していて、「JR東海を、、」を強調する車掌の肉声が印象的でした。
この列車に乗車したのは金曜日の夕方の時間帯でした。熱海駅で乗車する人が想定外に少なく、品川駅に着くまでは割と空いていました。品川駅から先は通勤客で満席になりました。筆者は、途中の大宮駅で下車。
高崎線・上越線を経て只見線へ
上記の列車に乗車したのとは別の日に、只見線の乗り鉄を楽しむために、上越線小出駅に向かいました。小出駅には上越新幹線の駅がなく、在来線の普通列車を利用する必要があります。いっそのこと、大宮駅からずっと普通列車を乗り継いで、小出駅に入ることにしました。

例によって、高崎駅までは高崎線普通列車のグリーン車で移動。高崎駅方面への始発列車に乗車しましたが、例によって青春18きっぱーが多かったです。

グリーン車に乗車するために、普通列車用グリーン券をあらかじめ仕込んでおきました。

高崎駅で、上越線普通列車水上駅ゆき(723M)に乗り換え。211系の4両編成でしたが、ロングシートはほぼ満席でした。

水上駅で、長岡駅ゆき普通列車(1729M)に乗り換え。列車本数が激減するボトルネックの区間です。この列車は、E129系の2両編成。列車のキャパが水上駅で半減するので、18きっぱーたちによるイス取りレースが繰り広げられます。筆者は辛うじてロングシートに座れましたが、立ち人が多数でした。
水上駅での乗り換えでは、階段を昇り降りします。高崎駅を出発する列車では、最前部に座っていると乗り換え階段に近いです(4両編成の場合)。
只見線乗り鉄~日本の原風景を満喫~
只見線はすべての列車が普通列車か快速列車で、青春18きっぷとは相性がいい路線です。
小出駅から臨時普通列車に乗車

めでたく小出駅に到着し、この日のメイン只見線乗り鉄が始まりました。只見線の列車へのラッシュを避けたく、小出駅には1本早い列車で到着しました。
9468D:
小出駅 11:26分発 → 只見駅 12:41分着
只見線内に臨時列車が走る週末のみ走る臨時列車です。小出駅には10:40分に入線。2両編成の列車ですが、入線時点で多くの乗客を乗せて座席が結構埋まりました。

11:10分過ぎにこの列車にちょうど接続する上越線普通列車が到着。多くの人が只見線ホームにダッシュしてきました。まさに、青春18シーズンのダッシュ。

六十里越の手前、大白川駅までは平凡な田園地帯を走行。大白川駅から山あいに入ってきました。

長い六十里越トンネルを抜けたら福島県に入り、田子倉湖が見えてきます。

ほどなく、只見駅に到着。多くの人に出迎えられました。只見駅の構内は、恐ろしいくらい多くの人で混んでいました。ここで、会津若松駅ゆき「風っこ只見線夏休み」号に乗り換え。
「風っこ只見線夏休み」号に乗り換え

只見線の会津若松駅から只見駅までの区間には週末、臨時列車が走ることが多いです。この日は、トロッコ列車「びゅうコースター風っこ」が快速「風っこ只見線夏休み」号として走りました。
9428D(風っこ只見線夏休み):
只見駅 13:30分発 → 会津若松駅 16:14分着

毎年7月下旬の週末に只見線内を走る臨時列車です。只見線の全線運行再開後、只見駅まで乗り入れています。

「びゅうコースター風っこ」はJR東日本版トロッコ列車で、夏場は窓が全開です。山間部を走るトロッコ列車は涼しいイメージがありますが、この日は猛暑でした。風っこには冷房がないため、熱中症対策が欠かせません。

冬場にも走る風っこの車内には、だるまストーブが設置されています。するめを焼くのに重宝します。

この列車も満席で発車。只見川鉄橋について、車掌さんが案内放送をしていました。車窓からの只見川の風景は見事です。

会津盆地の眺めも素晴らしいです。阿賀川にかかる鉄橋を渡ると会津若松の市街地に入り、定刻に会津若松駅に到着。只見線の乗り鉄の人気の高さが、訪問している人の多さから感じ取ることができました。
びゅうコースター風っこの予約の取り方や車内設備についての詳細は、以下別の記事(↓)を参照してください。
快速「あいづ」号で磐越西線郡山駅まで向かう

郡山駅から会津若松駅までの区間を結ぶ磐越西線には、快速列車が毎日何往復か走っています。そのうちの3往復が快速「あいづ」号として走っています。
あいづ号には指定席が連結されていて、指定席券があれば青春18きっぷでも乗車できます。筆者が乗車した時には指定席が満席だったので、残念ながら乗車できませんでした。
只見線から、快速「あいづ」6号(3242M)に乗り換え。4両編成の列車ですが、この区間は乗車率がよくて、混雑していることが多いです。この時もほぼ満席でした。
郡山駅に到着して、青春18きっぷでの移動から離脱。自宅までは、東北新幹線でワープ。
まとめ

JR全線が5回分乗り放題の「青春18きっぷ」。非常に人気があるきっぷなので、シーズン中はどの列車も混雑します。少しでも快適に移動したいです。
普通・快速列車の中には、普通車指定席や自由席のグリーン車が連結されています。青春18きっぷでは、例外的にそれらの設備も利用できます。ただし、普通車指定席には「指定席券」、普通列車のグリーン車には「普通列車用グリーン券」が必要なのはいうまでもありません。
首都圏を走る東海道線・宇都宮線・高崎線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)や横須賀線・総武線快速などの路線を走る普通列車に連結されているグリーン車は、乗り換えなしで長距離を移動できるので、青春18きっぷと親和性が高いと思います。
JR東日本管内の観光列車「のってたのしい列車」は快速列車として走っているので、青春18きっぷの他に指定席券があれば乗車できます。人気があり、青春18シーズンに走る際の指定席券はなかなかとりにくいです。

筆者が出かけた只見線で走っているのは普通列車・快速列車だけなので、青春18きっぷがとてもよく合います。只見線に向かうには、在来線の上越線や磐越西線を走る普通列車で入ります。新幹線とはダイレクトに接続していないため、青春18きっぷと相性が良いわけです。
改訂履歴 Revision History
2023年8月06日:初稿
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